入学式:前編
ヌルンベルク・・・
エルデン帝国領外縁部に位置する辺境の惑星である。人口は約400万人で農業が盛んな星だ。
だがこの惑星には重要な軍事施設がある。
それは【幼年軍学校】
『当機はまもなく大気圏に突入いたします。危険ですので立ち歩かないようお願いいたします』
アナウンスが終わると、シャトルは突入体勢に入り降下を開始した。
ふと窓から外を見ると新入生を乗せているであろう他のシャトルが見える。
「んっーーおはよ~」
長い眠りから目覚めたエリカが大きなあくびをしながらご挨拶
「おはよ、もうすぐで空港だぞ」
「しっかしよく寝てたなぁもう昼だ」
時計を見ると11時50分を指している。
「まだ昼前だもん」
「いや、あんま変わんねぇだろ...」
そんな会話をしているうちにシャトルは大気圏を突破していた。
「おいっ見てみろよ!」
「きれーい(^ー^)」
機内のあちこちで歓声があがる。
再び外に目をやるとそこには緑豊かな大地が広がっていた。
「へぇー話には聞いてたがきれいなもんだ」
「そうだな。観光旅行だったら最高だよな」
「にしても軍隊って意外とセンスあるよねぇ」
エリカの言葉に俺は小首をかしげる。
「どうして?」
「だって大自然の中で勉強するんでしょ?普通だったら街中に学校を作るもん」
「勉強て言ったって軍事訓練もするのに街中じゃ狭いでしょ。こういう施設は広いところに作るものなんだよ。」
「へえ~」
そう言いながらエリカはなるほどと頷く。
『長旅お疲れ様でした。ヌルンベルク空港に到着でございます。お忘れ物の無いようご注意ください。』
「じゃっ降りよっか」
そう言うとエリカは共用収納棚から自分の荷物を引っ張り出す。
「そうだな、おっと...ごめん大丈夫か?」
アンディも立ち上がって荷物を降ろして通路に出た瞬間、ピンク色の髪をした低身長ツインテール女子に体が当たってしまった。
「!なっ何よ!」
「あ、いやすまない怪我は無いか?」
そう言いながら謝罪する。アンディも謝ることはあるんだ...俺には一回も無いけどな!
「これくらいじゃ怪我なんかしないわよ!次から気を付けなさいっこのアンポンタン!!」
そう言い放つとツインテ女子はすたすた出口へと向かって行った。
「なっ何なんだあいつ」
「すっげ~ツンツンしてたな。お前嫌われたんじゃねwww」
「アレン笑いすぎだ。てか見ず知らずの子に嫌われても...」
「でもあの子は私達と同じ幼年学校の新入生だと思うよ」とエリカ
「えっ?マジか!?知り合いなのか?」
「ううん、でもこんな良い所に一人で旅行には来ないでしょ」
「まぁこのシャトルに俺たち以外の新入生はいるだろうけど...でも一人だけ編入てのはさすがに無いだろ。一つの学校からは必ず複数人を入れるよう法律で決まってるんだから」と俺
「いや、あんな性格だからな。他にも一緒に来てる奴がいるだろうけど嫌われてるんだよきっと」
さすがアンディ女の子にも容赦無い。
「まぁとにかく降りよう」
荷物を持った俺たちは外に出た。
空港のバスロータリーで送迎バスを待つため停留所へと向かう。
そこにはすでに新入生の長蛇の列があった。
「うわっこれに並ぶのか」
「面倒くせぇ...ってうん?」
アンディが何か見つけたのか前をじっと見つめている。
「どうしたアンディ?」
「いやっエリカの言う通りだ。あのツインテ女子がいる」
よくみるとあの子だ。
「ほんとだ。エリカってたまに名推理するよなド天然のくせに」
「あ~それは中傷」
「ゴメンゴメン」
そうこうするうちに送迎バスが到着し、列が動き出す。それでもなかなか乗れなかったが12両目でようやくバスに乗り込めた。
バスは発車し、車窓にはバスの横を野原が過ぎさってゆく景色が写し出される。
30分くらい走っただろうか。バスはようやく停車し、運転手から降りるよう指示された。
降りてみると目の前には厳めしく灰色がかった校舎が立ち並び、校門には【入学式】と看板が立て掛けてある。
「何か...古くさいな、カビてんじゃね」
これから入学する学校にのっけからケチ付けるアンディほんとすこ
「まっまぁとりあえず入るか」
入ってみるとそこには
「ゴルルァァア!挨拶せんか糞ガキ共!!」
鬼がいた。