第22話 拳聖の弟子
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2016/10/13 サブタイトル変更
さて、Aランク試験のの二次試験であるが、Sランク冒険者を連れて、試験依頼をいなければならない。ついていく冒険者は、皆嫌がった。理由は依頼がないのだ。
試験依頼の内容はAランク冒険者が、受けられるランクの依頼をこなす事。パーティでも可。という事で。パーティで行けそうなAランク依頼を探したのだが、コボルトとゴブリンは、スリギア付近の4つずつの村がなくなり、南の森付近の炭鉱4つは普通に使えるようになっている。
となると、ちょっと距離があるが、アニルバの街付近にある山の中に、オーガが見つかったので、討伐してくだいという依頼くらいしか残っていない。しかも、アニルバの街でも同様の依頼が出されており、着いたら、終わってました〜って可能性と、着いたら、実はオーガだけじゃなく、オーガジェネラルも出ましたーとか、オーガキングもいました〜という事になり兼ねない。そんな博打に付き合ってくれるSランクは仲が良くないと無理だろうという事になる。そうなれば、必然的に・・・ルヴィータしかいない。
仁は、今、屋敷にて旅立ちの準備前というところだ。馬車1台を出している。
「いやー、すまんね、ルヴィータ」
「構わんさ。俺たちダチだろ?」
「ダチか〜なら、この前、弟子云々の話があったから、弟子は、無理だとしても、強くなる方法を教えてやらなくもないな」
「マヂか?なんでそんな心変わりを?」
「嫌なの?」
「そんな事はないぜ!いや、でも渋ってたのにいいのかなと」
「だってルヴィータっていい奴じゃん?そんな奴が、強くなりたくて、困ってんなら、助けてやらなくもないってね」
「仁さんもいい奴じゃんか。でもそんなにすぐに上がれるんか?」
「上がるよ〜っと言っても、ステータスが上がるんじゃない。スキルレベルを上げるんだ」
「鍛錬か?」
「ちょっと違うな。ステータス板見せてもらえるかい?」
「ステータス板見せたら何か出来るんか?」
「出来る。まぁ、普通は人に見せるもんじゃないから、慣れてくれば、ステータス板を出さなくてもできるようになる。でも、最初は、分かりやすいように、ステータス板を見せてもらわないとね。あと、俺自身でも、ルヴィータに鑑定をかける。理由は、俺の鑑定では、ルヴィータの中に眠る才能が見えるんだ。それを確認したい」
「そんな事まで?」
「才能については、ちょっと嫌な思いか痛い思いをするかもしれんがいいか?」
「そんなんで隠れた才能が見つかるなら、我慢できるさ」
「ありがとな、じゃ、出してくれ」
仁は、上位鑑定をかける。最近わかった事だか、実は魔法属性の発現は、持っているもの全てが出るわけでは無いようなのだ。上位鑑定をすると、才能があるけど、発現していないものも表示される。ルヴィータの場合、風属性と雷属性だった。具体的にはこんな風に。
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ルヴィータ 20歳
Lv.58
【職業】闘士Lv.58
【JOB】闘士Lv.58
力 1115
L体力 489
L腕力 502
L魔力 124
智 340
L政治 15
L戦略 105
L魔法 120
運 1512
L健康運 107
L安全運 203
L対種族運 302
L学習運 12
L金運 123
L成功運 206
L仕事運 156
L勝負運 205
L人気運 198
SP4580
【スキル】
片手斧Lv.1、格闘Lv.5、蛮勇Lv.3、蹴撃Lv.5、強打Lv.5、連続攻撃Lv.2、虎の威圧Lv.3、螺旋打撃Lv.1、手加減Lv.7、疾走Lv.2、跳躍Lv.2、怪力Lv.5、解体Lv.5、罠発見Lv.4、罠解除Lv.3、宝箱発見Lv.3、麻痺耐性Lv.3、苦痛耐性Lv.2、打撃耐性Lv.4、斬撃耐性Lv.3、恐怖耐性Lv.2、毒耐性Lv.3
【魔法属性】
火属性(中級)、無属性(上級)、生活属性(中級)、風属性 (ー)、雷属性 (ー)
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「今までさ、これなんだろうって思ったステータス無いか?例えば、戦うたびに増えてるけど、意味がわからないステータス」
「ある!このSPって奴だ」
「それは、スキルレベルを上げるためのポイントなんだよ」
「なっ?!マヂか?」
「マヂマヂ。ちなみに、スキルポイントは、冒険者・魔法士なら魔物を倒した時、労働者なら作物・アイテムなどを作った時、商人なら一定数の稼ぎを出した時、政治家なら一定の成果を出した時に1ポイント上がる。また、JOBレベルが1上がる毎に10上がるなどのルールがある。今まで、ルヴィータは、魔物を4000倒したのか」
「どーやって使う?」
「スキルの横にレベルが書いてあるだろ?それを指で押してみ?
