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異世界転生したら女になっていました!  作者: しぇいく
第九章

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小さな月

 太陽が消滅する。


 「ーーーーー!?!?!?」


 天地を満たしていた光が、一瞬にして奪われた。

 不死鳥は戸惑い、荒れ狂う翼を震わせる。

 ――まるで、大自然の停電。


 残された光は、下を流れるマグマと燃えさかる密林、そして己の紅き羽ばたきだけ。


 「ーーーー!?!!!」


 デスフェニックスは何が起きたかも分からぬまま、周囲へ炎を撒き散らす。

 だが――


 「なるほど……“太陽が出ていない”それは即ち___」





 「夜」




 声が空に響く。


 見上げれば、虚空に白く輝く小さな月。

 そこに立つは、夜を司る神――ツクヨミ。


 「夜ならば、僕の出番ということだ」


 「ーーーー!!!!」


 不死鳥は怒りと恐怖に駆られ、炎を吐きかける。

 だが、灼熱の奔流はツクヨミに届くことなく、闇に呑まれ消えていった。


 「無駄だ」


 冷たき声が告げる。


 「成長もせずに四聖獣を名乗る程度が、神に勝てると思うな……【開け、闇の門よ】」


 ツクヨミが純白の鎌を落とすと、それは虚空を裂く錨となり、闇の口が開かれ始めた。


 「ーーーーーー!!!!」


 本能で危険を悟ったデスフェニックスは逃げ出そうとする。

 だが――


 「……逃さない」


 その瞬間、闇の門の内側に巨大な重力の塊が生まれる。

 ――ヒロユキの魔眼。


 「ーーーー!!!!?!?!?!?」


 抗う翼は、天命に逆らえない。

 不死鳥は引きずられるように、ツクヨミの世界へと呑み込まれ、消え去った。


 「……」


 「__!? ヒロユキ様!」


 ツクヨミが何かに気づき、すぐさまヒロユキの手を取った。


 「……どうした?」


 「『奴』が来るよ! 急いで!」


 有無を言わせず、ツクヨミはヒロユキを自らの世界へと引き込んでいく。

 




 『キャハッ♪ キャハハハハハ★』


 

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