反撃
「あーたん完全ふっかーつ!」
全裸で構えているあーたんくんに私は着ている装備を破って渡す。
「ふにゅ?」
「自動で発動する魔法は切ってある、女性が裸なのは些かはしたない、それを腰と胸部に巻くといい」
「……」
「どうした?」
「いや、きーるさま、もしかしてあーたんと子作りしたいの?」
「ブフッ!なんでそうなる!?」
「アンナがいってた、裸に興奮するのは子作りがしたいからだって」
「えぇ……」
見た目は女性だが中身が魔物なのは変わらないのか……
「あーたん的にはキールさまみたいに強い遺伝子を残せるなら喜んで子作りするよー!」
「まったく!何を言ってるんだ君は!そもそも私にはエリコと言う妻が____」
「ふざけた話をするのもそこまでですぞ」
「……」
「ラクネ、貴様失敗したか?」
「!!、い、いえ、私は確実に内部炸裂をしたはずでなまし!もうあやつの中身はぐちゃぐちゃになったはずでなまし!」
「結果、そこにピンピンになって立っているですぞ、どう言うことですぞか?」
「それは……」
「あーたんは最強なんだよー!」
「うるさい!黙るでおくんなまし!」
「これで此方も2人だ、卑怯とは言わないだろうな、ムラサメ」
「ちっ」
ムラサメは舌打ちをしてもう一度、戦闘態勢に入る。
「まぁ良いですぞ、即興で組んだペアなど相手にならないですぞ」
「……」
たしかに、先ほどよりも有利な状況なのは違いないが、そこが問題だ、下手をすればお互いの連携が出来ずにそこを突かれるかもしれない。
「あーたんくん」
「んにゅ?」
「君は自由に動け、援護は私がする」
「うん!わかった!それと、あーたんはあーたんでいいよ!」
そう言った瞬間、あーたんは一直線にラクネの方に行った。
「あーたんぱーんち!」
「やられないでまし!」
「さっきみたいに不意打ちじゃなかったらやられないよーあーたんは!」
……む?この動きは……
「隙ありですぞ!」
「私を忘れてもらっては困る!」
あーたんの横から鉤爪で攻撃しようとしたムラサメを私が止める。
それを最初から信じていたかの様にあーたんは見向きもしなかった。
「そりゃ!そりゃそりゃそりゃそりゃそりゃ!」
流れる様に攻撃をしていく拳の動きに私はかなり見覚えがある。
まさかな……
「うりゃ!うりゃうりゃうりゃうりゃうりゃ!ころすぞー!」
………………
そんな物騒な言葉遣いをこの子がするはずがない、つまり、今のは真似をしたと言う事になる、と言う事は……
「クロめ、いつの間に仕込んでやがった」
そう、あーたんの動きは昔、籠手を武器として使っていたクロエの動きとまんま一緒なのだ。
「だが!好都合!」
私はムラサメの攻撃を受けた直前に少しだけラクネの足場を剣で崩した。
その一瞬。
「およ!」
長年一緒に組んで見てきた友と同じ型なら次がどこを攻撃するか予測できる。
そして、私の予想通り
「っ!!」
あーたんの攻撃はラクネ顔面に直撃した。
「こっちだ!次!全力!」
後は簡単だ、体勢が崩れれば必ず相方が助けに入る。
「あーたんぱーんち!」
完璧なタイミングで私はムラサメの鉤爪を捉え盾を上から叩きつけ無防備にした。
「ぐはっ!」
まともにあーたんの拳をくらったムラサメは回転しながら飛んでいき____
「ガッ!!?」
下から突き出ている足場に突き刺さった。