『__』
《ヒロユキ達__アオイちゃんゲーム・デスフェニックス討伐後》
『私と2人っきりになると、どういうことが起こるのか……教えてあげる♡』
ツクヨミがヒロユキ達を別の場所へ送り、この空間には『アオイ』とツクヨミ、二人だけが残った。
「……それは是非とも、教えてもらおうかな」
死を覚悟したツクヨミ。
だが__
『な〜んてねっ♪……ここら辺でいいかな?』
女神アオイは両手をすっと上げ、争う気がない仕草を見せた。
「…………そうやって隙を作ろうったって、無駄だよ」
『あれれ? 本当に戦う気はないんだけどなぁ?』
「信じられないね」
『キャハハッ♪じゃあ、面倒だから彼らにも来てもらおっか♪』
「……彼ら?」
そう言った瞬間、『アオイ』は亜空間から何かを取り出す。
そこに現れたのは――ぐるぐる巻きに縛られたジュンパクとヒロユキだった。
「!?……さすが、女神……僕程度の世界じゃどうにもならないか……」
『そ♪だからね、あなた達を殺そうとすれば、いつでも簡単に殺せちゃうの。そんな私がこうして両手を挙げて“降参”してるんだよ〜? ちゃんと言うことを聞いてくれる? ……じゃないと、本当に殺しちゃうから♡』
「……降参してる割には、随分と怖いこと言うね」
『フフッ♪』
アオイがひょいっと指を振ると、二人を拘束していた糸はほどけ、自由になった。
「……今度はあんな真似をするな」
「そうだよ、逆に驚きすぎて反応が遅れちゃうんだから」
「……ごめん」
『は〜い♪ じゃあ――ヒロユキくん♡』
「……何だ?」
ヒロユキは呼ばれたものの、武器を構えずに警戒の視線を送る。
『感動の対面――あとは二人でごゆっくり♡』
「……」
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視界が揺らぎ、次に彼が立っていたのは――グリードにあるはずの自分の家の前だった。
曇天の空。薄暗い街並み。
家の窓からは、リビングにだけ明かりが漏れている。
「……現実、か?」
もはや何が現実で、何が幻なのか分からない。
「……」
ヒロユキはゆっくりと玄関を開ける。
すると――いつものように、魔法でスリッパが目の前にふわりと飛んできた。
「……」
リビングへと続く軽い扉を開けると、そこには――
「おかえりなさい、ヒロユキさん」
「……ユキ」
ソファに腰掛け、いつもの可愛らしい部屋着姿でこちらを見上げるユキがいた。





