第6話「灯台もと暗し」
「灯台もと暗し(とうだいもとくらし)」の回
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大正時代
ロシアやドイツで
人々の怒りが爆発し
革命の火が空にまでとどいた
日本でも米騒動が全国的に広がった
米に負けるな!魚も頑張れ!
ということで各地の漁村でも
「素敵な漁村改善委員会」が
毎晩のようにあちこちで開催された
まさに世の中が民主主義に
向かおうとしている
デモクラシーの時代だった
大正8年夏のある晩のこと
久次良村の「素敵な漁村改善委員会」に
町から数名の警官がやって来た
漁師たちを逮捕しに来たのだ
漁師たちは集会場の裏口から一斉に逃げて
山の上にある灯台に逃げ込んだ
真っ暗な山道でも
漁師たちには慣れた道である
警官は追いつけず
道から外れ崖から落ちたり
猿に引っ掻かれたり
散々な目にあっていた
しばらくすると
こんな村なんぞ二度と来んわい!
そう言うと
諦めて帰って行った
灯台に集まって
リーダが言った
我々は勝ったぞー
これぞ
灯台デモクラシーじゃ!
それにしても警官も無茶するのう
こんな真っ暗な山を登るなんてなー
その日から漁村では
灯台デモクラシーという言葉が
革命の勝利宣言のように語られた
そして真っ暗な山での出来事から
灯台もと暗しとも言われるようになり
いつしか全国に広まって行った