表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
179/644

とりあえず一区切り!

 


 「落ちついた〜?」


 「はい、ありがとうございます」


 家に戻ると、切り株みたいな丸い机と椅子が並び、たまこさんが温かいお茶を用意して待っていた。

 俺は素直に座る。


 さっきの「姉がどうとか」って話を、きっと今からするんだろう。


 「ごめんねぇ〜、もうこんな時間だけど、私たちは明日ミクラルに向かうから〜。少しだけでも聞いておきたくて〜」


 時刻は深夜三時を回っている。

 でも、「疲れたので寝たい」なんて、恩を仇で返すような真似はできない。


 「大丈夫です!夜は……慣れてますから!」


 「夜のお仕事してたの〜?」


 「い、いや、そういう意味じゃなくて……!」


 「ふふっ、それに敬語もなしでいいわよ〜」


 「じゃあ……お言葉に甘えて……」


 ……なんか、すごいペースに巻き込まれてる。


 「まずは自己紹介ね〜。私、たまこって言うの。見ての通り、狐の獣人でお医者さんしてるの〜」


 「たまこさん……よろしくお願いします。僕はアオイって名前で、奴隷です」


 うわぁ……やっぱり自己紹介に「奴隷」って言葉付けるの、すっごい違和感。

 でも、呪いはちゃんと解けてるみたいだし、そこだけはよかった。


 「さっき言ってた話だけど〜」


 「うん、僕は実は、ミクラルで――」


 


 ――そして、俺はミクラルで過ごした日々を、全て語った。


 ドーロ先生のこと。

 その恋人だった人のこと。

 子供たちのことも――。


 


 ____話し終えたときには、もうすっかり緊張も解けていて。

 ベッドに潜り込んだ瞬間、そのまま深い眠りに落ちた。


____________


 


 そして、朝――!


 


 「おかぁさん!起きて!起きて!」


 「んー……もうちょっと……」


 「おかぁさんー!」


 「んぁ……」


 ぽふっ。

 胸に何かがふわっと乗った感触で目を覚ます。


 「ユキちゃん!」


 目を開けると、そこには元気いっぱいのユキちゃんが、俺にぎゅうっと抱きついていた!


 「おかぁさん!」


 「元気になったんだね!よかった……よかったよぉ!」


 「怖かったよぉ……おかぁさん……」


 うわぁ、もうダメだ。

 涙があふれて止まらない。あの時のユキちゃんを思い出して、今の無事なユキちゃんを見たら……そりゃ、涙腺も決壊する。


 「はいは〜い、泣くのはいいけど〜。女の子なんだから、朝の身だしなみもしっかりね〜?」


 そこに、たまこさんがふわりと入ってきた。


 「って、あなたすごいわね〜。起きたばかりなのに、髪もさらさらだし、肌もぴかぴか〜」


 「そうなの!おかぁさんはすごいんです!」


 ……はは。確かに最近、寝癖とは無縁だなぁ。


 「さぁ、ご飯できてるから〜、早く食べちゃって〜」


 「ご飯です!」


 ご飯という単語を聞いた途端、ユキちゃんはパァッと笑顔になり、トコトコと元気に走り去っていった。


 ……さっきまで泣いてたのに、切り替え早すぎない!?

 俺、まだ涙が止まってないんだけど!?


 「……」


 そして、タイミングを見計らったかのように――。


 ぐぅ〜〜〜……


 お腹が盛大に鳴った。


 「…………」


 


 ……ま、いいか!

 俺もお腹空いたし!ご飯、いただきます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー 小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