第2話「踏んだり蹴ったり」
「踏んだり蹴ったり(ふんだりけったり)」の回
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それは江戸時代のことでした
鎖国も終わって
アメリカの総領事ハリスが
下田に着任した頃でした
オランダやロシア、イギリスからも
大勢の人がやって来ました
そんな中にイギリスから来た
「リー」 一家がいました
まだ7歳の双子の男の子は元気がよく
自由気ままな行動を繰り返し
街では評判の悪ガキと言われました
お店の饅頭は勝手に食べるし
お寺の仏像に落書きはするし
立ちションはどこでも・・・
どこのお店も被害を受けていて
とうとう警官がやって来ました
そして二人を街中追いかけてやっと捕まえました
「こらあ!ワルガキ!おまえらいい加減にしろ!!」
交番に連れて行きやっと落ち着き説教の開始
「名前を言いなさい!」
「フンダ・リー・・・・」
「ケッタ・リー・・」
「ごめんなさい・・」
反省した二人はその後大人しくなりました
そして半年後には
親の仕事で一家はイギリスに帰ることに・・・
騒々しい双子がいなくなってからというもの
街では何か理不尽な出来事があると
人々が言うようになったのです
「こりゃまいったな~」
「ああ!まるで フンダリーケッタリーだ!」
やがて全国へ同じ意味で広まった言葉は
「踏んだり蹴ったり」だったのです