『サボり』
『
《影の世界》
そこは何も見えない、聞こえない暗黒の世界。
一度踏み込めば最後、方向感覚を失った状態で永遠の闇を彷徨い続けるだろう。
「……」
そんな闇の中でアオイの身体を抱えながら目的地まで向かっている人物がいた。
「____……」
音すらも届かない、そんな空間を自由に動けるのはこの世の中には夜の神とこの人物しか居なかっただろう____
「____っ!?」
『今日までは……ね♪』
音の届かない暗黒のはずが声が聞こえてくる。
「……」
『へぇ、流石は六英雄ね?私を前にして恐怖心を抱かないなんて』
「……」
『あ、別に喋らなくて良いわよ、私の邪魔をする連中の声なんて聞きたくもないし、これから魂ごと私に変換されるんだから』
「!?」
嫌な予感がしたので持っているアオイを庇うと__
バゴッ__
__突然、まるで大型のトラックが突っ込んできた様な衝撃が襲い弾き飛ばされた!
「__!!」
『この空間は次の世界に無いと良いわね……だって、陰湿でなんか私嫌い♪』
そのまま勢いは殺されず最後は__
「くっ!」
影の世界から地上へ放り出された。
重力が反転して地面に向かって落下していくのを着地する。
「……やはり、只者では無いな……」
周りはどこか解らない森の中……その木々の影から目が赤く光った“たまこ”の姿をしたピリオドが出てくる。
『その言葉、おかしくない?相手は“終わらせる神”よ?レナノスちゃん♪』
アオイをお姫様抱っこしたままレナノスはその人物を睨みつけた。
「ならば何故俺を追う?世界は終わるのに関係ないだろう?」
『そうよ、だから遊んであげてるの』
「遊び?」
ピリオドは近くの木を軽く倒したあとその上に座り、モフモフの狐尻尾をいじりながら話しだしたが隙はない。
『どーせ、この世界を終わらせても、私には次の仕事があるわ』
「次の仕事だと?」
『そ、私は終わらせる神……世界はね、ここだけじゃないのよ?』
「……」
『例えば、あなたも見たことあるでしょ?小説や絵本……あれは人間が妄想で書いた世界』
「それとこれが何の関係が?」
『その話は妄想、作り話……誰もがそう思うけど本当にそう思う?』
「………………」
『いや、そうなんだけどね〜……だけど、それが本当になるのが【神】よ』
「つまり、この世界はその神が作り……」
そこまで言って言葉が詰まる。
そう、作り出した……創り出した。
そのまんまの意味なのだ。
『ふふん♪分かりやすいでしょ?でもね、残酷なことに物語が途中で終わることがあるの……それは同時にその世界の死を意味する』
「……」
『だから私は、その世界にピリオドを打つのよ、そう言う存在』
「馬鹿げている、貴様の例えで言うのなら、この世界は神に見放されたと言うことか?」
『私がこの世界に来ている、それだけで解るでしょ?』
「……」
『だからちょっとサボって遊んでるの♪ちなみにこの世界はあの大きな『私』がこの星をパンチ♪それで終わりよ♪うーん、あと3日ってとこかなー?』
「フッ……」
『んー?』
「いや、まさかと思ったが、ここまで“ボス”の言っていたことが本当とはな」
『あぁ……あの未来から来たユ__』
その瞬間、ピリオドに向かって槍が飛んできた!
『……』
飛んできた槍を弾き投げられた方向を見る。
「あーおい……ここはお久しぶりですとでも言ったほうがいいか?母上さんよぉ」
『あら、やっと私の前に現れる覚悟をしたのね……トミー』
「あーおい、相変わらずこえーなー……」





