第65話 よくある勘違い
すごく久しぶりの更新な気がしますが、
4日しか空いてないんですね。
でも、毎日更新じゃなくなって、申し訳ないです。
やっぱ、片手が動かし難いのは、作りにくくて、
毎日少しずつ作って、やっとこさ、うp出来ました。
いつも、読んでいただきありがとうございます。
ブックマークも増えており、一定のPVもいただき、感謝の極みです。
本当に励みになります。
誤字や、助詞の間違い等ありましたら、ドシドシお待ち申し上げております。
修正する事で、文が良くなるのです。私にとっては、一字千金の価値があります。
よろしくお願いします。
下記は、ネタバレを含む設定資料です。
いくつか項目があるので、ご注意を
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2016/10/14 サブタイトル話数変更
労奴たちを受け入れた翌日の午前にライムントがやってきた。おそらくは、冷蔵庫のことだろう。
目新しい物には、目がないなー
ライムントは、深々と仁に頭を下げると、冷蔵庫の事について、尋ねてきた。仁は、元の世界では当たり前にあった物であると説明した上で、元の世界の技術ではなく、この世界の技術で作ったものであることを説明し、これから、仁の興す商会で、販売する可能性について説明した。結論から言うと、仁の興す商会では、すぐには販売しない。だから、ギムレット商会に商品を卸すので、原価として買い取ってもらい、それをギムレット商会のつけた価格で売るということだ。
今の仁の興す商会では、魔石の購入力がやや弱い。世界規模の商会であれば、無属性魔石くらい楽々に手に入るだろうが、仁の仲間だけでは、数が追いつかない。勿論、仁単独で、ダンジョンに潜り続ければ、そこそこ可能だが、仁はこの世界での位置付けを考え、仲間の力で何とか出来る範囲で、可能不可能を切り分けていた。莉の話していた「魂の揺らぎ」もある。なるだけ、自身がこの世界にいる内に、置いていく可能性の高い者たちの今後の為に、自力での収集は不可能と判断した。それが理由である。技術を売るのは容易いが、それでは、商会の旨味が少ない。そう考え提携を提案してみたのである。
そんな仁の機微を察してか、ライムントが不安そうに尋ねてくる。
「ジン様のお力であれば、販売も可能なのでは無いかと存じますが、仲間の為の決断なのでしょう?何かありましたか?」
「いや、少し考える事があってね。ギムレット商会は、俺個人に従ってくれてる。万が一の事があれば、俺の興す商会が、俺なしで回らなくなるとまずい。後進の為に、地盤を固めておきたい」
「まだ、お若いのに」
「身体は若いが、思考は若く無いということだろうな。それに魔王との邂逅が、懸念事項を増やしたとも言える。すぐには無いだろうが、万が一、一部の神と争うような事になれば、この身が、この世界に止まらない可能性があるらしい。その時のための布石だよ。まぁ、最終判断は、ライムントなり、アヒムなりが下せばいい」
「私もアヒムもジン様がいなくとも、ジン様のお興しになる商会との提携は切らぬでしょう。算盤にしても、ギンコウにしても、ギムレット商会は二代で返せぬ利益を得ました。その後の判断は、後進の事。具体的には分かりかねますが、おそらくは、アヒムの跡は、アヒムの子ハヴェルになると思われます。ジン様の願いにより、『繁栄の神の加護』を得たとか。ハヴェルの世代はそれ以外にも人材育成の件でも、ジン様のを信奉しております。勿論、突然得た私の富の神の加護もジン様の願いによるもの。ギムレット商会は、ジン様に対して、足を向けて寝られるようなことが出来ましょうか」
アヒムの息子ハヴェルには、婚約祝いとして、子孫繁栄の意味を込めて、繁栄の神に願った。仁自身が加護を持っていない為、加護がつくとは思いもよらなかったのだが、願った瞬間に「ガネーシャ」を名乗る神からのアクセスがあり、仁とハヴェルに加護がついてしまった。チート過ぎると思わなくもないが、アセトらが隠す仁の秘密に関わることだろうと思い、そのまま胸にしまっている。
「心情としてはありがたいが、商人としては、微妙な気分だな。加護も実力だと考えれば、自身で切り盛りせねばなるまい?それに加護持ちは、全世界の各地にあるギムレット商会なら、他にも出よう?」
「出はしますが、今代、次世代、次々世代に商業に関わる加護持ちが、このスリギアにしかおりません。万が一、ハヴェルが継ぐ前にに出た場合は、その時の者たちが決めるでしょうな」
「まぁ、それはそうか」
ライムントが帰ったあとは、美奈子たちや労奴たちと共に、工房に移動した。
「みんな、昨夜はよく眠れたかい?」
「あの〜」
「どうした?アーダ」
「お布団とか初めてで、いつ寝たのか分からないです。でも、気持ちよすぎて、目が冴えちゃって、ねー」
