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『待つなんて駄目よー?はい、みやちゃん死亡♪』


 「遅いぞ!クソ魔王!」


 「すいませんっ……」


 マグマから這い出た大マスターは、傷をじわじわと再生させながら、血の混じった唾を地面に吐き捨てた。

 

 「どういう事ですか、みやさん」


 「……」


 「答えてください!」


 「……」


 「アナタは私たちと旅をしていてその人がどれだけ悪か知っているはずです!『女神の翼』を壊滅させるために一緒に戦った!どうして!なぜ!その人の味方をしているんですか!」


 「…………本当の悪はっ、私」


 「はい?」


 「ククッ、昔の仲間には答えにくいでしょうから私が教えてあげましょう、34番、アナタが壊滅させたと思っている『女神の翼』は私達が用意していたフェイクです」


 「!?」


 「良いですか?最初からアナタ達は私達の手の上で踊らされて居たんです、アナタ達の行動、行き先、全て此方が把握していた、なぜか?」


 「ま、まさか」


 「そう、彼女は最初からアナタ達の仲間ではなくこちら側のスパイなんですよ」


 「……」


 みやさんは此方と目を合わそうとしない。

 

 「う、うそですよね?」


 「ごめんっ……」


 待って……そうなると、私たちのしてきた事は全部__


 「一体何のために!」


 「全ては『あの方』の指示のもとです」


 「みやさん!」


 「……」


 「さぁもう良いでしょう34番、これがアナタがあの方の前に行けない理由です」


 「それとこれの何の関係が!」


 「気付いてないとは言わせません、ここはあの方が強大な力で作った世界、そしてこう言いました『敵を殺せば勝ち』__っ!」


 みやさんは大量の針を全て隣にいた大マスターに刺した。


 「ぎ、ぎさま……うらぎっ……」


 「……」


 そのまま大マスターは元の人間の姿に戻り倒れた。


 「みやさん!」


 私は安堵した。

 やっぱりみやさんは仲間だったんだと、裏切って居なかったんだと……だけど、次の言葉で違う事を確信した。


 「アカネっ、ここを出たいならわたしを殺してっ」


 「え……」


 「こいつの言ってた事は本当っ、私はリュウト達を上から言われた通りに誘導してたっ」


 「そ、それは……たしかに許せる内容ではありません、だけど」


 「……」


 俯くみやさん……だけどその頬には


 「どうして、泣いてるんですか?」


 涙が流れていた。


 「っ、こ、これはっ」


 あぁ、その涙……その目……知ってる。


 「そうするしか、無かったんですよね」


 「っ!」


 奴隷だった私には解る、嫌な命令でもやらないと殺される時の目だ。

 

 「ごめんなさい、もう少し早く気付いてあげるべきでした」


 きっと、今まで隠していたのだろう、それを見逃していた私たちにも責任はある。


 私はゆっくりと近づく


 「……」


 そして、みやさんを抱きしめた。


 「……」


 「……」


 「私はみやさんを殺せません」


 「っ!でもっ、それじゃぁここから__」


 「出なくて良いんです、だって、私達にはリュウトさんがいるから」


 「!」


 みやさんは私が何を言いたいか解ったみたいですね。

 そう、待てば良いんです、私達はリュウトさんや他の方達を信じて助けに来るのを……生きていれば、必ず良いことが起きますから……あの日みたいに……


 「フフッ、時間はあります、今みやさんがどう言う状況か____」


 そう言った時だった。


 「っ!そんなっ!この魔法は『あの方』だけが発動出来るはずっ!アカネっ!離れてっ!」


 みやさんが私を風魔法で飛ばしてきたと思った次の瞬間。


 「____え」

 

 




 みやさんの身体に魔法陣が浮かび上がり爆発した。












 「!!!!?!?!??」








 風魔法の効果は切れて爆風で飛ばされる。









 「みやさん!?!?!?!?」




 何が!何が起こったの!?




 爆発が終わった後、みやさんと私の立って居た位置は何も残っていない。

 灰色のマグマがあるだけだ、私がそこに居たら確実に死んでいただろう。



 「いや〜、もしもの時のために権限をもらっていてよかったですよ」


 「っ!?」


 私の後方の上空で声がして振り返ると


 「私が死んでなくて残念でしたね、34番さん」


 殺されたはずの大マスターが元の姿で居た。

 

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