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『あーもう!どいつもこいつも使えない!』


 「……」


 「……」


 「……」


 「……」


 先程までの轟音が鳴り止み静けさを増す最下層。


 「はぁ……はぁ……たぁぁ〜!」


 ポロポロと身体のクリスタルが崩れ落ち、下から毛の生えた獣人の姿に戻ったアイはその場に仰向けになった。


 「どうだい?今の気持ちは?」


 そんなアイに近づきながらミカは問いかける。


 「そうだな……自分の祖父を倒しておいて言うのも何だが……気持ちがいいよ、何か色々と吹っ切れた」


 「それは良かった」


 {うむ、儂も鼻が高い}


 「「「!?!?」」」


 全員がその言葉に驚き振り返るとしわくちゃで背が小さい……元の身体に戻ったマクリが青白く半透明で幽霊の様な状態で自分の身体の上に浮いていた。


 「お、おじいさま……その身____」


 「ギャァァァア!おばけええええ!」


 驚きながらも自分の祖父である事を確認したアイが話そうとした瞬間、ミカの叫びが響き渡る。


 「あり得ない!お化けなどいるはずがない!いるはずがないのだ!そうだこう言う時は魔法六法原罪を思い出せ!うぅ……こわい」


 ミカはマクリの方を見たくないのか小さなお尻を向けて耳を塞いでうつ伏せになってブツブツと何かを言いだす。


 「え、えと……」


 マクリの幽霊より、先程まで全く動じてなくて淡々と喋っていたミカがここまでおかしくなったのに驚いて目を丸くしている全員。


 {ホッホッホ、【魂抜き】を応用したお前の作り出した【絶】……見事じゃった}


 「あ、ありがとうございます」


 {どうやら、その技は精神と肉体を綺麗に剥がす技の様じゃの、身体は生きているが精神や意識……即ち、魂が抜けておる、まさに魂抜きじゃな}


 「なるほど、それでその様な状態なのですね?」


 {自分で出した技であろう?}


 「その……あの時は色々と必死だったので」


 {ふむ……まぁ確かに今の儂の状態は幽霊と変わらんのぅ}


 「ギャァァァア!何か聞こえたけど聞こえなーい!キコエナーイ!」


 ミカは“幽霊”という単語にビクンと反応して涙まで流し出す始末。


 「ハハ……先程まで私を導いてくれていた男の姿とは思えないな」


 {いい顔になったな、アイ}


 「ありがとうございます」


 {お前が儂に問うた事じゃが、それは自分で答えを見つけるといい}


 「お爺さまは見つけたのですか?ご自身の正義を」


 マクリは懐かしむ様に少し間を置いてひとこと言った。


 {あぁ……見つけたよ}


 「そうですか……」


 そこまで言ってマクリは黙っていた国王を向き__


 {国王様、申し訳ございませんでした}


 霊体で浮きながらも綺麗に土下座をした。


 「良い、頭を上げよ……それにこんな事態なんです、国王とかはもう関係ありませんよ」


 {かたじけない……}


 「それよりも……そろそろ話していただけるかな?ミカさん」


 「……」


 ミカはスクッと立ち、みんな……主にマクリの方を見ない様にしてひとこと言った。


 「私が言われたのはここまでだ……後は彼女が“未来を知っている”」



  そう言った瞬間、出待ちしていたかのようにこの部屋に転移してきたのは____







 「国王様、お願いがあります」









 アオイの身体を抱えてきたユキだった。








 


 


 

 

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