「うん」×49
「あんなところに寝ても良いのでしょうか?私たちは奴隷です。床や藁でも屋根さえあれば良いと思っていたのに、恐れ多くて」
「良いんだよ。パウラから聞いたかもしれないけど、俺は異世界人だ。元の世界にも奴隷制度自体はあるんだけど、俺の生まれ育ったところで見かける事は無かった。だから、奴隷の扱いが、分からないんだ」
「え?仁くん、奴隷制度って昔の制度じゃないの?」
「あー、美奈子たちは、知らないか。人身取引という観点から見たら、日本にもまだある。制度として、目に見えるところにないってだけ。所謂、闇取引に当たるんだろうけどね。労奴や戦奴という形ではないよ。主に性奴隷だね。東南アジアとかに多いみたい、詳しくは、知らないけど。国連かどこかに報告の義務があるらしくて報告書が毎年作られてるって聞いた」
「嘘〜」
「本当、知らないだけだよ、普通の人が。アーダの話に戻るけど、他の貴族たちが扱うような奴隷の扱いじゃないのは、重々承知しているよ。だけど、この屋敷で働く限りは、労奴だろうと奴隷メイドだろうと布団で寝てもらうし、給与も出す」
「給与も?!」×50
「まぁ、君たちは、一人金貨4枚で買ってるから、13ヶ月は小銀貨5枚、14ヶ月目は大銀貨3枚と小銀貨2枚、それ以降は、奴隷のままなら大銀貨3枚と小銀貨5枚、奴隷解放を望むなら大銀貨4枚と小銀貨5枚だな」
「大金だ!解放・・・、解放かぁ、私は希望しないですけど、みんなは、どうしたいかなぁ」
「希望する者だけな。ちなみに言うと、商会としては、希望しない方が、税金が少なくて良い。でも、いずれ、俺は領地を持つ可能性がある。その際は、領地の重臣になる可能性もあるから、どちらでも良いよ」
「え?貴族に成れるかもしれないんですか?!」×50
「国から見れば、陪臣になるから、貴族とは言い難いけど、準士爵〜準男爵くらいにはなれるかもしれない。あくまで、可能性だね。絶対じゃない。それは勘違いしないでね」
「分かってます!そんな大それた事は思いも寄らなかったので、それに、おそらく大臣クラスになるのは、ここにいらっしゃるミナコ様やハルト様なのでしょう?その方々と肩を並べるなんてとてもとても・・・」
「アーダ。その考え方はいけない。可能性は無限大だから、今から諦めてたら何にもなれないよ。それくらいになってやるって思わないと、その半分にもなれないから。そうなりたい、だから、頑張ろうって働いてくれるかな?」
「あ!そうですね。分かりました」
「じゃ、みんな並びな。先月分今月分を渡そう」
「ええ?先月と言っても昨日だけなので、先月分は・・・」
「良いの良いの、ほら」
「はい??!だ、だ、大銀貨1枚?!」
「うん、2ヶ月分だからね。返すのは無しだよ」
「あー、はい」×50
労奴の子どもたちは、当惑していたが、皆一様に受け取った。その後、仁は、作業服として色違いのツナギを10着ずつ渡す。なんとなく囚人服をイメージしてしまうオレンジ色やピンク・蛍光色・灰色や黒は避けてある。まぁ、この世界で、その概念はないだろうが、気分の問題だ。一様にミツルギ子爵家の家紋が、右胸の位置と肩甲骨辺りの背骨の位置に刺繍してある。これらは、仁のお手製である。
「この服は、俺が作ったから、そんなに良いものでは無いんだけど、君たちの制服だ。一人10着あるから、洗濯しながら、使いまわしてな。そのまま外に出ても良いように、我が家の家紋が入っているから、あんまり悪さはするなよ。なんかあったら、俺が責任を持って守るけど、悪さしてたら、きちんと叱るからな」
「ほわわわ!ジン様が作って、しかも、ジン様の家紋が?!こ、こんなの着れません!!」
「ダメだよ。うちの従業員だと表すものでもあるからね。必ず、仕事中は着るように、暑ければ、中着を出しても良いから」
「で、でもぉ」×50
「ん、まー、まだ、商人ギルドの登録が終わってないから、しばらくは、自由でいいけど、今度『絶対着用の命令』を出したら、絶対着てね。ボロっちくなったから、作り直すから」
「い、いえ、一生大事にします」×50
「そんな大したもんじゃないよ。消耗品だから」
「それでもです」×50
「分かった。それで良いよ」
「はい!」×50
「それじゃ、昨日の続き行こうか。美奈子たち鍛治師組と杏はいつも通り、美陽たちは、それぞれの組に分かれて、練習再開!!」
他のアランウド・ザ・ワールドメンバーに頼んで、ティッシュ等の素材集めは、ずっと続けていた為、素材は、尽きる事はない状態だった。10日後、製品の状態を見て、いよいよ、開業するかどうか、または、まだ練習が必要か判断することとなったのである。それから10日ほどの間は、朝から終業の時間まで、練習に明け暮れた。
タイトルの勘違いの部分は、美奈子の発言にかかってます