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魔神を目指す理由

 《六英雄 拠点》


 「{トミーさん、エス、ストーップ! 今すぐ戦闘やめて!}」


 {{了解}}


 「{うお、相変わらず言えばすぐ従ってくれるのね……}」


 通信越しにふたりから素直な返事が返ってきて、アオイはほっと息をついた。

 通信を切り、ウジーザスの方へ目をやると――彼女も通信中。


 (うん、普通はそうだよね……ちゃんと理由聞くよね)


 「あのー……」


 「少し待っててくださいね。こちらで話すことがあるので」


 「あ、はい……」


 ウジーザスはそう言って、アオイの方には背を向けると、奥の部屋へと歩いて行った。

 どうやら会話の内容を聞かせたくないらしい。


 


 ――さて、どうしてこんな状況になっているのかというと……


 


 それは、今からほんの二十分前のことだった。








 〜20分前〜


 「ようこそ、アオイさん」


 「……」


 俺は、手の紋章を頼りに六英雄の拠点へと転移して来た。

 入り口には大きな石扉があり、そこに刻まれた紋章に自分の手を重ね、光らせることでこの空間へと導かれる仕組みだった。


 「『神速』を使わなかったのは、賢明な判断ですね」


 「こっちは戦いたくないから。それを“行動”で示したつもりだよ」


 「他の手段を選んでいたら――命はなかったかもしれませんよ?」


 「……うん。正直、どう考えてもその力には敵わないと思った。だから、もう……白旗あげながら来るしかなかった」


 「そうですか。……でも、あなたは一度、私を倒しているのですけどね」


 「え?」


 「気にしないでください。――では、話をしに来たのでしょう?ご案内します」


 ウジーザスは踵を返し、広い部屋へと俺を導いた。

 中には六つの椅子と、それを囲むような巨大なモニター。そして重厚な会議用の机。


 「ここは……?」


 「六英雄が集う場所です。……今のあなたにも、その椅子に座る資格はある」


 「え、あ……じゃあ、失礼して」


 俺はおずおずと椅子に腰かけた。

 ほんのり温もりが残っていて、つい誰かが座っていたのかと気になる。


 「……親子、ですね」


 「親子?」


 俺の言葉を無視して、ウジーザスはポツリと独り言のように言った。


 「それで。以前、言いかけていた話とは何ですか?」


 (言いかけてた……ああ、あの時か。協力して他の勇者を倒せって持ちかけられて、俺が断ったら……レナノスさんが急に襲ってきた、あの場面)


 「……僕の話を、聞いてほしい」


 「――聞きましょう」


 

 「ウジーザスさんのメッセージは見ました、その映像には僕やヒロユキくん、リュウトくんの勇者が魔族を殺している映像」


 ちなみに俺は殺してないぞ?気絶させていってただけだったが、気絶して倒れた魔族は踏まれたり殺人トルネードに巻き込まれていたりしたから同罪なんだろうけど……そもそも死体だったとしても仲間を踏む方がおかしいっての!そもそも殺人トルネードで仲間を巻き込むって考えが意味わからん!


 おっと……こんな事言い出したらキリがないので言うのはやめておこう。


 「アナタはあの映像を見て何も思わなかったんですか?」


 「いえ……正直、僕も見ていて怒りを覚えました……だけど、あの映像は“魔族からの視点”でしか映っていない」


 「……」


 「まずそこがおかしいと思うんです」


 「一方的に殺される魔族の方が悪いと?」


 「その考えがおかしいって言ってるんです、確かに何も知らないで根っから魔族を悪と決めつけて戦っていたのは謝りますが、魔族の方も人間にそう思われるような事をしていた」


 「では、人間に周知しろと言うのですか?「お前達は家畜だ」と「生贄だ」と?」


 「それは……」


 「そんな事をすれば人間と魔族の戦争になります」


 「でも、結果はこれですよね、戦争をするより被害が出ている」


 「それは結果論です、勇者を召喚しなければこうならなかった」


 「……」


 「アナタ達、勇者が全ての元凶」


 こっちも呼んだくれ!って頼んだわけじゃないんだよ!って決まり文句なんて言わない。

  

 みんな覚えててそのセリフを言う主人公ってザ・主人公の性格してるから。


 だから俺はこう言うのさ!


 「まぁ……色々話したけど、こうなった以上仕方ないよね」


 「!?」


 「過去の事を話すのはもうやめましょうよ……なんか失敗した後その失敗したことしか責めないダメダメのクソ上司みたい」


 「何を言ってるんですか?」


 「未来を視る事が出来るのに過去をどうこう言っても仕方ないって言ってるの!」


 あれ?でも過去の話したのって俺からだっけ?まぁいっか!


 「その言葉、死んでいった魔族の人達にも言えますか?」


 「だから、僕は未来で何とかします」


 「どうしようと言うのですか?」










 「僕は魔神の所に行って魔王達や魔族の復活を頼みにいこうと思っています」



 



 


 そう、それが俺の魔神を目指す理由だ。





 

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