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異世界転生したら女になっていました!  作者: しぇいく
最終章

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605/644

『あぁ♡なんて美味しいの……人間の感情は』


  『絶望が始まる』



 「いやぁぁぁぁぁあ! モグリ様ぁぁあ!!」


 意識を取り戻したルクスは涙を流し、叫び、拘束されている中で肩が外れるほどに暴れる。


 ____その手には、モグリの唾液と血がべっとりと付いている。



 そして、ウマヅラも我を失い、叫ぶ。



 「離せ! 離せ! 人間! またお前達が! お前達が何かしたんだ!」


 モグリが殺された事で心の奥底で封印していた枷が外れ人間を憎む気持ちが増幅する。



 孤児たちの食事を作っていた料理長は、現実を否定するように錯乱していた。


 「夢だ……そうだ、夢なんだ! 覚めないと! 覚めないと!」


 夢じゃないよ♡

 本当の事なのにね?♪


 そして――。


 「あ、ぅ……ぇ……ぁ……」


 彼を殺してしまった張本人。


 ドーロちゃんだっけ?この子には特別に私が身体を操ってた間、意識は残してあげてたの♡


 だって、その方がいいでしょ?



 “護身用に持ち歩いていた攻撃魔法の魔皮紙で自分の命の恩人を殺した”



 その事実を噛み締めて欲しいから♡



 「あぐ……ぁ」


 言葉は出ない。


 全ての思考を遮断して、このまま気絶してしまいたい。

 だが――それすらも彼女は許されない。


 「ぇ……ぉぐ……」


 脳の血管が何本も切れ、鼻から鮮血が流れ出す。


 「……ぁ……」


 過度のストレスで身体の機能は破綻し、失禁。

 もはや立つことさえ叶わず――。


 「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああーーーーーーーーーーーーーーーあ、が……!」



 あら____彼女は自ら舌を噛み切っちゃった♪



 __ところで。


 私が与える絶望は、ここだけだと思う?


 もちろん♡そんな事ないに決まってるじゃ無い♡

 

 だって__




 __この時同時に他の獣人達でも遊んでたんだから⭐︎




 「うそよ……うそ……うそよ! いやぁぁぁぁあ!!」


 彼女の視線の先には、血を流しながら横たわる夫と娘。


 「私が……私がやった……」


 思い出すのは――背を向け、必死に娘を守ろうとした夫の姿。

 包丁で何度も背を刺されながらも、妻が正気に戻ると信じて耐え、そして死んでいった。


 泣きながら「やめて……おかあさん!」と訴えていた娘。

 しかし彼女は娘を引き摺り出し、一撃で殺さず、何度も痛ぶり、嬲り殺した。


 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!」



 女は絶望に狂い、自らの喉を包丁で貫いた。




  こっちでも聞こえる、聞こえる……♪


 __怒りが、聞こえる。


 とある獣人は、ある女性に恋をしていた。


 だが、その恋は虚しく終わった。

 彼女は自分ではなく――友人を選んだのだ。


 ……祝福した。

 「彼なら、きっと彼女を幸せにしてくれる」

 そう思い込もうとした。


 だが、現実は違った。


 ある日、喫茶店に呼び出され、友人から相談を受ける。

 「またお金のことで嫁に怒られたのか?」――そう思っていた。


 だが、返ってきた言葉は。


 重い口調で告げられる――離婚の相談だった。


 …………


 胸の奥に、熱い感情が湧き上がった。

 だが、必死に蓋をした。


 結局、友人は離婚。

 彼女とも疎遠になり、やがて自分も運命の相手を見つけた。


 ――はずだった。


 全てが終わったと思っていた。

 ……だが。


 『蓋が、開かれた』


 湧き上がる、あの時の怒り。


 気がつけば冒険者の俺は武器を取り、妻を殺していた。

 ……こいつは、俺の妻じゃない。


 次に、友人を殺した。

 ……こいつは、俺の全てを奪い、ゴミのように捨てた。


 そして最後に――恋をした女性の元へ向かった。

 だが、そこに居た彼女もまた。

 血まみれの手で、怒りに震えていた。


 俺達は互いに、怒りに任せて――刃を突き立て合った。


 『『どうして俺(私)を選ばなかった!』』



 

 

 あぁ……最高♡

 狂う、狂う、もっと狂え……!


 あっちでも、こっちでも、至るところで。


 狂えば狂うほど、最後にこう願うの。


 ――『こんな世界、無くなればいいのに』、と♡


 私はピリオド。


 その願いを叶えるために生まれた、終焉そのもの。






 さぁ……世界に、終止符を打ちましょう。








 『さぁ、フィナーレよ、此方に来なかったことを後悔しなさい、最後の勇者__ヒロユキ』













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