「おう」
「すると、数が出てくる。それは、次のスキルレベルまでに必要な数だ。その横に0〜9までの数字が書いてあるものが出てこないか?どんな感じで書いてある?」
「五段になってて、上から一段目が123、二段目が456、三段目が789、四段目が最大0最小、最後の段が決定だけある」
「この数字などが書いてあるものをテンキーと呼ぶよ」
「テンキーな。それで?」
「最大を押すと、次に必要なレベルまでの数字がどこかに出ない?」
「あ、これ六段だったのか。一段目の上に出た」
「決定はまだ押すんじゃ無いよ。この状態で、決定を押すとスキルレベルが上がるから。一旦上げるのをやめたいなと思う事があるかもしれない。やっぱり、あっちを上げたいなと思ったりするかもしれない」
「ないと思うが、練習だよな今」
「うん」
「なら、取り消しも習わないとな」
「やっぱ、ルヴィータ頭いいな」
「よせやい、俺は文字の読み書きくらいしか出来ね〜ぜ?」
「そうなんだ。でも、俺は頭いいと思うよ。判断力とか想像力とかね。選択肢が想像出来るってのは、たぶん経験からの思考だと思うけど、それは頭がいいでいいと思うな」
「よせやい。本当に出来る奴から褒められるなんて、照れるじゃねーか」
「ははは、そんな照れんな。続きいいか?」
「おう、取り消し方だよな」
「そうだね。何処かに×マークはないか?」
「ある」
「それを押してみ?」
「あ!今数字入れてたもの自体がなくなった」
「ありがとう。今度は、数字の部分を押す方法で入力してみようか。上げたいスキルのスキルレベルを押して」
「おう」
「テンキーの数字を入れよう。今必要な数値はいくつ書いてある?」
「58」
「なるほど。じゃ、数字の「5」と「8」を順番に押して、上に58と出るか確かめて」
「お、5。あ、58になった」
「上げるか?上げるなら、決定を押しな」
「おう。うわ!かーちゃんが、『本当にいいのかい?』って聞いてきた。なんで?」
「ほう、ルヴィータは母親か。その声は間違いないかを確認する声だ。人によって違う。変えられるかどうかは分からない。例えば、結婚した後、奥さんに変わるかもしれないし、一生変わらないかもしれない。そこは俺でもよく分からん」
「なるほどな。『はい』か『いいえ』が出てるから、上げるなら『はい』でいいんだよな」
「うん」
「お!上がった〜!!」
「なるほど、格闘を上げたのか。そうやって上げていくんだ。ちなみに次のスキルレベル7に上げるには必要数幾つって出る?」
「320。いきなり多くなったぞ!」
「実はそうじゃないんだ。スキルレベルも経験値で上がる。だから本当はレベルが上がったばかりの格闘Lv.5だったら160あるはずなんだ。それが58だったって事は、102は経験値で稼いでたって事だ。こんな風に必要な経験値はどんどん増えていく。だからスキルを上げるときには、慎重に選ばないと、次はこれを上げようと思っていたのに、足りなかったって事になるから、注意が必要だ。ちなみに、格闘だけを最大レベルのLv.10に上げたかったら、スキルポイントが278足らんから無理だぞ」
「なんで分かんの?」
「スキルによって経験値が違うんだが、法則はある。Lv.6からLv.7に上げる数値が320なら、Lv.8にするには640必要。Lv.9にするには1280必要。Lv.10にするには2560必要。今4522残ってて、Lv.10までに必要なSPは、4800だから、278足らないんだ」
「計算 速ぇ〜」
「次に進みたいが良いか?」
「おう!」
「今度は、SPの部分を指で押してくれるか?何が出てくる?」
