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異世界転生したら女になっていました!  作者: しぇいく
第九章

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いざ、洞窟内へ

 「アアアアオオオオイイイイイ!!!」


 「____ッッ!!??」


 突如、雲を割って舞い降りた黒き巨影


 「イイイイイイイイ!!」


 ブルゼの巨躯は信じられない速度で山亀の周囲を旋回する。


 「オオオオオオオオ!!」


 ブルゼの異形の口からストローのような器官が伸び――

 緑色の巨大な液体を吐き飛ばしてきた。


 「グオオオオオオッ!!」


 得体の知れぬ攻撃に危険を察した山亀は、甲羅の隙間から無数のレーザーを放ち、液体に集中砲火を浴びせる。

 ――次の瞬間。


 ボゴォォォォォンッ!!


 液体が炸裂し、無数の飛沫が降り注ぐ。

 海に落ちたそれはシュウウウッと白煙を上げ、やがて海そのものを毒々しい緑色へと侵食していく。


 「____!!!」


 怒号とともに山亀の巨体が揺れる。だがその一瞬の隙を逃すブルゼではない。


 「アアアアアアアア!!!」


 黒い弾丸のように突進し、次の瞬間――山亀の顔面に取り付いた!

 硬質の表皮に、鋭い虫の爪が突き刺さる。


 「____!!!」


 山亀は海を割る勢いで頭を振り回し、必死に振り落とそうとする。

 だが、ブルゼは食らいついたまま咆哮を上げ、顔面に張り付き続ける――。



 巨獣同士の激突で、海も空も揺れる。だが、その隙――山亀の周りへの攻撃が止んだ。


 「ほんと、こういうの……私の専門じゃないんだから!」


 金色のブルゼの背に掴まったアンナが甲羅の上に着地する。


 「山亀を引きつけてくれたおかげで助かったわ……気づかれる前に探し出す!」


 「アアアア?」


 黄金のブルゼがわずかに首を傾げる。


 「いいから、少し静かにしてて!」


 「イ……」


 アンナは目を閉じ、深く息を吸い込む。


 「すぅ……《マジックシーリング》!」


 次の瞬間、彼女の視界は闇と線で構築された異界の光景に切り替わる。

 空間を走る魔力の流れが血管のように浮かび上がり、二つの巨大な塊がぶつかり合っていた。


 「……うわ、予想してたけど……二人とも魔力量デカすぎ!」


 ぶつかり合う二つの魔力の奔流。その一つは明らかに山亀のものだった。

 アンナはその奥へ奥へと意識を潜らせていく。


 「甲羅の隅々にまで魔力が循環してる……これ、どう考えても常識外れの量よ……」


 「オ?」


 「黙っててってば!」


 「ア……」


 緊張で汗が頬を伝う。だが――彼女はついに、その中心を視た。


 「……見つけた!核!」


 目を見開き、アンナは叫ぶ。


 「行くわよ!!」


 「イイイイ!」


 黄金のブルゼに掴まり、彼女は甲羅に空いた洞窟の入口へと飛び込む。


 「……甲羅に洞窟ってどういう構造なのよ……。でも、ここから行くのが一番早い!」


 「アアアア!」


 こうして、アンナとブルゼは轟音の戦場を背に、山亀の体内へと潜入していった――。


 

 

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