表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
548/644

ムラサメの過去

 《??年前 アバレー王国》


 小さな冒険者ギルドから出てきた仮面をつけた親子2人。


 「お母様!やりましたですぞね!ギルドに【衰地鶏】が高く買い取ってもらえたですぞ!」


 「えぇ、お祝いよ、今日はムラサメちゃんの好きなものを買ってあげる」


 「本当ですぞ!?じゃ、じゃぁ私は【大蛇万】のお肉が欲しいですぞ!」


 「フフッ良いわよ」


 ムラサメとその母親は早くに父を亡くし、貧乏で山の洞窟に住んでいて、彼等の収入源は洞窟に時々来る小さな魔物を罠にかけてそれを売る事だった。


 ちなみに【衰地鶏】はあまり美味しくなくギルドにも低い値段で取引されるのだが、今回はたまたま品質が良かったのが居たのだ。


 と言っても、雀の涙ほどだが……


 そして、今日は村へ買い出しの日__


 「____」


 「____」


 村人達は親子を見てヒソヒソと話し始める。


 「来た来た、女神の親子よ」


 「いやぁねぇ、ここからでも臭うわ……臭いわねぇ」

 

 「それに何あれ、なんで仮面つけてるのかしら?不気味ねぇ」


 「今日は帰ろうかしら、あの親子が見たら気分が悪くなって来たわ」


 「私も、帰りましょ」


 次々と家に帰って行く獣人達。


 「……」


 「……」


 「お母様__」


 「行こっか、ムラサメちゃん」


 「はい……」


 2人は目的のお肉屋さんまで来た。


 「いらっしゃ____ちっ、なんだアンタらか」


 「はい……あの今日も干し肉と……後、【大蛇万】のお肉を100グラムだけ……」


 「ほう?大蛇万の?おめーさんにしちゃ珍しいな」


 「少し、多くもらえたので……」


 「ふん、100グラム600ってとこだ」


 「え!?」


 評価には大蛇万の肉は100グラム200と書いてある。

 3倍の値段だ。


 ちなみに【大蛇万】の肉も美味しいものでもなく、よく家畜の魔物の餌に混ぜられることが多い肉だが、彼等にとっては贅沢な品だった。


 「あ、あの値段が」


 「勘弁してくれ、アンタがウチで肉を買って行くからこっちは客がどんどん減ってきてるんだ、「女神に肉を売ってる店」ってな、言わんとする事は分かるだろ?」


 「そ、そんな……」


 「もう一生、うちの肉を買いに来ないなら普通の値段で売ってやる」


 「…………はい」


 「よし、ほらよ、二度ともう来るなよ」


 元々そのつもりだったのか用意していた肉を母親にあげてギルドカードで精算する。


 「お母様……」


 「行くよ、ムラサメちゃん」






 2人は大量の安い干し肉と大蛇万の肉100グラムの袋を持って洞窟へ帰っていった……


 






 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー 小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