『はぁ〜い、死ぬの確定♪キャハハハ!』
『
「やられ、ましたね……」
みやの仕込んだ毒は、“一定以上の魔力消費を感知した瞬間に全身へと巡る”というものだった。
魔力消費だけに特化した特殊毒。
「流石、みやさんですね……1番私に効く毒です」
魔力が無くなるということは死を意味する。
だが__この状態でも未来視を使わなければ、即死は免れない状況。
「っ……」
視界がぐるぐると回り、脳は霞がかかったようにぼやける。
「魔力回復を__」
そう言ってピンクの液体が入った小瓶を取り出したが__
『____』
「っ!」
直後、リュウトがユキの手元を狙い、レイピアを突き込む__未来が視えた。
「ぐ、ぁ……!」
だが直後、頭を締め付ける激しい痛み。
毒の作用に耐えながらもリュウトの一撃を避けた。
それでもなお、“避けた未来の先”が見え、再び回避へと体を動かす。
『__』
次に見えたのは、避けた先に飛来するレールガンの閃光。
「う、ぁっ……!」
さらに__その次の未来。
アンナが仕掛けていた罠の魔皮紙が発動し、ユキの体を拘束する。
そこへ、あーたんの拳が顔面を狙って迫ってきている未来。
「あぁ……! あああっ!」
__もう今のユキでは、その未来は回避できない。
「っ!」
視た通りに罠が発動。
咄嗟に剣を手放し、腕を顔の前で交差させてガードの構えを取る。
『__』
……いや、正確には“考える間もなく、その体勢を取ってしまった”。
「ゴフッ……!」
それは未来を見てしまったがゆえの過ち。
――防御のタイミングが、早すぎたのだ。
すぐさま、あーたんは気づき、拳の軌道を顔面から腹へと切り替える。
渾身の一撃が、ユキの腹を直撃した。
「う__」
――バキバキバキ、と。
脳内で骨の砕ける音が響く。
その反動で身体はゴムのように撓み、吹き飛ばされ、まともに受け身も取れず壁に叩きつけられる。
「……っ」
うつ伏せに倒れ動かない。
その下には、じわりと血の水溜まりが広がっていった。
『____』
勝利を確信したリュウトが、ゆっくりと歩み寄る。
血まみれのユキの髪を鷲掴みにし、無理やり顔を上げさせた。
『__』
リュウトの口はパクパクと動くが、声は聞こえない。
「………フフ……」
『__?』
「“もう終わりだ”……そんな風に、言ってるんで、しょうね」
掠れた声。震えながらもユキは言葉を吐く。
「なんと……なく、ですけど、ね……わかり……ますよ」
『____』
リュウトは片手でユキを吊り上げ、レイピアを構える。
「ん……ぐ……ゲホッ!」
『__!?』
血を吐き出した勢いで、ユキはその血をリュウトの顔へとかけた。
――今、できる精一杯の抵抗。
「私は……まだ、死ねない……死にたくない……こんな……形で……」
『____』
だが、現実は残酷だ。
『____』
「あ……」
血を拭ったリュウトは、迷いなくレイピアを突き立てる。
その切っ先は、ユキの胸を貫いた。
『____!?』
リュウトがユキの胸を貫いた、と、同時に__
彼の背中を突き破り、真っ白な鎌の刃がリュウトの胸から現れる。
「…………遅いですよ」
鎌には黒い鎖が絡みついている。その先にいたのは__
「何、俺たちのアネキに……手ェ出してんだゴラァララ!」
怒声と共に現れたジュンパクの姿と――
「そ、そうです!」
小さなユキが居た。





