第37話 語尾と「ふ」が「プゥ」になります
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2016/10/13 サブタイトルの話数変更
仁は、冒険者ギルドに来ていた。本日はサッリがいないようだ。仕方なしに、テルヒッキのところに行く。種族的に仕方ないことなのだが、仁はテルヒッキの話し方が苦手であった。
「わぁ嬉しいプゥ!いらっしゃいませプゥ」
くっ
笑いそうになる
「SSランク昇格おめでとうございますプゥ。これから、SSSランク昇格のための手続きで、よろしいですかプゥ?」
「いいよ」
「では、2500GP頂きましたプゥ。残りは、1050GPでプゥ。続きまして、昇格試験ですが、前回同様プゥ要でプゥ。これは、マプゥレナさんの事を許して頂きましたお礼プゥ。国家からの依頼については、内容が内容ですので、ギルマスからのお話になりまプゥ。では、ギルド長室にご案内しまプゥ」
兎人族の特徴なのだろうが、「なんで、兎の鳴き声の特徴を引き継いだ!」と怒りたくなる。種族特性なので、怒るに怒れないが。「ふふふふふ」と笑ったつもりで、「プゥプゥプゥプゥプゥ」と笑うのだ。稀に、種族特性と忘れて怒り出す者もいるほど、馬鹿にされている気がするのである。今の会話でも、「不要」が「プゥ要」に、「マフレナ」が「マプゥレナ」になっていた。滅多にないが、たまにある為、力が抜けてしまう。
とはいえ、可愛いんだよな
兎人族の娘は
胸大きいし
でも、今日出会ったシモナも
いい感じだったな〜〜
尻尾の長さは同じくらいだし
触りたいけど触れない長さがやばすぎる
目の前で、ちらちらと揺れる尻尾を見ながら、仁はギルド長室までの部屋に進んだ。
「こちらでございまプゥ」
「テルヒッキは、このまま受付か?」
「そうでプゥ」
「ちょっと、給湯室に行かないか?」
「え?喉が渇きました?いいですよプゥ」
仁は、労働者ギルドで、サクヤとシモナにしたことをした。すっきりした気分で、ギルド長室に向かう。ドアをノックし、許可をもらうと、入室した。ギルド長室には、ギルマスとダーヴィットとバルトロ卿が待っていた。伯爵は国家からの依頼で来ているのだろう。
「SSSランクを受けるということでいいのかな?」
「はい。試験は免除ということでしたが、バルトロ卿がいらっしゃるのは、国家からの依頼についてでしょうか」
「左様。とあるものを探して欲しい。見つからない可能性が高いが」
「超難易度が高そうですね。聞いたら、断れないとかでしょうか?」
「いや、そんなことはない。約1000年前に消失した鎧一式だ。調査結果だけでもいいと思っている。だが、王はジン殿なら用意できると、息巻いておっての、ほとほと困ったものじゃ」
「あー、難易度がかなり下がった気がします。それって、帝王の鎧のレプリカじゃないですか?」
「ほぉ、分かるかね。だが、難易度が下がったという意味が分からん。どういうことか?」
「さっき、アウルヴァングルと話していたんですよ。帝王の鎧のレプリカを献上しようという話」
「え?持ってるの?」
「はい。あります。どうやって献上しようか迷ってたところです」
「嘘〜〜ん」
「本当ですよ。ただ、等級が違うんですよ。あのレプリカは、確か伝説級でしたよね?」
「そうじゃ、王宮級とかなのか?」
「いえ、創世級ですね」
「はぁ?創世級?!なんで」
「なんでと言われても」
「見せてくれるか?真贋を確かめたい」
俺が作った物に真贋って
ま、いっか
先ほど、アウルヴァングルにまさか?見せたものと同じ物をテーブルに並べた。今度はステータスを表示して。バルトロ卿は息を呑みながら言う。
「おっふ。ステータス表示可能ということは、所持者がジン殿になっているということか?あ、いや、製作者?なはっ?!製作者、ジンラード?!ジンラード・アーサー・カエサルか?!ま、ま、ま、誠に、創世級ではないか?」
「これ、組み立て鍛造方式での作成なので、実践使用の場合は、鎧の声を聞いて、組み立てないと本来の効果がでませんからね?」
「組み立て鍛造?!ジンヴィトニルしかできなかったというあれか?」
「アウルヴァングルにも確認しましたが、方法が分からなかっただけで、このインテリジェンス鎧の声が聞こえていれば出来ますよ」
「何も聞こえないが?」
「きちんと組み立てれば話せます。ちなみに、こいつら半妖精みたいなもんなんで、毎回組み立てが違うので、気をつけてくださいね」
「話しているところを見てみたい」
やや面倒だったが、姦しい妖精どもの半いたずらに近い要望を聞きつつ、鎧を組み立てた。
[うむ。きちんと組み立てられたのはいつ以来か?久しぶりにまともに話せるな]
「だなー」
[どうした疲れておるではないか]
「組み立て疲れただけだ、気にするな」
[そうか、ちなみに今から戦なのか?]
