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狐は幻想の英雄でして  作者: 榛乃チハヤ
第一章 願いの欠片でして
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悪夢の始まりでして

 もうここまで核兵器なんて危険なものを作るために呼ばれたなら逃げるしかない。

 鉄道保有の演説どころではない。

 路線だけ持って、経営は国王がすればいい。


 二人は朝に来た鉱山へ走った。

 ただ前を見て走った。


 「雪斗、これからどうするの」


 「鉱山にあった地図を見たんだ。この世界、特にこの国は火山が大量にある。ならその火山周辺で硫黄を採りまくって全部売る。金にしながら――」


 「金にしながら?」


 「逃亡する」


 核兵器開発に利用されるなんて冗談じゃない。

 俺達が願ったことに間違えはないんだから多少はうまく話が進むはず。

 利用される前に逃げる、それしかない。

 なんでこうなった。

 そうか、知名度ゼロであろう小さな湖のほとりにある祠に願ったからか。

 いや、正確には国王がそこに上乗せの願掛けをしたからか。


 イースタンマイン、東鉱山に着いた二人は、鉱山ではなく火山へ登る。

 そこまで高くないので数分で火口に着く。


 「くれは、金にしながら逃亡して紅葉と狐の伝説について調べるために『ウィシュノース』に逃げるぞ」


 北に逃げ、そこで資料を探す。

 雪斗はただただ、『願い』を叶えるよりも資源争い、核兵器、紅葉に込めた『願い』がどうなるか、狐は『願い』をどうするのか、そして俺達がどうしてこんな境遇におかれているのか。

 それだけを、ただただ知りたかった。

 火山めぐりは手っ取り早い資金調達方法だった。

 

 「くれは、とりあえず硫化水素に気をつけながら硫黄を一箇所に集めて」


 「言われなくてもわかってる」


 硫化鉄鉱ではなく硫黄なのはとくに採掘道具が要らなかったからである。

 付着しているものを細長い石で掴んでは集める。

 硫化水素の噴気は無慈悲に襲いかかる。

 そこらへんにあるもので適当に台車を作った。

 それに硫黄を積みすぐ近くの街に運ぶ、これを数回繰り返す。街にある店の半人半狐は唐突に大量の硫黄が運ばれてくることに困惑する。

 

 「八千メイル、十分だ」


 「宿の費用余裕だね、もう日が暮れるよ、今日はこの街で泊まっちゃおう」


 「二人で安い宿に止まり晩飯付き千メイル、問題ないね、晩飯食うか」


 「そうだね、新聞でも見ながら」


 「新聞があるのか……」


 一日が長過ぎた。

 核兵器を作ろうとしていることは間違いない。

 でも紅葉と狐って危険な願いも叶えちゃうのか。


 「ねぇ雪斗、これ」


 「ん、なんだ――」


 折角心を落ち着けてご飯を食べようとしてたのに、どうしてこうも邪魔したがるのか。


 『先週の地震、不審な揺れ』

 『突き上げるように一回だけ揺れ、すぐ収まった』

 『前兆や初期微動なく突然発生』


 

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