組み換えでして
「遺伝子組み換え、これしか考えられないわ」
DNA分子に別の遺伝子を組み込む。
その技術を利用して紅葉に何もかもすべての願を強制的に叶えさせるようにしているということになる。
「国王が命令して思い通りにしようとしたのはわかる、だけど――」
核の次の問題が出る。
遺伝子組み換え技術に必要な道具が揃えられても実行の仕方は分からないはずである。
まさか大体の情報が分かっていたというのか。
DNAという言葉を知っていた、まさか。
「だけど?」
「そもそもなんだけどさ」
「そもそもなんで『原子力エネルギー』が存在するってわかったのかな」
一番重要な所を忘れていた。
ここまで現代でも謎が多い原子力エネルギーについて知っていたのだろうか。
強大な力が欲しいと言ってウランが突然現れたりしたところで困惑するだけである。
「――こうは考えられない?」
くれはもこれはあまり言いたくなかった。
「国王も異世界から来たのかもしれない、それも私達と同じ世界から」
すべてが繋がる。核兵器の存在も分かる。
大体の原理もわかるはずだ。
だとしたら――
「!?」
「きゃぁっ!」
突然、下から突き上げるような振動が伝わる。なんの前兆も、初期微動もなく。
震度五弱はあるぞ。絶対にある。
「ねぇまさか!」
「絶対そうだ」
二人は確信した。
核兵器の完成は間近。
そして二人を必要とせず結果的に自分たちでほぼ成功させてしまった。
ここまで知識がある人間一人でできるわけがない。
裏があるはずだった。
「くれは、明日朝の新聞が楽しみだな」
「ええ、全てが分かるはずよ」
「あとそれと、二人の『願い』を合体させたものを作るぞ」