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狐は幻想の英雄でして  作者: 榛乃チハヤ
第一章 願いの欠片でして
19/25

車両製作でして

 一夜明け、まだ昨日の頭の華やかさが残ったままホテルを出発したが、地図でもわかる通り非常に近く、徒歩数分で到着した。

すでに大臣から工場に民営化の旨を伝えられたらしく、二人が誰だか把握されているようだ。


 「おじゃまします社長の今市雪斗と――」

 「夕凪くれはです、よろしくっ!」


 「あぁ例の若いお二人ね、どうぞこちらへ」


 応接間に案内され、機関車製造の旨を伝えた。ただし、原子炉は自作するため機関車の外側、つまり構体のみを作るよう依頼した。


 「三車体なんて初めて見たよ、動力はどうするんだい?」


 「えっとまぁ、自作します」


 「電動機作れるのか、たいしたもんだ」


 電動機を作るなんて一言も言っていない。まぁ原子炉なんて言われてもなんの事だから分からないだろうし問題は無いが。


 設計図を預け、車両は構体のみなので三日程度あれば完成するだろうという話を聞き、次の課題に移ることにした。


 工場を出た二人は今後どう動けばいいのかを模索する。


 「くれは、燃料のウランなんだけど、どうやって作るの?」

 

 「道具揃えるのは面倒だし命に関わるから魔法でどうにかしたいんだよね」


 くれはが提案したのは今まで出番がなかった魔法の杖を使うこと。おもしろ半分で買った安物だが風を自由に操れるらしい。

 これを利用してウラン235とウラン238の僅かな質量差を利用して遠心分離するというわけで、風の強さを一定に変えられるこの方法なら上手く行くだろうと考えた。

 

 二人は早速電車に乗り隣の駅へ移動し、くれはがずっと隠し持っていたウラン鉱石を破壊し、魔法の杖を使いまっさらな平原で遠心分離を試すことにした。


 「雪斗、適当に石で囲ってみて、筒状に」


 「こんなのやってても面白くもなんともないんだけど」

 

 「確かにマニアックすぎるけどやるしかないよ、それっ」


 「うわダサっ」


 石でできた囲いの中でウランが上手い具合に掻き回される。

 普通はこんなんで濃縮ウランが出来るわけもなく、流石は紅葉と狐の神様のおかげである。


 「できたわ」


 「お前もお前でなかなか頭沸いてるぞ」


 「うっさいわねここは都合よく事が進む世界なの! 願った事柄限定だけど」


 こんなにも簡単に燃料が手に入るわけだし、苦労しない。

 あとは車両の完成を待つのみである。

 

 「雪斗、そういえばさ」


 「国王って今何してるのかな」


 「あっ!」


 「新聞見忘れてた!!」

 「新聞見忘れてた!!」


 「やばいやばいやばいやばいホテル戻るぞ!」


 明日の朝の新聞が楽しみだなって言ってたの誰だよ、俺だよ。

 マズい、話がコロコロ変わる。展開が早いんだってば。

 二人は名前が汚いホテルに駆け込む。


 「ホテル ズッコンバッコンに――」


 「うっせぇ黙れ痴女!」


 「雪斗、これ」


 「おうサンキュー、ええっと――」


 『ヴィシーズ帝国、二回目の核実験成功』

 『次回の水爆実験を示唆』

 




 『謎の飛翔体発射実験か』

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