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そして__

 「__あれ?」


 どういうことだ?

 ほんの一瞬、気を抜いた……その一瞬の間に。


 「ど、どういうことだ?」


 ありえない。


 周囲を見渡すと――ホワイト団の人間たちが、跡形もなく消えていた。


 「リュウトさん!」


 「アカネ!」


 「どうなってるのよ、これ」


 「アンナさん……俺にも分からない」


 アカネやアンナさんが声を上げる。


 この場には【神の使徒】達と勇者のパーティーしか残っていなかった。


 ……あれ?


 「アオイさんは__」


 その瞬間。


 大きな魔法陣が光を放ち、舞台のようなステージが転送されてきた。お祭りの出し物のように、突如として目の前に現れる。


 「!?」


 「みや!」


 「みやさん!?」


 「あの子だけじゃない……隣にいるのは……」


 ヒロユキが驚愕の声を漏らす。


 「……ユキナ」


 そう、ステージの上にはみやとユキナ。

 二人は魔法陣を展開し、明確にこちらへ敵意を向けて立っていた。動けば攻撃する――そう告げる構えで。


 「どういうつもりだ、みや! 悪ふざけが過ぎるぞ!」


 みやの周囲に浮かぶ無数の針は、確実に全員を狙っている。


 「……」


 「……ユキナ」


 「説明、不要。手荒、したく無い」


 ユキナもみやと同じ……どういう事なんだ……?


 



 ____直後、肌を突き刺すような殺気が走る。




 「相変わらず甘いな、お前は」


 「__っ!!」


 ______!!!


 ――まさか!



 「…………エス」



 思わずレイピアに手を伸ばす――が。


 「無駄なことは考えるな。視野を広く持て。周りを見ろ」


 「……」


 ハッタリではない。冷静に周囲を探れば、暗闇の奥から複数の殺気が迫っている。


 ――囲まれている。完全に。


 「今更何の用だ、エス」


 「今更?」


 「そうだ、今更だろう。魔神は俺たちが倒した。お前……いや、“お前達”はその間何をしてた? まさか俺たちが弱るのを待っていたなんて、カッコ悪いこと言わないよな?」


 「ククク……」


 ――こいつが笑うのは決まって俺を馬鹿にする時だ。


 「何がおかしい」


 「そうか。貴様はまだ“知らない”らしいな。……なら、黙ってステージを見ていろ」


 「…………」


 エスの言葉を受け、俺は舞台へ視線を向ける。

 この場にいる全員が俺の会話を耳にしていたらしい。同じように、全員の視線がステージに吸い寄せられる。


 その瞬間を待っていたかのように、――軽快な音楽が流れ始めた。


 「!?!?」


 「な、なんだこれ……」


 「うそだ……ろ?」


 信じられない光景が広がる。




 『はぁーいっ♪ みんな注目ありがとーっ!』


 『私がこの人たちのリーダー♪ 影の暗躍者? 黒幕の犯人? いえいえ! 選ばれし真のラスボス!』







 眩しいライトを浴び、マイクを握ってアイドルのように跳ねる彼女。

 キャピキャピと可愛らしく、観客を煽るように両手を振り――







 『アオイちゃんで〜すっ♪ キャハッ♪』




 ――色が、無かった。









 




 

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