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アオイちゃんついに脱出!


 「助けが……こない」


 


 いやいやいやいやいや!

 おかしくね!?何日ここに居ると思ってんねん!!?


 


 もうあれだよ!?

 むしろ慣れすぎて実家のような安心感だよ!?

 “帰ってきた感”あるからね!?ここに!!


 


 では、ここで私の監禁ハウスをご紹介しよう!


 


 【出入口】

 岩で完全にガード!外にも出られません!中にも入れません!完全密封!空気だけがギリギリ通過!


 


 【床】

 黒い薔薇の花びら敷き詰め!インスタ映え確実の薔薇カーペット!

 しかもなんか最近、前よりモッサモサに増えてます!


 


 【ベッド】

 花びらを集めてもっこもこにしてその上に寝てます!寝返り打ったらズザァって滑るよ!

 **寝心地?最悪だよ!!**夢で転がって現実でも転がる地獄!


 


 【トイレ】

 これはもう言わせんなよ?察してくれよな?

 ……おいそこ!変な目で見るなよ!?**体は女だけど中身は男だからな!!**超重要!


 


 【食事】

 水:上から垂れてくる雨水をちぎった服でキャッチして絞って飲んでます。

 汚いとか言うな!!生きるためだからな!?こっちは真剣なんだよ!?


 


 食べ物?

 ええ、食べてますとも……薔薇の花びらをな!!!!


 よく噛めばね?……食える。たぶん。

 味?え?味って何?


 


 


 アニメとか漫画で閉じ込められてるキャラいたけど……

 あれ、全員どんなメンタルしてたの!?神なの!?


 


 マジで尊敬する。今ならその人たちと仲良くなれる気がする。

 同じ監禁仲間として。

 

 「あぁぁぁああああああ!!」


 「ゲームしたい! 漫画読みたい! ラーメン食べたい!! 焼き肉食べたい!! お酒飲みたいぃぃ!!!

 ていうか……日本に帰りたいいぃぃぃ!!」


 


 おじさん心、限界突破。


 もうダメかもしれん……

 心が……心がバキバキに……


 


 「てか、なんかさっきから外がドコンドコンうるさいし……雷でも落ちてるのかな……?」


 


 その時だった。


 


 


 ――バコオオオオン!!!


 


 


 「へぁ!? な、なに!?」


 


 反射で花びらに潜り込む。

 入り口の方から、轟音!! そして――


 


 


 ガゴオオン!!


 


 


 これは……これは……間違いない!


 


 


 「助けが来たあああああああ!!」


 


 


 よし!よしよしよし!!

 とりあえず身支度しないと!


 とりあえず服が乱れて恥ずかしい部分全部出てるから着直してっと__


 


 よしっ!!!!


 

 よし来い!!誰でもいいから来い!!!ヒーローよ今こそ登場しろォォ!!!


 ――ものすごい音がどんどん近づいてくる。


 


 そして、ついに念願の岩が――爆音とともに砕け散った!!!


 


 「やったー!これでここともおさらばだぁ!!」


 


 助けてくれた人、誰!?

 おじさん嬉しすぎてキスしちゃうぞ!?マジで今ならできるぞ!?


 


 砂ぼこりと、舞い上がった黒いバラの花びらの中から……現れたのは――


 


 


 「ガァァア!!!」


 


 


 「ひっ!? りゅ、リュウト……くん?」


 


 目の前に現れたのは、両手を真っ黒に染め、よだれを垂らして唸る獣のようなリュウト。

 瞳は据わり、表情は狂気寸前。誰がどう見ても“それ”だった。


 


 「……」


 


 「え、えと……話せる状況じゃないよね? ははっ」


 


 ヤバい。これはアレだ。暴走パターンだ。誰がどう見てもヤバい奴だ。


 


 何も言わずに近づいてくる。

 こっちは後ずさる。

 助けてくれたのに、**ホラー演出入ってるのおかしくない!?**ギャップすごすぎて心が迷子だよ!!


 


 そして――


 


 「が、ぁ……」


 


 リュウトは、突然その場でドサッと倒れた。

 まるで**“何かに力を吸われて力尽きた”**ように、静かに、崩れるように。


 


 「え、えーっと……」


 


 カオス。

 助けに来た人が倒れるってどういうことなの。

 これ誰が誰を助けた構図なんですか。


 


 ……でも、助けてくれたのは本当だ。


 


 アオイはひとまず、倒れたリュウトの腕を持ってずるずると引きずる。


 


 「……よいしょ、よいしょ。

 助けてもらったし、まぁ……助け返すのが筋ってもんよね」


 


 そうして、ようやく――

 “薔薇地獄の監禁部屋”からの脱出を果たしたのだった。


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【山亀】到着まで、あと半日


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