リュウトvs『女神アオイ』
《ステージ 『幸せの場所』》
『おめでとう、リュウト♡』
……一瞬だけ視線を横に流し、すぐに前へ戻した。
俺の隣にいるのは――勇者であり。
俺の好きな人であり。
この世で最も美しい女性であり。
__そして『女神』
その顔を見続ければ、その美貌に呪われてしまう。
「……どうしてこんなことをしたんだ」
俺は正面を見据えたまま問いかける。
『ふふっ……』
くるりと回るとアオイは純白のウェディングドレス姿になる。
そのまま神父様のいない前を向き、リュウトの質問に答えた。
『私は悪の象徴――女神。殺しを楽しんでいる。それのどこに疑問があるの?』
後ろから見れば新郎と新婦の様だ……
「……ある」
『……』
「もし殺しが目的なら、俺たちが成長する前に消せばよかった。お前の力なら、魔王どころか世界ごと潰せるはずだ。……なのに俺たちは生かされてきた」
『……』
「【アオイ】のこともそうだ。お前なら、いつでも人格を乗っ取ることができたはずだ」
『……』
「……推測だが、お前は――」
そこで、アオイが割って入るように口を開いた。
『知ってる? 私のエネルギーの源』
「……エネルギー?」
『“人の感情”よ』
「感情……」
『そうよ、アナタ達の食べ物と同じ……それには様々な味があって、揺れが大きければ大きいほど、甘美で栄養たっぷりになるの』
「……つまり、お前は普通のエネルギー摂取ではなく俺達の感情を操り“料理”をしていた、と?」
『ご名答♪』
「……そうか」
俺は憎悪でゆっくりと、【黄金のレイピア】を手に握りしめた。
そんな意味のない事のために、こんなに残酷にみんなを____殺したのか。
『……………ところで、さっきは何を言いかけたの?』
「いや、俺の考えが甘かっただけだ。気にするな」
『…………』
重く、静かな空間。
互いの呼吸だけが、響く。
そして――
「俺のアオイから出ていけ……女神ッ!」
『キャハッ♡遊んであげるよ⭐︎メインディッシュ!』
俺と女神との戦いの火蓋が切って落とされた!





