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狐は幻想の英雄でして  作者: 榛乃チハヤ
第一章 願いの欠片でして
9/25

紅葉が散り続きでして

ぽはよう

 ただ、核爆弾、というか核兵器を作ってるという確証はないし、本当に作れるのかもわからない。

 鉄道掌握も原発建設も、『願い』を叶えられる環境にあるんだからその目標を達成できるはずなのだ。

 雪斗がひっかかったのはただ一つ。

 原子力発電所だけがくれはの『願い』な筈なのになぜ核まで。

 

 「なぁくれは、鉄道掌握と原発建設、どっちが先かな」


 「原発もいいけど鉄道の方が簡単そう」


 そうか、鉄道といえば、地下鉄譲り受けたんだから演説するって言っちゃったのか。

 原発、本当に作れる環境にあるのか?

 そもそも材料は揃うのだろうか。


 「鉄道もそうだが原発。原発の材料、あとウラン濃縮に必要なモノを集めないとだな」


 二人は当面の目標を夜まで書き続けた。

 宿は国王が提供してくれている。

 国王は異世界人だということも把握しているから重要な人物。

 その国王が変な方向に向かっている。

 核だって――


 「くれは」


 「なに?」


 「まさか、だよな」


 「なになに?」


 「核爆弾作るとしたらさ」


 「うん」


 声があの時のようにまた震える。

 紅葉が願いを叶える環境を作ってくれるのは決して俺達だけが対象という訳ではない。

 言い換えれば、国王が核爆弾を作りやすい環境を作ることもできる。

 それに加え俺達が異世界に来た頃、丁度ウランの取り合いをやっていた。

 今考えてみると武力で取り合いをしている中で核燃料を入手しやすい訳がない。

 こちらは貧弱な拳銃と貧弱な魔法の杖以外は何もない。

 ふたつのタイミングが重なった時。

 原子力に関わる『願い』が重なったとき。


 「俺達、利用されるのかな」

 

 国王は俺達の『願い』を知っている。

 国王もまた『願い』を込めたのか。


 まさか。

 原子力エネルギーをわかっている、全てを理解した人間を呼び寄せようとした。


 待て!

 それじゃあ国王は原子力エネルギーを理解している人間がほしいという『願い』を紅葉に込めた結果。


 俺はともかく、くれはがこの世界に来たのは。


 鉄道と原子力、どちらも都合よく叶う世界が同じ。

 ありえない。

 ましてや中世、どちらも奇跡に値する。


 こうなれば可能性はただ一つ。


 「俺達、まさか自分達の『願い』じゃなくて国王の『願い』で呼ばれたのかな」


 もう、このヴィシーズ帝国が核兵器を保有しようとしているのは明確だった。

 そして核兵器の知識があるくれはを呼び寄せたのも『願い』だった。


 だとしたら、俺達の『願い』はなんだったんだ。

 


 「くれは――」


 「なに?」





 「――なかったことにするぞ」

ぽやすみ

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