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異世界転生したら女になっていました!  作者: しぇいく
第九章

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みんなの力を借りる!

 【これは俺が作った“神の武器”だ】


 その黄金の大槌は、かつての家族……アカネが振るった武器をイメージして鍛え上げたもの。

 そして、俺が背負ってきた仲間の無念を叩き込むための象徴でもある。


 【お前に倒されていった仲間たちの力――その身で思い知れ!】


 俺はその場で大きく構え、野球バットを振るうように全力で振り抜く。


 【――《トラッキングレールガン》!】


 衝撃の瞬間、黄金のハンマーから光の杭が射出され、雷をまとって音すら置き去りにし、アオイへ一直線に突き進む。


 『__っ!』


 杭はアオイの手に握られたレイピアに弾かれた。

 だが、それも想定済み――!


 【ハンマークラッシュ!】


 雷鳴と共に踏み込み、俺は巨槌を叩きつけた。


 『こ、わ〜い⭐︎』

 

 だが、その攻撃すらも細いレイピアでアオイは綺麗に受け止める。


 【でもな__】


 “必ず貫くレイピア”と“絶対に砕くハンマー”


 交わった瞬間に“矛盾”が発生し、式場の長椅子がまるで最初から無かったの様に消える。


 『ふ〜ん?気付いてたんだ?“矛盾”の答えは“見ている方を消す”……それを利用して、私ごと消そうって訳?』


 だが種が割れてもアオイは動じない。

 つまり、その勝ち方もダメということだ、


 【それで消えてくれれば楽だったのにな!】


 俺は大槌を連続で振り抜き、アオイは細剣の突きで受ける。

 一つずつの衝突で順番に壁も、床も、天井も……いや、空も大地も、空気も光さえも、名のあるものすべてが音もなく消滅していった。


 『キャハッ♪ なにこの世界?何も見えないねぇ?』


 闇に塗り潰された虚無の中。

 そこで浮かび上がるのは――普段の彼女とは真逆の、赤く輝く瞳。

 その目だけが、異様に鮮明に見える。


 魔法で光を生もうとしても、すぐに消滅する。

 だが、俺には。


 【見えるさ……バッチリとな】


 『ほんっとかな〜?』


 暗闇のアオイの目が消え、気配も消える。


 【……】


 俺は目を閉じ、静かに息を吐き__次の瞬間――


 【そこだ!】


 横振りにした槌と、突き出した剣が闇の中で火花を散らす。


 『へぇ……本当に見えてるんだ♪』


 【こんな所で嘘はつかない】


 マジックシーリング。

 アンナが得意とした適正魔法。

 その力を借り、俺にはアオイの位置がくっきりと分かっていた。


 『本当に強くなったねぇ♡リュウトちゃんっ♪』


 挑発めいた笑みを崩さぬまま、なお余裕を見せるアオイ。


 【うおおおおお!!】


 俺は勢いをつけて渾身の力で大槌を振り下ろす。


 【はぁぁぁぁぁあッ!!!】


 『無駄__』


 アオイがレイピアで受けようとしたその瞬間。


 『……っ!?』


 虚無の闇を切り裂き、一筋の閃光がレイピアを弾き飛ばした!


 『最初のレールガン!?』


 それは――最初に撃ち放ち、彼女に受け流された黄金の杭。

 ただの外れ弾ではない。杭には“みや”の力が込められていた。


 アオイに弱点など存在しない。


 だが今のアオイが握るのは“アオイの物ではない武器”

 それを主に立ち回ればできてくる、わずかな少しの__“隙”という弱点!


 だから杭は待ち続けたのだ__この時を!


 『これがみんなの力ってわけね……』


 【終わりだァァァア!!】


 もう邪魔するものは何もない。

 この一撃で――!


 『残念でした♪』


 次の瞬間、手応えが消える。

 大槌はアオイに届くことなく、途中で“網”のようなものに囚われていた。


 『知らなかった? 私も神の武器を使えるのよ』


 【……ッ】


 一瞬、絶望の色が胸をかすめる。

 だが――違う。これこそ、俺が待っていた瞬間だ!


 【まだだ!】


 途中の空間でガチガチに止まった大槌を発射台の様に足場にし、自身の脚力で真上へ飛ぶ!あーたんジャンプ使わせてもらうぞ!


 【来い!エス!!!!!!!!!】


 『!』


 空中で叫ぶ俺の手に、“漆黒の弓”が姿を現した。

 そして、もう片方の手にはアオイの手から離れた俺のレイピア。



 【これが俺の最後の攻撃だ!】


 俺は迷いなく弓を引き絞る。

 矢として番えたのは――黄金のレイピア!


 空気が震える。

 闇を裂く閃光が、今にも解き放たれようとしていた。


 【__うおおおおおッ!!!!】





 放たれた一撃は、アオイへと向かっていった!




 

 

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