第27話 ファーストキスを奪われた
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下記は、ネタバレを含む設定資料です。
いくつか項目があるので、ご注意を
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2016/10/13 サブタイトル変更
洞窟入り口の転移結晶に戻ると、そのまま外に出た。2日ぶりの本物の太陽。ダンジョンの中でも仮想太陽は拝んだが、やはり本物は違うな。
神力か何かの違いかな?
ん?視線を感じるな?
すると、ダンジョンに向かって、ルヴィータたちが、近づいて来た。Sランクパーティ「蒼天の霹靂」。ルヴィータが所属しているパーティである。なんで、こんな巫山戯たパーティ名なのかというと、今から8年前、ちょうど12歳になったばかりのルヴィータ少年たちが、冒険者登録をしにギルドに入ったところ、新人の登竜門に遭い、こう言われたという。
「お前らが冒険者になれるんなら、まさに『晴天の霹靂』よ」
当時のリーダー(故人)は、その冒険者ちょび髭を剣技で、つるりとした肌にして上げると、こう言い放った。
「バカかお前。それを言うなら、蒼天の霹靂だ。分かったよ。お前らにとっての蒼天の霹靂になってやらーな。いいか、皆!」
「巫山戯たこと抜かすな。20まで生きられたら、驚きよ〜〜。明日にゃ死んでんじゃねーか」
「なら、8年後驚くがいいさ」
と言う、青臭いセリフの応酬があったらしい。ちなみにこの話は、冒険者登録をした日に、ギルマスが「現在活躍中の上位ランカー〜登竜門編〜」として、他人の黒歴史を延々と聞かせてくれた。その話のひとつが冒険者パーティ「蒼天の霹靂」のパーティ名命名の逸話である。
あの話の時
中学校に上がりたての頃に
鐡心が「せいてんのへきへき」と
読み間違えた事を思い出してたな〜
辟易してたからかな〜〜?
ダーヴィット曰く、ギルマスのウザさは、出会った時からとの事で、それ以来、彼に出会う人は、決して名前で呼ばないらしい。現役時代はリーダーとか職種で呼ばれ、現在は「ギルマス」としか呼ばれない。ある意味、現役時代から、変わらない対応をされ続けている人物である。
はて、話を戻そう。色んな意味で戻ってこれなくなりそうだから。ルヴィータが、仁のところにやって来た。
「早かったな、仁さん。ちょっと下見してただけか?」
「あぁ、そんなとこだ。10階層の転移結晶まで行って帰ってきた」
「10階層ぉ?!しかもボスクリアぁ?1日と半日だぜ?うちのメンバーでも、2日と半日はかかるぜ?」
「地力が違うからな。と言っても、メンバーがヘトヘトになってたから、帰ってきたんだが。ところで、蒼天さんとこは今からか?」
「まー、仁さんとこは、お嬢ちゃんらでも、相当強ぇ〜〜からな。あぁ、うちは今からだぜ。70階層を抜いて、80階層を目指す」
「ほぉ、今の現役じゃ、ルヴィータのところが、最深部なんだろ?」
「だな。ギルマスの現役時代も91階層が最深だからな。ギルマスの場合は、91階層から戻ったら、奥さんの妊娠が分かって、現役引退したようなもんだからよ。それがなきゃ、もっと、踏破してたかもしれねーしな」
「どうだろうな?今は、AA級の魔物だが、当時だと、S級3匹だろ?厳しいんじゃね〜か?」
「まぁー、ギルドにある資料じゃ、そうなってるけどな。ギルドランクと魔物ランクとじゃ、差異がありすぎていけね〜。実際問題、80階層がやっとだぜ」
「なーに、ルヴィータなら行けるだろ」
「まぁ、仁さんに習ったスキルレベルの上げ方で、だいぶ力をつけたからな。行けそうな気はするよ。おりょ?あらぁ、仁さんとこのエルナちゃんじゃねーの?」
その時、冒険者ギルドの方向から、エルナが走ってくるのが見えた。
「そうだな。何か呼んでるな。それじゃ、無理はすんなよ」
「おうともさ。次に会った時は、また、手合わせ頼むぜ」
「わーってるよ」
