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『リュウトに起こる奇跡』



____『キャハッ♡』


______『女神のキスを受けたんだもの♪』


__________『そのまんま死んじゃや〜よ♡』


________


____


__『


 「リュウト君……」


 雨の音も、鼓動も、遠くなっていく中――

 最後に見せたその微笑みは、どこまでも穏やかで優しかった。


 「……」


 胸が張り裂けそうになる。

 『私』のせいで、リュウトは――


 でも、涙で滲んだ視界の中、思わず瞬きをしたその刹那。


 ――え?


 ……何もなかったかのように、リュウトの失われたはずの下半身がそこにあった。


 「うそ……」


 瞬きする度に__


 傷口も、服も何もかもが……まるで“巻き戻すように”癒えていく。


 「…………アオイ、さん?」


 目を開け、ゆっくりと名前を呼ぶその声。


 「え、えーっと……おかえり?」


 返す言葉すら、混乱したまま。

 でも、確かに今この膝の上で、あの声が――あの瞳が――私を見てる。


 「なにこれ……どうなってるの……?」


 「……っ!?うわぁ!?ご、ごめんなさい」


 リュウトは顔を真っ赤にして俺の膝枕から飛び起きた。


 いや!?そこ!?今頃!?


 何がどうなってるんだ!?けど一つ言えることがハッキリある!

 

 「生きててよかったよおおおオオォ!!」


 「へ、ぁっ――!?」


 


 気がつけば、私はリュウトをがっつり抱きしめていた。

 涙が止まらない。もう、理性とかいらん。抱かせろ!


 


 「心の友よぉおおおおおおお!!!」


 


 「ま、まってくださいアオイさん! 当たってます!当たってますってば!!」


 


 ん?なにそのウブなセリフテンプレ?

 じゃあ、こっちはこう返すしかないじゃん?


 


 「――当ててんのよ!」


 


 雄っぱいのひとつやふたつ、どうでもええわ!!!


 


 「っ……!!」


 


 リュウトは顔を真っ赤にして硬直。

 おいおい、また気絶しそうになってんじゃん!


 


 


 「ど、どうなってるんですか!?

 なんか記憶が全然なくて……どうしてここにアオイさんが!?」


 


 「え、何? 覚えてないの?」


 


 「は、はい……最後の記憶は、山亀討伐の設備を周ってたあたりで……」


 


 「山亀……?」


 


 リュウトはその場でぐるっとあたりを見回す。


 


 「まさか! ここって――!」


 


 「????」


 


 「アオイさん! 急いで洞窟の中に避難を!」


 


 そう言って、リュウトは私の手を引いて入口の方へ走り出す。

 ……いや、ちょっと待て、今どのテンションなんだこれ?


 


 


 洞窟に戻る途中、私はぽつぽつと、これまでの経緯を話した。


 


 もちろん――


 


 キスのことは、記憶からきれいに削除していただこうと思ってます。

 ええ、都合よく、華麗にスルーでお願いします。







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