【起きなよ、勇者』
【
満月が出ている夜、暗い病室は静かだ。
「……」
リュウトはベッドで意識を失っている。
「……」
【失礼しまーす』
そんな中、寝起きドッキリの様にふざけてゆっくりとドアを開け静かに入って来た美女が1人。
「……」
【これはぐっすり寝てますね〜えいえい』
美女__アオイはリュウトの鼻をつまんだり髪の毛を少しひっぱったりするが反応はない。
「……」
【さて、と……なんか恥ずかしいな……ほんとにやらないと起きないのかなぁ』
誰かそこに居るわけじゃないのに独り言を言うアオイは顔を赤らめる。
【うぅ、恨むぞリュウト……』
そして片手で髪を上げながら寝ているリュウトに優しく__
【__』
キスをした。
【……』
女神の能力の1つで“相手の思う最高の女になれる”という物がある。
リュウトの中で“起こす時にキスで起こしてくれるお嫁さんが欲しい”と言う1つの願望があり、それを実現出来るのだ。
「ん……ここは……」
【やぁ、おはよう』
「っ!?アオイ!?」
【その様子だと、全部思い出したみたいだね』
「こ、ここは?」
【僕達の元の世界……を“模倣した『ピリオド』の世界』
「ピリオドの……どうしてアオイがここに?それに何でその事を……俺は一体どうなった!?それにあの世界は!」
【そ、そんないっぺんに聞かれても困__らないけどね☆』
「え」
【僕がここに居るのは君が持ってた伝説の勇者の眼球に魂が封印されてるからこの世界は女神が作り出した物なら僕も女神だから具現化可能』
「え、えーっと」
【リュウトくんはピリオドに取り込まれて魂が書き換えられていた』
「アオイ、さん?」
【ん?』
「何か……雰囲気変わった?」
【あぁ、今の僕は『私』であり【俺】でもある、来る日が来たから解放されたんだ』
「来る日?」
【その事に関して聞きたいのは君だけじゃない』
その瞬間、病室の扉が開かれた。
「!?……春香?」
【いや、彼女はもう知ってる彼女じゃないよ』
『……』
アオイがそういうとハルカは口が裂けるのではないかと言うほど三日月になり笑った。
「っ!?」
徐々にハルカに“色がついていく”
『キャハッ☆リュウトちゃん、久しぶり』
「ピリオド!」
『だけどごめんね、今は__』
【……』
アオイはニヤリと美女の笑みを浮かべる。
『アナタに聞きたいわね、一体いつから隠していたの?』
【そうだね……【私】『私』って所からかな?』
『あの時は【神】に嫌われていたはず』
【そう、少し不自然になるけどそうする必要があったんだよ』





