表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
140/644

求められる力!

 ジュンパクの息は絶え絶えで辛うじて意識を保っているようだ。

 その姿はまるで死神の影が迫り来るかのように、極限の状態を物語っていた。


 「……ジュンパク!?」


 ヒロユキはジュンパクを見てすぐに駆け寄る。


 「一命はとりとめてますヒロユキさん、ただ……無くなった腕の方は……」


 「……」


 「ヒロユキ君……」


 「妹ちゃん、あなたにも少し話があるから、ここはヒロユキさんに任せてこっちに来て話しましょ」


 アオイはアカネに従い小屋の外に出ていった。


 「アニ……キ?」


 「……ジュンパク!」


 「えへへ……しくっちゃった」


 「……あんまりしゃべるな、もう大丈夫だ」


 「ごめんね、アニキ……大事なときに1人にしちゃって……その、様子だとうまくいったみたいだね」


 「……」


 「ミーってさ、小さい頃から、悪い事しかしてこなかったからきっと、つけが回ってきたんだね……」


 「……」


 「言ってなかったよね……あの時、ミーを助けてくれて……ありがとう」


 「……」


 「初めてだったんだ、助けられたの……あの時、ミーの事を知らなかった他人なのに、どうして助け、たの?」


 「……兄さんの教え」


 「ふふ……そっか……アニキのアニキ……会ってみたいな」


 「……いつか会わせてやる、だから」


 「……」


 「……だから今は俺に任せて、ゆっくり休め」



 それを聞くとジュンパクはホッとした顔になってゆっくりと目を閉じた……


 「………………」


 ヒロユキは立ち上がり、目を閉じる。


 「……俺は、弱い」


 周りでは、魔法が炸裂し地が揺れるが、その激しい騒音や揺れが無くなっていく感覚に陥った。


 「__だけど、今、俺は“任せろ”と言った」


 ユキ、ジュンパク、ナオミ、リン、ショウ……そして兄。


 周りはみんな強かった。


 「……兄さんはどんな気持ちだったのだろう」


 いつも当たり前の様に近くにいてくれたユキ。

 元の世界では会えるのが当たり前だった兄。


 そして、新たに頼れる仲間になったジュンパク。

 

 いつも頼りにしてる人達が居なくなって解る__


 “自分は無力だと”


 「………………だけど」


 頭に出てくるのは兄の言葉。


 「……“男にはやらなきゃ行けない時が来る!”」


 そうつぶやくと、頭の奥深くに文字が現れるかのような感覚が彼を包み込んだ。


 「【武器召喚】」


 彼は意識を集中させ、その魔法を唱える。

 目を閉じ、深い呼吸をする。そして、彼の前に空間が歪み始める。




 「…………」



 彼は静かに息を吐き、その空間の中に手を伸ばす。何かを掴み取り、引き抜く。



 「……これが、俺の武器」




 手に握ったのは、周囲の光を反射し輝く立派な日本刀だった。




 

 







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー 小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