ルヴィータたちは、楽しげに、潜っていった。エルナが息を切らして、走ってきている。ダンジョンから出たことは、眷属を通して、メイドや龍人たちには伝えてある。屋敷で待っていれば、良いものを。
「はぁ、はぁ、ご、ご主人様。すいません。」
仁は、アイテムボックスから、エチウカサ茶のポットとカップを取り出し、エルナに渡した。
「はぁぁ、美味しい。はっ!そうじゃなくて!大変な人が、屋敷にお越しになってます。現魔法士ギルド長にして、世界10傑の玄孫のマリアン・ネグローニ・ルシアン様です」
仁は吹き出しそうになる。
10000年で玄孫なのかい龍族は
つか、俺がチュートリアルを辞めた時
義弟の孫は生まれてたよな
その孫ってことだよな
大魔導師ギブソン・ネグローニ・ルシアンは子宝に恵まれなかった。嫁の弟の次男を養子に迎え、龍王に据えた。寿命が、5000年ほどある龍族は、出産率が非常に低い。単に生まれにくいということではない。お互いに発情期であれば、きちんと子どもを宿す。しかし、長寿で、かつ成人(500歳頃)して4000年ほどは肉体年齢が衰えない為、成人から、500年ほど続く発情期に子どもを作ろうとか考えないのだ。さすがに、王族になるときちんと考えるはずなのだが、ギブソンは元々王族ではない。純血の龍族ではあったものの、チュートリアルが始まってすぐ、家を飛び出し、文字通り世界を飛び回った。魔力があるのに、魔法が存在しない世界で、魔法という概念を作るのに必死で、発情期の時期はとうの昔に終わった頃に、龍王の娘に見染められ、王位とともに、龍王の娘を娶った。別段、権威をどうにかしたいということはなく、魔法の概念を世界に定着させようと必死に過ごしたことしか思い出せない。基本的には、好き勝手やっていた。楽しければ悪ノリでも何でもいいから乗っかって、嫌な事があったら、相手や事象を消滅させても飽き足らないほどに、徹底的に潰した。その、相当にヤンチャだった事を伝え聞いているであろう一族の娘が来ているという。正直、会いたくないと思った。
因みに、5000歳超えたあたりで、古代龍になることが出来る。王位にあったものが多く、古代龍となる。古代龍になると、寿命が10000年を超える。
「会いたくないから、帰ってもらうというわけには?」
「なりません。ご主人様!」
やべ
エルナの御説教モードのスイッチが
いきなり入った
「マリアン様は、御年89歳のみぎりにスリギアにいらして以来、200年もの長きに渡り、魔法士の者たちを育て、魔法士ギルドを支えてきた重鎮中の重鎮です。私のお祖父様もそのまたお祖父様もマリアン様の弟子にあたります。勿論、元ギルド長で、現宮廷魔導師の母もそうです。また、龍王の直系でも在らせられます。そのような方をぞんざいに扱ったとあっては、スリギアはおろか龍族も敵に回しかねます」
やべ
フリかな?
悪ノリしろって
フリなんだね
「ほぉ、つまり、俺の敵という事か。燃えてきたな」
「ご、ご主人様?!」
「たかが、289歳のクソガキが、俺を敵に回そうなど1000年早いわ」
「ご主人様ぁ、289歳をクソガキというのは、ちょっと・・・」
「そのマリ何とかってのは、人型でも見た目9〜10歳くらいだろう?」
「ご存知でしたか。でもマリ何とかって、非常に惜しい言い方ですが」
やっぱり、ツッコミどころはそこなのね
「いや、知らね〜よ?龍族は500歳で成人なんだ。人種でいうと、500歳で初めて、16歳に見えるようになる。龍族の289歳は、人種で言うと、9.248歳なんだよ。それをクソガキと言わずして、何て言うんだ?」
「その論法ですと、そうですが。でもですね?ご主人様。その、出来れば、敵対はなさらないでくださいませんか?このエルナを如何様にもして頂いて結構ですので、マリアン様と普通にお会いして頂けないかと思います」
やべ
今度はエルナが泣きモードに入りそうだ
エルナの腰に右手を後ろから回し、ぐっと引き寄せる。唇と唇が接するような近さまで顔を寄せる、左手で髪を撫で、首筋まで沿わせたあと、顎を上げさせながら、エルナに話しかける。
