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異世界転生したら女になっていました!  作者: しぇいく
第九章

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ヒロユキとジュンパクペア

 《ステージ かまど地獄》


 「アニキ!」


 「……ジュンパクも来ていたのか」


 灼熱の蒸気が地面から噴き上がり続ける熱帯雨林。

 その灼熱の世界で、ヒロユキとジュンパクは再会を果たした。


 「うん! て言っても、さっき吐いて酔い覚まし飲んで寝てたんだけどね」


 「……飲みすぎだ」


 「えへへ……でも、酔ってる時に見た夢では無かったみたいだね」


 「……あぁ……あれはアオイじゃない」


 「二重人格……なのかな?」


 「……その可能性はある」


 「じゃあアニキ、確認しよっか」


 「……あぁ」


 慣れた手つきで互いの持ち物や武器をチェックする二人。

 戦場を共にした仲間にしかない、呼吸の一致だった。


 「人格が二つあるのか、あるいは乗っ取られてるのか……。でもハッキリしてるのは、あのお姉ちゃんは“別の存在”。――そう、人類の敵……『女神』って呼ぶべきかな。そして、その女神が言ってた通り、ミーたちには敵が用意されてる」


 「……あぁ」


 「ふざけやがって。さっさとぶっ殺して、お姉ちゃんを取り戻さないと」


 「……敵……」


 ヒロユキはその言葉を聞き“仲間”の姿を脳裏に浮かべた。


 「アニキ、言っとくけど――ユキナが相手でもミーはやるよ。どんな理由があったとしても、裏切った仲間は敵より許せない」


 「…………」


 「まぁ何にせよ、敵を確かめなきゃね」


 「……あぁ」


 「ちなみにだけど、ツクヨミの力は、ほとんど使えないみたい」


 「……夜の神だから、か?」


 「うん、しかも、ツクヨミが言うには、この世界そのものが女神の作り物で――夜が来ないらしい」


 「……なるほど」


 話しながら、ヒロユキとジュンパクは確認した魔皮紙を二手に分け、それぞれポケットへしまい込む。


 「……ジュンパク、身体は大丈夫か?」


 「うん! むしろ、いつも以上に元気が出てるよ!」


 「……そうか……」


 2人とも限界突破の副作用に苛まれ、魔力も尽きていたはずだ。

 回復したといっても、戦闘できる状態には到底なかった。



 ――それなのに今は、まるで全盛期を取り戻したかのようなベストコンディション。


 これは女神アオイがやった事__


 「……なぜこんな回りくどいやり方を……」


 女神アオイからしたらベストコンディションの俺達を1人殺せると言うことだ……なぜ敵など用意する?


 「? 何か言った、アニキ?」


 「……いや、何でもない」


 それきり2人は言葉を交わさず、気配を殺して熱帯雨林を進む。


 やがて――鬱蒼とした木々の隙間が途切れた。

 その先にそびえ立つのは、異様なまでに巨大な山。


 「あれは……」


 「……ミクラルヴォルケーノ?」


 遠くに霞む山影は、確かにミクラルに聳える火山に酷似していた。

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