「ちげーよ。戦は起こらないから」
[ならなぜ、我を組み立てた]
「『話しているところを見てみたい』と言われたから」
[なんと?それでは、インテリジェンスな武具・防具は珍しいのか!]
「そういうことになるね」
[ようやくきたな俺の時代!]
くっ、泣けてくるな
生まれてから5000年後にくる
こいつの時代
「そーだねー」
[ノリが悪いぞ]
「バルトロ卿、こんな感じです」
「おおう、もっと厳かな感じの声にはできなかったのだろうか?」
「半妖精に?!奴らは悪戯好きな、永遠に子どもみたいな連中ですよ?あれを黙らせるのは、神にも無理と聞いたんですが?厳かに出来るのは、どなたなんでしょう?」
「あ、半妖精だったな。無理か」
「これ、献上しますよ。このままの状態で持って帰ってください」
「分かった」
「これにて、本日よりジン君はSSSランク昇格だ。おめでとう」
「ありがとう、ギルマス」
「一瞬で抜きやがって、おめでとう」
「ありがとう、ダーヴィット」
「さて、ジン殿、叙任の件だが、明日ではどうか?」
「え?そんなに早く!?」
「うむ。元々、準士爵、士爵の叙勲は、近衛軍や降下済みの貴族の子弟でもない限り大々的には、行っておらぬ。それに君は、有名になりすぎた。大々的にやろうとすると、全貴族が集まりかねん。準男爵になる時は、もっと大々的にせざるをえんだろうが。」
「なるほど、分かりました。明日伺いますが、服装が・・・」
「こちらにも用意はある、早めに迎えに行く」
「分かりました。お待ちします」
「それと、叙爵を急ぐには理由がある。7日後に迫った、カリメイ使節団の来訪であるが、エウロパ王国は、使節団もどきを受け入れぬことになった」
「まぁ、そうでましょうね。それでは、どう追い返すので?」
「追い返しはせん。どうせ、帰れないのであろう?そこで、ジン殿の屋敷で、過ごしてもらおうと思ってな。その間に、カリメイからの返答を待つ」
「少なくとも1月半ですか?」
「ジン殿の密偵を使えぬか?」
「無理ですよ。直接、あちらに行っているわけではないですし」
いけないことはないけど
「そ、そうかぁ。なら、費用は王宮持ちで、一月半、滞在をお願いできまいか」
「うーむ。商売を始めるのが遅くなりますよ?あとは人員を揃えるだけなのに」
「え?もう?ぐぬぬ。な、なら王家御用達を、王から引き出そう。どうだ?」
「王家にも伯爵家にも納入するのですね。うーむ」
「やはり、特殊な作りとかあって難しいのだろうか」
俺が作れば、一瞬だ
だが、従業員に作らせるには、
ある程度修練がいる
ティッシュとチリ紙を何人使うのかで
納入数を決めようか
入れ物の箱は、サービスだな
「なんとかしましょう」
「ほぉう。良かった。それでは、そのように頼む」
「分かりました」
どうやら明日も忙しくなりそうだ
その後、バルトロ卿らと談笑、情報交換などをし、ギルド長室を出る頃には、21時少し前くらいになっていた。談笑中に、ダーヴィットが、ギルドカードの更新をしておいてくれて、カードの所属ギルド欄が【冒険者ギルドSSS】【労働者ギルドSS】となった。ルヴィータたちに、労働者ギルドSSランクについて驚かれたが、皆ティッシュを知るメンバーである。さもありなんという風に納得されてしまった。
ギルド長室を出て、受付の前を通るとテルヒッキと目が合った。テルヒッキの目が「もう少しで終わるから待っていて欲しい」と言っている。
サクヤと予定があるんだが?