「エルナ、何か勘違いをしてねーか?俺は、お前の主人なんだろう?なら、お前を如何様にも出来る位置にある。俺は、お前を好きに仕えさせている。今更、「如何様にもと」言われようが、扱いは変えねーよ?」
エルナは上気し、吐息を漏らし、目を潤ませながら、「はい」と消え入るように返事をした。腰から手を離し、身体を離す。エルナは勿体なさ気に、手を伸ばすが、すぐに引っ込めた。
「それで?そのクソガキは、今屋敷か?」
「はい。現在、ラシシーフローラ様が対応しています」
「ほぉ、神龍 vs 龍王族か」
あー、昔から
子龍と戯れるの好きだからな〜
あいつ
『ラシシーフローラ、聞こえるか』
「はい聞こえます」
『今、龍王族のガキを相手しているらしいな』
「はい、可愛らしいお子さんです」
『ふん。もう籠絡されたのか。他愛ない。そいつは俺の敵だ。お前も敵か?』
「え?え?え?敵ぃ?!私めはマスターの忠実なる僕です」
『なら、今は、その言を信じよう。全力を以て対処せよ。人型で対応が難しければ、原型にて、全力で対応して構わん』
「いや、ですが、子龍ですし、その、全力は・・・」
『分かった。お前も敵だ。5000年ぶりに戦おうか。今度は消滅させてやるから覚悟しろよ』
「はっ、マスターの仰せのままに、全力で対処致します」
『屋敷内の全眷属に告ぐ、屋敷内に敵が侵入した。ラシシーフローラが現在対処中だ。タイカッツォ・テルビンドは、メイド・龍人たちの退避に当たれ、ベルデは、ラシシーフローラのフォローに当たれ、敵は龍王族。龍族も敵になると思え、つまり、ラシシーフローラは微妙な位置にいる、それを踏まえて行動せよ。行動開始』
「マイマスター。・°°・(>_<)・°°・。」
ラシシーフローラの泣き声が聞こえたが、今は放って置こう。
悪ノリは徹底的に
それがギブソン時代のやり方
別れの言葉が伝わっていれば
乗ってくれるはず
※誤って伝わっていることは知りません
リリシアに、エルナや陽斗らの警護を任せ、ナスターシャと、ともに屋敷に向かう。ラシシーフローラの本気度が伝わってくる。既に原型だ。ギルド大通りからも、神龍の姿が見て取れる。マリアンは原型にならないのだろうか?西洋龍の姿が見えない。
冒険者ギルドのギルマスやダーヴィット、商人ギルドからはライムント、労働者ギルドからはアウルヴァングルとサクヤが、何事かと仁の屋敷を眺めている。仁が、大通りに差し掛かると、冒険者ギルドのギルマスが、声をかけてきた。
「仁君。何事なんですか?」
「いえ、ダンジョンを出ましたら、敵が、屋敷に攻め入ったと、連絡を貰いましたので、あのように、神龍を顕現させて、対処中です」
「仁君のところに敵が侵入?!住民を避難させないと!!ところで、敵は何者ですか?」
「龍王族と聞いています。おそらく、ネグローニ氏族かと」
「「「「龍王族?!」」」」
「ということは、マリアン様?」
「いやしかし、マリアン様がそのような」
「何かの間違いでは?」
「ありえんじゃろ」
「神龍には、初め人型にて対応させていましたが、今は原型です。その意味はお分かりでしょう?」
「「「「王宮に至急連絡を!!スリギアが壊滅する!!!龍王族との戦いになるぞ!!!」」」」
いいノリだ
楽しくなってきたぜ
さぁ、クソガキ
楽しませろよ
☆ほんの少し前☆
先ほどまで、笑顔を絶やさなかった。お姉さん風のラシシーフローラが、突如険しい顔つきで、マリアンを睨み、ザッと距離を取る。ミニチュアではあるが、原型となったフェンリルとフェニックスが、メイドや龍人を庇うように移動している。神龜ゲンブも広大な屋敷敷地内の半分くらいの大きさで、原型になる。
ゲンブは、ラシシーフローラに向かって、「なぜ、原型にならぬ。我主の言う通り、裏切るか」と叫ぶと、それに反応し、「そんな訳があるか」と原型になった。
マリアンは、慌てていた。単に遊びに来たつもりだった。まさか、このような事態になろうとは、思いもつかない。家祖ギブソンの遺言にあるところの、『美剣仁の姿を見』にきたに過ぎない。気に入れば、それを一族に伝えよう。それからどうするかを決めようと。もう、ほぼほぼ心は決まっていた。気に入っていたのだ。だから、軽く挨拶をするくらいのつもりだった。ところがどうだ。まるでこれから戦争でも始めようかという雰囲気だ。
