【祈り】
「……」
「……」
階段をのぼり、屋上へ到着する。
屋上は至ってシンプルだ。
四角い部屋の天井の上というだけで何もない。
……のだが、1つだけ異端な光景が中央にあった。
「あれは……」
「はい、あれが【始まりの審判】の儀式場です」
儀式場と言えばどういう物を想像するだろうか?
神殿?古代の遺跡?
だが今回の儀式場はそのどれでも無く殺風景のものだった。
「水?」
中央に大きな水の球体が浮かんでいてその中にアオイが入っていた。
「【生命の泉】から採取した物です、この世にはもう無かったのですが、どうやら神の使徒の方々が用意してくれたみたいですね」
大人ユキが長い金色の髪を少し触り意識のないアオイの前まで来る。
「この世?って言うと死んだ後の世界ってこと?」
「いえ、解りません、私も行ったことないですから……あ」
ユキは球体の前に灰があるのを見つけた。
「これは?」
「これは、アビさんです……」
「アビ?確かお姉ちゃんが倒した魔王?」
「はい……」
ユキはそれ以上何も言わずに球体の前に座り手と手を合わせる。
「新しい神には信仰者が必要です……ジュンパクさん、私と一緒に祈ってください」
「え?祈る?どうするの?」
「なんでもいいんです、アバレーであるお正月と言う行事で神社に祈る時みたいな感じで」
「う、うん」
2人は祈る。
その時が来るまで____
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