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罠!

 次々と中へなだれ込んでくるタナトス達。


 「嘘だろ……一匹でもあれだけ強かったのに」


 「いっぱい来たです! 気持ち悪いです!」


 「どうしましょう、リュウトさん」


 「どうしようかな、アカネ」


 「ごめんっ、私の毒がどれか効けば……」


 「……」


 仲間たちの表情に焦りがにじむ中、アンナは考えていた。


 (元々リュウトの【武器召喚】は、期待できるほど安定して出るものじゃない……でも、出た時は必ず“勝利を確信した時”か“絶体絶命のピンチ”)


 タナトス達は完全にリュウト達をロックオンし、炎の壁の外側を回り込みながら、じわじわと包囲を狭めてくる。


 (確かに、このタイミングで現れるのは自然ね。これだけ強敵が押し寄せれば、リュウトのランスで一網打尽にできる……だけど)


 ――アンナの眉がピクリと動く。


 (おかしい。タナトスの戦闘力は確かに高いけど、あの程度なら魔眼を発動させたリュウト一人で十分。私たちだって【限界突破】を使えば無理なく倒せる相手……これって、オーバーダメージじゃない?)


 「何人来ようが、このランスがあれば敵じゃない!」


 (まさか……!)


 アンナはハッとし、即座に声を張り上げた。


 「アカネ! あーたん! 【限界突破】よ!」


 「!」


 「はい! 【限界突破】!」


 「【限界突破】ぁ〜!」


 リュウトはアンナの発言に疑問を持つ。


 「どういう事だ!?アンナ!?限界突破をここで使ったら魔神戦の時には__」


 「目的地に行きながら話すわ!【限界突破】!」


 アンナも限界突破を発動し、指示を飛ばす。


 「みや! アカネ! 私が支援するからウッドリーワンドに穴を開けて! ここからタイムアタックよ!」


 「う、うんっ!」


 「行きますよ! みやさん!」


 アンナの魔法支援を受け、みやは直径二メートルの巨大な杭を生成。

 アカネが渾身の力でそれを叩きつけ、一直線の突破口を作り出す。


 「急いで!」


 あーたんは追いつけないユキを背中に乗せ、リュウト達は全力で道を駆け抜ける。


 「フシャーーー!!」


 「ふんっ!」


 前方から迫りくるタナトス達を、アカネとあーたんが純粋な腕力と武器の力で叩き飛ばしていく。


 「それで! どうしてなんだよ!」


 「罠よ、その武器は」


 「どういうことだ?」


 「そのランスは確かに、この世で最強の武器……だけど“出しているだけで膨大な魔力を吸われ続ける!それも尋常じゃない量をね!」


 それを聞いて概ね理解する。


 「なるほど、魔神の元にすら辿り着いていないから、使い続ければ……待て、まさか__」


 「そう。魔神は、わざと今【武器召喚】を誘発させたのよ!」


 ――【武器召喚】。

 これまで何度もリュウトを勝利へと導いた切り札。

 だが今、その黄金のランスは“足枷”に変わっていた。


 そのせいで魔神の所まで辿り着くのに時間制限が追加され。

 さらに、魔力消費を抑えるためにリュウトを戦力外にした結果、タナトスの軍勢を捌くのにアカネとあーたん、そして、アンナまでもが【限界突破】を強いられた状況を作り出された。


 「まずい状況よ。引き返しても、その神の武器は此方の意思では収納できない」


 「くそ、先手を打たれた」


 「早く気がつくべきだったわ、今までの魔王……いや、人間達でさえ【武器召喚】の存在を知っているんだもの、魔神ならそれを誘発させる事なんて出来て当然だったわね」


 「くっ……」


 「全力でアンタを運ぶ! いいわね、みんな!」


 「はい!」


 「はーい!」


 「みや! アンタは魔神の弱点を突ける最後の切り札よ! 死んでもリュウトから離れないこと!」


 「うんっ!」


 「……すまん、みんな。力を貸してくれ!」


 その声に、仲間たちは力強く頷く。

 そして――リュウトを守るため、タナトスを切り裂きながら魔神城への道を突き進んだ。



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