マリアンは龍王族である。だが、戦闘力としては、年齢通り子どもそのものだ。ほぼ赤児の頃に、ふらっとスリギアに飛んできたら、ほんの少し居着いただけだ。確かに、原型になれば、たいがいの人種は敵ではないだろう。だが、ここは違う。目の前には、一族の強者数人が相対して、対等になるか、いや分が悪そうな神龍がいる。後方には神龜がいる。今はすぐには戦いに参入しないだろうが、神狼と神鳥がいる。龍族全勢力で、勝てるか五分か、厳しい状態だ。
☆時間が戻ります☆
仁が臨戦態勢で、敷地内にはいった。バッと、マリアンが振り向いた。
≪龍王の威圧Lv.1を感知。無効化しました≫
「美剣仁!これはどういうことじゃ!」
「盟約に従って、遊びに来たんだろ?俺らの遊びはこうだろうがよ!さぁ、原型になれよ!天を駆け闘おうぜ!」
「待て待て待て!なんの話じゃ!話が違うのじゃ!遺言に曰く、『我、美剣仁の幻影なり。いつの日かこの世界に、本来の姿で顕そう。それまで血を絶やすな。その姿を見て、気に入れば、力になるなり従者になるなりせよ』と聞いているのじゃ、そんな『闘おうぜ!』とか言われても困るのじゃ!」
「何?内容が、違うな。誰に聞いた?」
「ニコラシカお爺様じゃ、オーロラ高祖母様は、面白い人だったとしか聞いておらぬのじゃ、わしには戦う気はないのじゃ、確かに遊びには来たが、そんな遊び方は教わっておらんのじゃ」
「ニコがそう言ったのか?あいつ、敢えて内容を変えたな。確かに、その方が面白いが」
「なっ?敢えて変えた?!その方が面白い?!ま、まさかこれは悪ノリか?!なぁにぃ?!こんな事を昔はやっていたのかぁ?」
「はぁ、興が削がれた。やめだやめだ」
『全眷属に告ぐ。遊び終わり。元の位置に戻って』
「遊び?えええええ?!」
地上に降りて、人型に戻ったラシシーフローラが詰め寄ってくる。龍人の硬い皮膚で覆われた拳をぶつけながら、抗議してくる。ただし、見た目硬そうな皮膚だが、効果音は「ぽむんぽむん」という感じの殴り方だ。それに引き換え、タイカッツォやテルビンド、ベルデは「やっぱり悪ノリだったか」と言うような顔をしてるし、ナスターシャやリリシアは、最初から分かっていた風の反応だった。
「マイマスター、私を試したのですか?消滅させるまで仰って、酷いです。ベルデには、裏切るのかとまで、言われたのですよ!酷いです」
仁は近くにいたベルデの頭を撫でながら、言う。
「ベルデ、良くやった。分かってるじゃないか」
「我主は、いつもそうだった龍人に残る伝統は、すべて我主の悪ノリと無茶振りの結晶だしな」
「あー、分かります。ベルデさん。魔族に残る伝統も悪ノリと無茶振りの結晶です」
「タイカッツォさんとこも?姿形は違っても、魂は同じなのだから、やることは変わらんという事だな」
ラシシーフローラは、庭の隅で体育座りをしている。いつの間にか、マリアンはラシシーフローラに抱えられている。太ももでマリアンを挟み、マリアンはしばらく逃げられそうにない。
おお!確保か
マリアンが、イヤイヤしてる。
小さい女の子好きだからな
ラシシーフローラ
とりあえず、そのまま、確保しとけ。
「なぁ、マリアン。遊びに来たって何をしたかった?」
「いや、単に観察みたいなもんじゃ」
なんだろう
この子見た目も年齢も童女なのに
話し方はばぁちゃんみたいだな
「観察?昆虫採集的な?」
「そーじゃなー、仁を捕まえて標本にって違うわ!」
なんて怖い事を
ノリツッコミのつもりだろうが
内容が猟奇的
「んで、その観察はどうなんだ?いい感じか?」
「スルーなのか?笑うなりツッコむなりするがよいのじゃ」
「観察中なのね、まだ」
「なぁ、スルーは辛いのじゃ、泣いちゃいそうなのじゃ」
「好きなだけ、観察してな。エチウカサ茶でも飲むか?」
「うぁぁぁああああん。仁がスルーするのじゃ〜〜」
え?
