教練1
帝国歴496年 7月
厳しい教練が始まった。
朝6時に起床、早朝マラソンを行った後朝食。
9時~12時・13時~14時まで座学、1時間の昼食。
14時~19時まで軍事教練、1時間の夕食。
その後は23時消灯までの自由時間となっている。
教練時間は9時間とそれほど時間的余裕が無い訳ではないのだが...
「あぁーもう嫌だ!」
談話室に入るなりドッカと椅子に座る俺。
「おいおいまだ3ヶ月しか経ってないんだぞ。音を上げるのが早すぎないか」
とアンディ。入学の時はあんなに嫌がってた癖にいざ教練が始まるとなかなかの好成績を修めている。
「だって来る日も来る日もペンを持ったり走り回ったり、休む暇が無いじゃないか」
「せめて楽しもう!て言ったのはアレンでしょ。ゆーげんじっこーは人として基本的なことよ。」
「うぅエリカは味方してくれると思ったのに」
そんな他愛ないことを話していると談話室の扉が開いた。
入ってきたのは同じ班のデールとデューン、それとルクスだ。
デールとデューンは貴族の家系である。
二人の家は元々仲が良くそのため幼い時から2人でいつも行動しているらしい。
ルクスは平民出身だ。
気弱な性格でよくこの二人にからまれている。
「ふん、これだから平民は。アレンお前は文句しか言えねぇのか?少しは平民らしく【努力】したらどうだwww」
「ルクスお前もそう思うよなぁ?」
「えっ?えっと...それは...」
「おいやめろよルクスが嫌がってるだろ」
「あーあー平民の声は聞こえないー」
「...お前等喧嘩売ってんのか?」
「アレンやめろバカに付き合うだけムダだ」
とここでアンディが参戦
「なんだと!」
「もうどっちも喧嘩はやめて!」
「そっそうだよ喧嘩はよくないよ」
「るせぇ平民は黙ってろ!」
まさに一触即発のこの状況、今にも殴りあいになると思ったその時
「君たち何をしている!!」
見ると班長のへルマン・フォン・ハルトマンが入り口に立っていた。彼は3班の班長で長身のイケメン、おまけに座学・軍事教練共に優秀な優等生君。
「何って見ての通り平民の根性を叩き直してやろうとしてるところだ」
「お前も貴族なんだからわかるだろう?邪魔をするな」
「いいや分からないね。君たちは彼等を平民出身だと見下して虐めたいだけだ。仲間の団結を乱すようなことは止めないか」
そう言って静かに二人を見つめる
「何を偉そうに、あーもういい行くぞデール」
二人はへルマンを睨み付けると自室へと帰って行った。
「はぁまったく...アレン君大丈夫かい」
「別に助けてくれなくても良かったけどな」
「アレンそこは素直にありがとうでしょ」
「ふん...アリガトウ」
「どういたしまして。さぁもう消灯時間だ、エリカさんは部屋に戻って」
「うん。へルマン君お休み!」
「お休み、エリカさん」
翌日19時
「よーし今日の授業は終了だ」
「最後に明日の軍事教練だが明日は13時から射撃訓練を行う。集合場所は射撃場だ皆遅れないように注意しろ。なにか質問は?」
「ベリオン教官、いきなり実弾を撃つのでありますか!?」
「当たり前だ!貴様は戦場で水鉄砲でも撃つのか!!」
「いっいえ、申し訳ありません」
「幼年学校では一年生から実弾訓練を毎年おこなっている。至極普通のことだ。」
(いや、いくらなんでも早すぎないか)
「他に質問はないな...では解散」