テルヒッキには、「用事があるから、NG」と動作で訴えてみるが、ダメらしい。仕方なしに、ギルド内のソファーに腰掛けた。その間念話で、リリシアにSSSランク昇格と、今夜中に帰ることを伝えた。
「あ、ジンさん!Sランク昇格おめでとうございます」
「ルボルだっけか?久しぶりだな。今帰りか?」
「はい。もう直ぐ、Cランクに上がれるくらいに、GP溜まるんですよ」
「ほー。俺に絡んできた時って、Dだったんじゃなかったけ?もうDDになったの?」
「勘弁してくださいよ。あ!」
そして、ルボルは少し小声で、仁に近づき言う。
「次ランク上がったら、兄貴が弟子になったこと言っても大丈夫なんですよね?俺も名乗っていいですか?」
「あ、今日の昼に剣蛇のマフレナぶっ倒した後にSSランクになって、さっきSSSランクの国王からの依頼を完了させたから、もう言っても良いが、お前も?直接指導はしてないだろ?ルヴィータの弟子とかにしとけよ」
ギルドカードの所属ギルド欄を見せる。
「え?もうSSSランクになったんすか?!本当だ〜〜!!てか、剣蛇の姐さん倒したって?!何したんです?あの戦闘狂」
マフレナを戦闘狂と呼ぶのは常識か何かなのだろうか?
「俺だけならまだしも、俺の後ろにいた一般市民ごと、俺を斬ろうとしたんで、本気のお仕置きをした」
「あ、また、氷箱詰めとかですか?」
「そー言えば怒りのあまり、魔法を使うのを忘れてたな。危うく殺しかけたけど」
「武術だけで、あの戦闘狂を圧倒したんすね」
やっぱり、マフレナの名称は戦闘狂らしい
「まぁな」
「と言うか、魔法を使うのは、本気じゃない時なんすね?」
「いや、平原ごと魔物とかを焼き払うなら、やっぱ魔法を使うぜ?」
「平原ごとって!スケールが違いすぎです!」
「はっはっは」
「あ、ジンさん!ルボルも一緒か」
「お、ルヴィータ。ダンジョンはどうだった?」
「80階層に行って帰ってきたってとこだ。ジンさん、あのスキルの奴、ルボルにもそうだが、メンバーにも教えちまった。すまねー」
「良いぜ、弟子が誰に伝えても構わんさ」
「え?今、弟子って呼んでくれたか?もしかして、SSランクに上がったんか?俺がダンジョンに潜っている間に?」
「今日な。ついさっき、SSSに上がった。明日士爵叙任だよ」
「な!まぢか、やべーな。衣装を整えなきゃ」
「あー、大々的な叙任式じゃねーんだ。Uランクになったら、大々的な、陞爵式典になるらしいけどな」
「派手なのが嫌いなのか?」
「いや、ちょっと内密な依頼があってな、叙任を急いだ結果らしい。まぁ、俺的には、目立たないのはありがたいが」
「何にしても祝いだ!一緒にメシ食いに行こうぜ」
「この後、サクヤたちとメシ食うんだわ。別の日じゃダメか?」
「あー、デートの邪魔しちゃダメだわな」
「一対多の食事をデートと言えるのかは別として、そうだな」
「かぁ!ハーレム化が甚だしいな!」
「うっせぇよ」
そうこうしているうちに、テルヒッキが退勤したようだ。いそいそと、仁の元にきた。
「お待たせしましたプゥ」
「「え?テルヒッキさんも?」」
「『も』って何でプゥ?ジンさん、他の人もいるプゥ?」
「ああ、サクヤと夕食の約束をしてある」
「なら、私が交渉するプゥ」
「別の日じゃダメか?」
「ダメに決まってるプゥ。給湯室での続きをしたくてウズウズしてるプゥ」
「たぶん、それは、サクヤたちも同じだと思うが」
「『たち』と言ったかプゥ?なら、全員で楽しむプゥ」
「はいはい。すまんなルヴィータ、ルボル、また今度な」
「あ、ああ、ルボル今夜は自棄酒だ。付き合え」
「兄貴、俺も失恋の酒を浴びたかったんだ。良いぜ」
仲良い兄弟だな
うちは、妹だったから、
そんなことするとか思ってもいなかったが
妹はいつの時代に転生したのかね〜
いかん、感傷的になっちまった
仁はテルヒッキと共に、斜め向かいの労働者ギルドに向かう。ちょうど、商人ギルドから、ノエミが出てくる。早い昼飯の時に知ったが、ノエミは18歳だった。確かに、年下ではないとは思っていたものの、仁は全くお姉さん感を感じていなかった。
「ま!ジンさん。浮気ですか?」
こいつは無視しよう
「ちょっと!無視しないでくださいよ!」
テルヒッキが睨んでいるな
ノエミを隈なく見て笑ったな?