本当に泣くの?
でも笑えないし
振ったのは俺だけど
ツッコむだけでいいのに
猟奇的なノリツッコミはいらなかったのに
その時である。雷鳴轟くが如き、二つの声が重なった。一つは重厚な男龍の声、一つは懐かしき女龍の声。
「我が孫を泣かせるは、何者ぞ」
「私の玄孫を泣かせたのは、何者か」
上空で待機してたのに
何を言うかね
ダンジョンを出た時から見てたくせに
2頭の古代龍が、上空を漂う。まさに龍王の波動。
スリギアは大混乱だろうな
「うぇぇぇん。お爺ちゃまぁ、高祖母しゃま〜〜」
マリアンが天駆し、男龍に抱きついた。眷属たちが色めき立つ。仁は、眷属らを制し、2龍に声をかける。
「ニコ甘やかしすぎだ。オーロラ久しぶりだ」
2龍は人化して、地に降り立つ。男龍は老執事風な出で立ちに、女龍は老貴婦人風の淑女になった。
「お祖父様。お久しぶりです」
「あなた。それがあなたの本来の姿なのね」
「ニコ久しぶり。オーロラ、そうだよ。これが本来の俺だ」
「「古代龍は、美剣仁に従います」」
「まぁ、待ちな。俺は遊ぼうぜと言い残したろ?従われたら、遊べね〜〜よ」
「お祖父様、そちらがいいのですか?古代龍を従えれば、この世界はほぼ思いのままですよ?」
「そんなんつまらね〜。それにな?最初から、見てたんだから分かっているだろうが、俺は神龍を従えてる。古代龍が従ったとて、何も変わらん」
「お祖父様らしいですが」
「ニコいいんだよ」
「分かりました。ですが、望まれれば、いつでも古代龍及び龍族は、美剣仁様に従います。それは、お忘れなきように」
「従わせるつもりになったら、一度闘おうぜ。それからだ」
「はい」
「さて、オーロラ」
オーロラ・ルシアンは涙を流しながら、見つめていた。ミドルネームを忘れてしまったが、ギブソン・ネグローニだった頃に出会った時の名前だ。ルシアン氏族の王の娘。
老けたな
まぁ、昔からの綺麗な顔立ちに
シワが刻まれた感じか
昔の顔が見たいな
仁は聖属性と聖神属性の魔力を指に交互に5回ずつ込めながら、魔法発動前に、神に祈るか如きポーズをとり、魔力を練り合わせる。ジンビール・マグヌス十三禁忌魔法の一つ。若返りの魔法リジュブネイション。当時は、魔力が足らず、生贄が必要だった為、禁忌に含んだが、今なら使える。その魔力の籠った両手を広げ、オーロラの頬を優しく包み、そして額を合わせる。
≪一二三四五六七八九十、
布留部
由良由良止
布留部
リジュブネイション≫
オーロラの身体が光に包まれ、出会った頃、オーロラが580歳だった頃の姿に。
出会った時は、
俺が1000歳超えてたからな〜
「オーロラ。俺と出会う前に戻したよ。今から、別の龍と添い遂げなさい」
「嫌です。ギブソン様。あの時の言葉で、私を捨てないでください。私の答えは、10000年経っても変わらないのです。今度こそ、添い遂げたいのです」
「俺は今、人種だよ」
「そんなの関係ないのです」
オーロラは、仁に抱き激しく唇を奪った。この前、ナスターシャと、チューしたが、キスはしていなかった。つまり、ファーストキスを奪われた。
男の俺が奪われるってどうよ
ヤられたらヤり返さないとな
数分間の攻防ののち、仁は勝利した。しかし、その後の、オーロラの言葉に愕然とし、ヤり返さなければよかったと後悔する。
「これで、あとは夫婦の契りだけです。龍神に願って、人種になってきます」
古代龍の名前はカクテルですねー
Nikolaschka (ニコラシカ)とウォッカベースのオーロラです。