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異世界転生したら女になっていました!  作者: しぇいく
第九章

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互角な戦い

 「俺のアオイから出ていけ……女神ッ!」


 『キャハッ♡遊んであげるよ⭐︎メインディッシュ!』


 不意を突いたはずの一撃――だが突き刺したのは、アオイの胸でも喉でもなく。


 ____ただのウェディングベールだった。


 【逃がすか!】


 すぐに踏み込み、追撃を放つ。


 『キャハッ! あーあ、私のウェディングベール取っちゃった♪ これでアナタと私を隔てていた壁は、もうなくなったわね、リュウト♪』


 挑発的な笑み。

 俺の突きを、彼女は両手に握ったクナイで軽やかに弾き返していく。


 【黙れ! その顔で、その声で……俺の名前を呼ぶなッ!】


 『ひっど〜い♪』


 打ち合うたびに理解する。

 ――これは本物だ。正真正銘、“女神”そのもの。

 【神】の力を解放してなお、互角どころか押されている……!


 ならば――!


 【目撃――】


 『! だーめ♪』


 発動の瞬間、アオイの姿が掻き消えた。

 一瞬で間合いを詰められ、クナイの刃が俺の眼球を狙う。


 【っ!】


 ――ギリギリで回避。


 『うっそぉ!? 今の避けられるの!?』


 【お前こそ、そんなに動けるなら最初から動いてろ!】


 交錯。


 黄金の閃光と、鋭い黒の刃。


 全力。

 全ての能力を使い、後を置き去りにするほどの斬撃を繰り出す。


 『キャハハハッ♪音速超えたくらいで調子乗るなんてだっさーい♡音速斬撃が許されるのは小学生までだよね〜キャハハハ♡』


 だが、それすら軽くいなしてくる女神。


 【そりゃ、結構だ!!!】


 俺は目の前で黄金のレイピアを迷いなくアオイヘ投げ放った。


 『っ!?』


 まさか手放すとは思わなかったのか、アオイは一瞬だけ驚いた顔を見せて横に避ける。


 『ちょっと驚いちゃった☆』


 【これは想定外の攻撃だったか?】


 背後に回ったレイピアは空中で180度旋回し、音速の弾丸となってアオイの背を穿たんと迫る。


 だが――。


 『あ、違う違う、投げたことにびっくりしたんじゃなくて__』


 【!?】


 『だって……武器をプレゼントしてくれたんだもの』


 アオイは軽やかに身を捻り、突き刺さる寸前でレイピアを逆に掴み取った。


 【…………プレゼントだ】


 『ふ〜ん、その反応……一応予想はしてたんだ?いや、試したのかな?』


 【神の武器は他の奴が触れると何かしらのペナルティーがかかるが、お前には無いみたいだな】


 『もちろん♪だって『神』だもん⭐︎』


 彼女は手首をひと振りし、レイピアの感触を確かめるように握り直す。


 『う〜ん……アオイちゃんの記憶で、ゲームのヒロインが使ってたみたいだけど……私にはちょっと合わないかな』


 【なら、返してもらえるか?】


 『冗談言わないで♪ 男からのプレゼントは、大事にコレクションするのが私の趣味なの』


 【……だろうな。――なら!】


 『!?』



 【――武器召喚!】


 稲妻が弾けた。

 次の瞬間、俺の手に現れたのは、自分の身長の二倍はあろうかという巨躯の黄金ハンマー。

 


 『二本目の……武器召喚……ふぅん』



 アオイの瞳が、愉悦に細められる。




 【さぁ……第二ラウンドだッ!】


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