何処を笑ったのかな?
尻尾がないところかな?
林檎なあたりかな?
「ねぇ、ジンさんってば!」
「んー?ああ、商人ギルドの受付のオネーサン。どうしたんですか?(棒)」
「楽しいお昼を過ごした仲じゃないですか!」
「何ですって?!ジンさんは、この子と食べるから昼食の誘いを断ったんですか?」
何というジャストタイミング!?
「違うよ。サクヤ、労働者ギルドに来る前、13時くらいに昼食をとったんだよ」
「2時間も早く?!」
「うん。早めに昼食を取ったと言ったろ?」
「ああ、確かに。んで、尻尾もない人種の子どもが、ジンさんにまとわりついているの?」
尻尾好きだけど
それだけじゃないんですよ?サクヤさん
「胸も小さいようだし」
あるにはあるでしょう?
サクヤさん
「20を過ぎたおばさんに言われたくはないわ!」
えー?
艶っぽくて良いんじゃん!
女数人が、わーぎゃーと喧嘩し始める。
仕方ね〜
「サクヤ、喧嘩するなら、俺はテルヒッキと夕食に行くわ。お前ら勝手にやってな」
「「え?」」
「あ、ジンさん。シモナは喧嘩してないんで、私も混ぜてください」
「テルヒッキいいか?」
「本当はこれ以上増えるのは嫌でプゥ。でも、反対して、嫌われて、サクヤさんみたいになるのはもっと嫌でプゥ」
「テルヒッキは可愛いな。サワリ」
「ひゃん!もっと人目のないところでお願いしまプゥ」
「ジンしゃーん。ぎら゛わ゛な゛い゛で〜」
泣きながら、サクヤがまとわりついてきた。
テルヒッキの意地悪のせいだな
別に嫌いとか思ってない
面倒くさいと思っただけだ
「ひゃん!ジンさん。だから、人目のないところでって、はぁん」
「サクヤに意地悪したお仕置きだ」
「ジンしゃーん?わ゛だじの゛わ゛?」
「サクヤは、ノエミと喧嘩したいんだろ?俺、そういうの面倒くさいから、いいわ。また、機会があったら、遊びに来い?いたら、遊んでやるから」
サクヤが、大泣きに泣いている。
「え?ジンさん、本気プゥ?私としては嬉しいプゥ。でも、友だちとしては、複雑プゥ」
「基本的に、面倒事は、嫌いなんだわ。面倒事は避けたいじゃん」
「だって、マプゥレナさんの剣撃がサクヤちゃんに当たりそうだから、あんなにマプゥレナさんを痛めつけたんじゃ?」
「あの時はね。今だったら、マフレナの剣撃を避けるかな?」
「あー、サクヤちゃん死んじゃうプゥ」
サクヤが、この世の終わりみたいに、頽れた。
イジメ過ぎかな?
まぁ、これくらいの方が
色々抵抗は少ないんだが
「サクヤ?二度目はないからね?」
仁は、サクヤのあちこちをモフったりしながら、抱き起こした。ちなみに、ノエミも似たような感じで、頽れているのだが、あっちは自業自得と、放置した。その後、仁は、従順なサクヤとテルヒッキ、シモナと共に、夜のスリギアを堪能した。




