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カモフラージュでした!

 ど、どうしよ、あんな別れ方したのに今更「地図間違ってましたよ♪ おっちょこちょいだなぁアハハ」なんて言えねぇ! そもそもどこにいるか分かんないし!

 この世界、連絡手段が“家電”しかないし! しかもみんなほとんど家に居ないし! 勇者を含めて周りの人とかいつ帰ってくんの!ってなるし!


 こうなったら……ヤケだ! プラン変更!


 ここで働かせて貰って、お金貯まったら改めて探そう! 居酒屋だし人はいっぱい来るだろうから、情報も集まる……はず。後は、受かるかどうかだけど……


 「お、おっぱいとお尻くらいなら触られてもいいかな……」


 最終手段は、女になった身体をとことん利用するしか……ええーい! 男は負けた時のことは考えないもの!


 「す、すいませーん!」


 ガラガラの引き戸の前で呼びかけると、俺が店の前でウロチョロしてたのが気になっていたのか、すぐに返事が返ってきた。


 「今は仕込み中だ、帰れ」


 おぉ……居酒屋に良くいるくらいの中年の声の人だな、実家のような安心感。


 ……まぁ、とりあえず、この人に道場のことを聞いてみるか。


 「あー……えと、すいません仕込み中でしたか、私、旅の途中で候、たまこ氏にこの辺りに“龍牙道場”って名前の道場があるって聞いたんですけど、知らぬでござるか?」


 なんだこの口調!

 いや〜、あれよ、よくよく考えたら“道場”って言葉聞いたら旅人っぽいな〜って思ったら、こんな口調になってしまった。


 ガラガラと音を立てて扉が開く。出てきたのは、黒毛で顔に大きな傷のある――狼獣人だった。


 顔こわっ!


 「……」


 めちゃくちゃ怖い目で、俺をじーっと見てくる。


 「ここが龍牙道場だ」


 「ふぇ……え?」


 ええええ!? 合ってたの!?


 「入りな」


 「は、はい!」


 言われて中に入ると、魔法で大きな空間になっているとかではなく、普通のカウンターとその後ろに四人用の個室があるだけの、小さな居酒屋だった。


 なるほど、道場に入るには、最初はここで働いて査定を――


 「お皿洗いとかしますか!」


 「? 何言ってんだ? お前はこっち」


 あ、違ったんだ。


 厨房の奥にあるドアを開けると、その先にはびっしりと魔法陣が描かれた部屋が現れた。


 「あ、はい……」


 「達者でな」


 中に入ると魔法陣が淡く光りだし――目の前が真っ白になった。


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