『まぁいいわ』
『____!?』
ユキを胸を貫くと同時にリュウトの背中から“白い鎌の刃”が出てきた、否、背中から貫かれたのだ。
「……遅いですよ」
その鎌には黒い鎖が付いている……その先には____
「何俺達のアネキに……手ェ出してんだゴラァララ!」
ジュンパクの姿と__
「そ、そうです!」
小さなユキが居た。
『__!?』
「死ねや!」
鎌を引っ掛けた状態でリュウトを横薙ぎ払いユキから離す。
「ここはミーに任せて行け!」
「は、はいです!」
『____』
「てめーら、覚悟しとけ……【僕】を怒らせるとどうなるか解らせてやる」
夜が来ていないのにジュンパクの髪と身長が伸び【ツクヨミ】と同調をしてリュウト達パーティーへ突っ込んでいった。
「はぁ……はぁ」
慣れない冒険者の装備を使い倒れているユキにチビユキは合流する。
「お姉ちゃん!」
「…………」
うつ伏せになったままユキは動かない。
「ねぇ!起きて!お姉ちゃん!」
「……妙な気分、ですね、昔の自分に起こされるのは……」
「え?」
「う、く」
何とか仰向けになるユキ、胸からは血が流れて止まらない。
「こ、こういう時は回復の魔皮紙を」
チビユキはアタフタとポケットを確認して魔皮紙を取り出して付ける。
「ど、どうして!」
「……」
だが魔皮紙は発動しない。
「もう……身体が崩壊を始めてるんです……」
「ほうかい?ユキ……難しい事は……」
「これ、を」
ユキが取り出したのは1つの日記、それをチビユキは受け取った。
「は、はいです」
「いい、ですか?今、この瞬間から……アナタは“ユキ”です」
「ユキは、ユキです」
「フフッ……」
ユキは目を閉じてチビユキの手を握り真っ直ぐと目を見て言葉を出す。
「あ、あの……」
「今からアナタに今までの“ユキ”の全ての力を授けます……かりそめの身体の私より上手く使えるでしょう」
「え?えと……?」
「あとは……頼みましたよ……私」
ユキの身体が光りだし手や足が無くなっていく。
「(あぁ……アオイおかぁさん……私は……)」
ユキは最後に未来を見た。
その未来は……ユキではない、目の前のユキの未来。
「……あぁ………よかった……」
その言葉を最後にユキは笑顔でこの世から消えていった。





