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『絶望の幕開け』

 《ミクラル城》


 「くっ!このままでは!」


 ミクラル城の地下深く__


 城の広さと同じくらいあるその部屋では中央の特殊な石を中心に余す事なく複雑な魔法陣が組まれている。


 「王よ!このままでは【結界】が!」


 「まだだ!ここが落とされれば人類はピリオドに!」


 アレン国王の生命力を原動とした特別な結界は今じゃこの世界で1番強化だろう……だがデメリットも大きかった……


 「くっ!」


 変身魔法も解けて髪も白髪になりシワも出てくる。


 「私の事より民は!」


 「は、はい、現在この町に避難している住人は特に変わった様子もなく協力的です、余裕のある冒険者パーティーには外のモンスターの討伐を__」


 元々この城に居たギルド員は魔皮紙の資料を読んでいく。


 「モンスターの大虐殺……」


 そう……魔神が死んだその日から世界中の魔物達はまるで『誰かに操られている』様に人間達を襲い出した。


 いくら結界あるとは言え限界が来た町や村は軒並み魔物に襲撃され無惨にも食い尽くされている。


 「以上です……」


 「解った、生き残った人間達に補給は惜しむな」


 「はい!」


 そう言ってギルド員は転移していき、入れ違いに入ってきた人物。


 「あんた……」


 「……グランか……」


 その人物はアレン国王のグラン


 「子供達は?」


 「何も知らずに遊んでますよ……いつもの様に……」


 「そうか……」


 「…………」


 女王は国王を後ろから抱きしめる。


 「…………人間はどうなるのでしょう」


 「………………それは【神】のみぞ知る……」


 そんな2人の所へもう1人転移してきた。



 「失礼しま……お邪魔みたいでしたか?」


 

 ここへ来れるのは先ほどの専属ギルド員と女王を除けば後1人……もう1人の女王だ。


 「いえ、大丈夫ですよ、愛染の女王様」


 赤い髪に猫の耳の獣人、そして名前を持たない一族……彼女は以前まで“愛染の姫”だった。


 グランはソッとアレン国王から離れ黙って聞く。


 「その肩書き……意味があるんですかね、こんな状況なのに……」


 「アバレーの獣人達もこの町に来て協力的なのはアナタのカリスマ性があってこそです」


 「ご冗談を……獣人達に私がどう噂されているかお聞きになったでしょう……“親殺しの女王”……そう言われてます」


 「フフッ、噂は噂です、私だって変身魔法で見てくれだけを若くしているのに不老不死の神級魔法を見つけて独り占めしている、なんて言われていますからね」


 「……」


 「それに、アナタが『女神』を裏切ってくれたおかげでまだ私達人類は生き残っている」


 「……」


 「それで、なぜここに来たのですか?」


 「それは____」


 その瞬間、先程転移していったギルド員が慌ただしく戻ってきた。


 「大変です!獣人達が__」


 ギルド員は何かを言おうとしたが最後まで言う事は許されなかった……なぜなら__


 「愛染の女王!?何を!」


 そのギルド員の首から上を愛染の女王が魔法で跡形もなく吹き飛ばしたのだ!

 

 「…………』


 ギルド員を向いていた彼女は黙ったまま王達に振り返ると、先程までの複雑な表情とは裏腹の気持ちの悪い無邪気な笑顔だった……


 「まさか……!」


 『キャハッ♪おっと〜動かないでね〜?』


 「っ……女神……」


 『やめてよそんな記号で呼ぶなんて♪私の名前は神から聞いてるでしょ?』


 愛染の女王の身体を乗っ取ったピリオドは魔法陣を向けながら話す。


 『まさか、【神の使徒】最後の1人がアナタだったなんてね?なーんかちょっとおかしいと思った☆』


 「どうしてここに……」


 『あら♪グラン女王音はお初にお目にかかるわね♪お子さん達は元気?』


 ニヤァっとピリオドは笑う。


 「アナタが私たちの子供を!」


 『あら〜?話には出てたみたいで光栄よ♪……そっ、昔、アナタ達の子供をいじくって虫にしたのは、わ・た・し♡』


 「____!」


 「動くな!グラン!」


 「っ!」


 怒りで冷静を忘れ攻撃しようとしたグランを静止させたのはアレン国王。


 『キャハッ♪解ってるじゃん♪せっかく取り返した子供を次は失う事になっちゃうからねー?』


 「お前は……いつから……」


 『最初から、よ』


 「だが今まではサクラ女王に__」


 『獣人って元は人間だったのって知ってた?』


 「な、何を……獣人は人間だ」


 『違う違う、獣人差別とかそんなんじゃ無くて元々この子たちはこんな格好じゃ無い普通の人間だったのよ?』


 そこまで言えば理解できる、つまり__


 「まさかお前の力か?」


 『ご名答♪むかーし私の力でちょっといじくってあげたの♪だから、この世界の獣人は昔から私の端末みたいな物♪』


 「…………それで、何しに来た」


 『ウフフ、決まってるじゃない』







 『人類を根絶やしに来ました』





 「っ!グラン!【エアーシールド】!」



 ピリオドの構えている魔法陣から出た毒々しい液体の塊はグランに当たる寸前でアレン国王の魔法によって止められる。


 『フフッ♪そうよね♪護るわよねぇ〜』


 「人間を根絶やしにするのなら私を倒してからにしろ!」


 『うわ!かっこいいセリフね、でも残念、この身体は弱すぎてアナタには勝てないみたい……あ、そうそう、ところでさっき私が首吹っ飛ばした子が言おうとした事、なんだと思う?』


 「っ!まさか!」


 アレン国王は先程までの言葉を思い出す。

 

 『キャハハハハハッ!ご名答!ここに避難してた獣人はみーんな私が操ってます♪』


 「このっ!女神がぁぁあ!!」


 『さぁ選びなさい』






 『結界を解いて魔物にみんな食い殺されるか____仲間割れで自滅するか、よ』

 







 


 

 


 


 

 



 



 

 

 


 

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