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【ファミレス!』


 「いらっしゃいませー何名様ですか?」


 「あ、えと……友達が先に来ています」


 「かしこまりました」


 タカノリは手足が震えるのを抑えながら店内を見渡す。


 「(いるはずない、いるはずない)」


 世界に引っ張りだこの国宝級の美女。

 そんな人がこんな所に居るはずがない、と思いつつも淡い期待を抱いて来てしまった。


 もしも居たとしたら、生涯一生後悔する。


 居なくてもからかいメッセージと安心できて……でも、もしも、万が一居たら……


 「……」


 席を確認していくと__


 「っ!!!!!!」


 居た。


 帽子とサングラス、そしてマスクで顔を隠してるが、ここに居ると解っていたら確実にアオイだと判断できる。


 「……」


 ゆっくりと先に近づいていくと__


 【やぁ、君があのスマホの持ち主だね?』


 先に気付いたアオイが声をかけてきた。


 「うぇ!?あ……あ」


 その綺麗な声を自分に向けてかけられたと言うだけでタカノリは蛇に睨まれたカエルの様に固まり言葉に詰まる。


 【そんな所に立ってないで座りなよ』


 「あ、は、い」


 机にはアオイが食べた後のハンバーグが乗っていた鉄板が4個置かれていた。


 【ちょっと“久しぶりの味”だから食べ過ぎちゃった』


 「うぇぁ」


 【うぇあ?もう、緊張しすぎだよ』


 そう言いながらアオイは可愛く笑う。


 仕草、声、匂い。

 それだけでタカノリの本能が興奮して果てそうになるので抑えるのに必死だ。

 もしも顔が隠れてなかったら溶けていたかもしれない。


 タカノリに残された手段は1つ。


 「あ、あの!!」


 【?』


 「何かありますか!」


 目を閉じて匂いも感じない様に口呼吸に切り替え何も考えず話す事だった。

 

 【うん、じゃぁ手短に聞くよ』


 「はい!」


 【リュウトくんの入院してる病院の場所を教えてもらっていいかな?』


 「え、あ、はい!」


 どうしてリュウトの事を知ってるのか?そう思ったが思ったと同時にアオイと今話している事実がのしかかって来たので思考を停止して


 「すぐに送ります!」


 ボロボロのスマホからリュウトの病院の名前と場所を送った。


 ぴぃこーん とアオイのスマホが鳴る。


 【……うん!ありがとう』


 「いえ!」


 尚も目を閉じているタカノリ。


 「…………」


 「……」


 「?」





 次に目を開けた時にはアオイの姿は消えていた。





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