【勝ち抜いた1人】
「……」
目の前が真っ白になった後、世界が構成されていくように少しずつ全貌が見えて来た。
「……ふざけてやがる」
そこは結婚式の教会……大きくはない。
両端の長椅子には4人ずつ座れる程の大きさの物が4個並んで目の前のレッドカーペットの先には神父さんのいない演台が置かれている。
「……」
…………そう、これは俺が神の島で見ていた夢の光景。
「ふぅ……」
周りには誰もいない、外からの気配もない。
だが俺には“どう動けば『奴』が現れるか”解っていた。
「……」
一歩。
レッドカーペットを踏み真っ直ぐ、ゆっくりと歩いて行く。
「…………」
俺が歩き出すと結婚行進曲がどこからともなく聞こえ出した。
「………………っ」
それと同時に長椅子の横を通り過ぎると頭の中に1人ずつ……仲間の死ぬ時の感覚が脳に流れ込んでくる。
「みんな……」
絶望。困惑。怒り。悔い。
様々な感情が混ざり合い、吐きそうになるが俺は歩みを止めない。
「…………」
普通の結婚式なら夫婦の誓いをたてる神父が居るはずの小さな演台の前に辿り着く。
「…………」
俺は深呼吸をして目を閉じた____
そして目を開けながら『彼女』の名前を呼ぶ。
「ここまで来たぞ____『アオイ』」
『おめでとう、リュウト♪』