ヒロユキとジュンパクペア
《ステージ かまど地獄》
「アニキ!」
「……ジュンパクも来ていたのか」
灼熱の蒸気が地面から噴き上がり続ける熱帯雨林。
その灼熱の世界で、ヒロユキとジュンパクは再会を果たした。
「うん! て言っても、さっき吐いて酔い覚まし飲んで寝てたんだけどね」
「……飲みすぎだ」
「えへへ……でも、酔ってる時に見た夢では無かったみたいだね」
「……あぁ……あれはアオイじゃない」
「二重人格……なのかな?」
「……その可能性はある」
「じゃあアニキ、確認しよっか」
「……あぁ」
慣れた手つきで互いの持ち物や武器をチェックする二人。
戦場を共にした仲間にしかない、呼吸の一致だった。
「人格が二つあるのか、あるいは乗っ取られてるのか……。でもハッキリしてるのは、あのお姉ちゃんは“別の存在”。――そう、人類の敵……『女神』って呼ぶべきかな。そして、その女神が言ってた通り、ミーたちには敵が用意されてる」
「……あぁ」
「ふざけやがって。さっさとぶっ殺して、お姉ちゃんを取り戻さないと」
「……敵……」
ヒロユキはその言葉を聞き“仲間”の姿を脳裏に浮かべた。
「アニキ、言っとくけど――ユキナが相手でもミーはやるよ。どんな理由があったとしても、裏切った仲間は敵より許せない」
「…………」
「まぁ何にせよ、敵を確かめなきゃね」
「……あぁ」
「ちなみにだけど、ツクヨミの力は、ほとんど使えないみたい」
「……夜の神だから、か?」
「うん、しかも、ツクヨミが言うには、この世界そのものが女神の作り物で――夜が来ないらしい」
「……なるほど」
話しながら、ヒロユキとジュンパクは確認した魔皮紙を二手に分け、それぞれポケットへしまい込む。
「……ジュンパク、身体は大丈夫か?」
「うん! むしろ、いつも以上に元気が出てるよ!」
「……そうか……」
2人とも限界突破の副作用に苛まれ、魔力も尽きていたはずだ。
回復したといっても、戦闘できる状態には到底なかった。
――それなのに今は、まるで全盛期を取り戻したかのようなベストコンディション。
これは女神アオイがやった事__
「……なぜこんな回りくどいやり方を……」
女神アオイからしたらベストコンディションの俺達を1人殺せると言うことだ……なぜ敵など用意する?
「? 何か言った、アニキ?」
「……いや、何でもない」
それきり2人は言葉を交わさず、気配を殺して熱帯雨林を進む。
やがて――鬱蒼とした木々の隙間が途切れた。
その先にそびえ立つのは、異様なまでに巨大な山。
「あれは……」
「……ミクラルヴォルケーノ?」
遠くに霞む山影は、確かにミクラルに聳える火山に酷似していた。





