アンナ ルダvs ユキナ
「ちなみに、アンタ……ユキナって言ったっけ?ヒロユキさんのパーティーに居たでしょ、どうして敵になったの?」
「愚問、最初から敵」
「ふーん、堂々と裏切ってたって言うわけね?」
「何か?」
「いや、私もヒロユキさんの所の人たち……あのクソガキを除いてそれ以外の人達には何かとお世話になってたのよ、だから殺すのは気が引けたけど、それならいいわねって話」
「2人、私、倒す、無理」
「ふん、それはどうかしら?こっちには【神の使徒】様も居るのよ」
そう言うとユキナはルダの方を見た。
「…………何さね?」
「フッ」
「ぬわぁ!!!何か馬鹿にされた感じで笑われたさね!」
「ボス、聞いた、神の使徒、イレギュラー」
「た、たしかに私はイレギュラーさね、他の奴らより適性は低いさね」
「ちょっと、しっかりしてよ」
「そう焦るんじゃないさね、それでも私は若いし強いって言う事さね」
「話、終了、始める」
「そうね」
その瞬間、ユキナの後ろから水が生きている様に動き出し拘束した。
「……」
「私達が無駄に話してたと思う?悪いけど、色々と細工させてもらったわ」
「ククッ、私からよく見える位置だったが、お前からは見えない位置だったさね」
「無駄」
絡み付いているスライムの様になった水の中に種が発生し、そこから水分を吸いだし海に落ちた。
「『芽生えろ』」
「!、海から木の根が!?」
「アンナ!掴まるさね!」
危険を察知したルダは翅を生やしてアンナの手を掴み飛ぶ。
「脱走、逃がさない」
勢いよく広がっていく木の根がまるで生きているかの様にルダ達を捕らえようと動き出す。
「アンナ!少しスピードをあげるさね!」
「うん!」
振り落とさない様にアンナを背中から抱く様に持ち替えて木の根をブンブンと避けながら空に飛んでいく。
「鬱陶しい、撃ち落とす」
次は海にできた木の根の足場から何百もの白い花が咲きツボミの様に変形して中から何かの液を発射する。
「な!?」
「あれは……『砲酸撃花』!?」
「あんなに大きいのは見たことないさね!」
「【盾壁】!」
ルダは砲撃を避けて行くが数が多く、当たりそうになる弾はアンナが持っていた魔皮紙で対処する。
「【盾壁】!【ウォールシールド】!【防御壁】!」
「ここは一旦退却さね!」
ルダとアンナは何とか射程範囲を超えて海の向こうに消えていった……
「……」
ユキナは撃つのを辞めて目を閉じる。
「来るなら、迎え撃つ」
そしてユキナを中心に自然の要塞が広がって行くのだった。