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狐は幻想の英雄でして  作者: 榛乃チハヤ
第一章 願いの欠片でして
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北の国でして

 北の国。

 紅葉に彩られた、北の国である。

 三時間走り続けた馬車を降りる。

 

 「あの変な国より紅葉が綺麗よ!」


 「俺は紅葉と狐について調べたくてしょうがない、ほら行くぞ」


 「ちょっとは心を落ち着かせてよ!」


 「お前さっき思いっきり寝てただろ」


 二人は談笑しつつ図書館を探す。

 国の中心部だから多少はなにかあるだろう。


 「すいません、図書館どこですか?」


 「あちらの建物を右手にたぶん五十mですよ」


 「たぶんですか」


 この国はまともだろうなと不安になりつつも図書館に着き、早速歴史の書物を漁る。

 何段にも積み上がり、上は手が届かないほどだ。

 ここには『歴史』に関する本がある。『歴史』、に関する本がある。


 「ねぇ雪斗、ここ歴史の本が置かれてるんだよね」


 「そうだよ」


 「『風俗店のあゆみ』『それでも地球は狂っている』『月刊マゾヒスティック』なによこれ」


 「でも歴史に間違えはないし――」


 「『キノコの進化』『名探偵コソドロ』あたりもはや焼くべきよね」


 「歴史的書物だからやめようね、いい子だから紅葉と狐に関しての本だけ探そうね」


 「『狐の交尾大全集』とか――」


 中世の図書館ってカテゴリーで分類されないのか。

 いや歴史コーナーあるから分類能力はあるよな。それより狐、紅葉……


 「くれは、あったぞ」


 「んーどれどれ――」


 『願いを手伝う紅葉様と願いを叶えるお狐様と』


 ベットの下に隠されている例のアレ(暗喩)に挟まれたその本を突然発見した。

 本そのものは意外と薄かったが、説明を見る二人の目は真剣だった。


 『紅葉は、込められた願いを叶えやすい環境を提供し、狐は、その願いを叶える』

 『紅葉は危険で犠牲を生むような願いを叶えず、狐もまた阻止する』

  

 二人は固まった。

 紅葉は危険で犠牲を生むような願いを叶えない。

 つまり国王の核兵器を作る願いなど通じないはずだ。


 「どうなってるのよ……」


 「次だ次、次見るぞ」


 『紅葉に込められた願いを改変することは可能だが方法は定かでない』

 『紅葉は危険な願いを叶えようとしないが、改変すれば可能になる』


 「改変って何よ………国王は紅葉のシステムを改変したの?」


 「定かではないんだろ、できるわけが無い」


 定かでない、つまり出来ないと確定しているわけではない。

 そんなことわかってる。

 原発、核兵器の次は神様の操作か。


 「紅葉を改変――」


 「もうひとつしかないわよ」


 「ひとつ方法があるというのか?」


 「現代でも思い通りという訳ではないのに、どうも中世は都合いいわね」


 ひとつの方法。それは――


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