「打撃(10)とか。うーん?たくさんありすぎだ。うん、色々だな」
「それは、覚えてないスキルで、今までの経験上、覚える可能性があるスキル。ちなみに、( )の中の数値が、10のものが低級スキル、20のものが中級スキル、40のものが上級スキル、100のものが特級スキルだ。スキル経験値が溜まるか、スキルポイントを費やせば覚えられる。とりあえず、打撃を覚えようか?強打を持ってて、打撃がないとかおかしいし。打撃を押すと『10SP消費して覚えますか?』と聞かれないか?」
俺もそうだったはず
後で覚えとこう
「お!また、かーちゃんだ。はい。お!覚えた!」
「打撃Lv.1になったろ?そんな感じで、スキルを覚えていくんだ」
「ウヲー!スゲ〜!!」
「スキルについてはこんくらいかな?一旦数値をつぎ込んだり、手に入れたりすると、元には戻らないと思ってな。次は、魔法の才能について行こうか」
「俺、属性1つしかねーぜ?」
「発現しているのはな。発現していないのが2つある。たぶんこれも冒険者をしているうちになんらかの経験をしたか、元々持っていたかのどちらかなんだろうな。人によってあるなしが違うんだ。隠れたる才能だな」
「おいおい。それを発現?出来るとか言わねーよな」
「出来るんだが、最初に言ってた、嫌な思いとか、痛い思いの部分に繋がるんだよ。これは、他に教えられる奴がいるか分からないから。俺だけの秘法かもしれね〜。しかも、発現させたは良いが、発現させられた方からしたら、無くても良かったって思うかもしれない。判断が難しいんだよ」
「おいおいおい!マヂかよ!それは、教えるとかのレベルじゃねーだろ?」
「いや、実際、体感させるって感じなんで、教えるという表現はおかしいんだがな」
「マヂかぁ」
「どうする?やめとくか。闘士に必ず必要ってわけじゃねーが、いつか拳に魔法属性を乗せられるようなスキルを覚えたらカッコ良いし、たぶん強くなるぜ」
仁は特に属性拳みたいなスキルを持っているわけではなかったが、火属性を連想し、拳を振る。ゲームセンターによくある、ファイヤーパンチとか思いながら。
≪特殊攻撃スキル「属性拳<火>」を覚えました≫
ブオ!っという音ともに、一瞬炎を纏った。パンチが繰り出された。ルヴィータが叫ぶ。
「ウォーー!!スゲ〜!!スゲ〜!!俺も火属性がある。いつか出来るってことだよな」
「そ、その可能性はあるな。いつかって言って、必ず出来るかどうかは、分からん。努力次第じゃないのかな?」
やべ、適当なことが言えね〜
ルヴィータのスキル獲得率がどれくらいかだな
「ってことは、属性は増やした方が、ワザの幅も広がるか?」
「そうだね。まー、取らぬ狸の皮算用って言って、一つも覚えてない段階で、夢見ても仕方ないけど、属性を先に取ってても良いと思うぜ」
風属性だとどうなるのかな?
ウインドカッターあたりで良いかな?
≪特殊攻撃スキル「属性拳<風>」を覚えました≫
ほうほう、雷属性ならこうか?
≪特殊攻撃スキル「属性拳<雷>」を覚えました≫
水なら?
≪特殊攻撃スキル「属性拳<水>」を覚えました≫
土なら?
≪特殊攻撃スキル「属性拳<土>」を覚えました≫
氷なら?
≪特殊攻撃スキル「属性拳<氷>」を覚えました≫
ほぉ!スゲ〜な
あ、ルヴィータが呆然としてる
ほかのは後で覚えよう
「すまん。色々確認してた。じゃ、魔法属性はどうするね」
「勿論、覚えるさ。なんだって耐えてみせる」
「分かった始めよう。地面に楽な姿勢で座ってくれるか?」
「おう、こうか?」
「そうだな。では始めよう」
仁はルヴィータの両肩に手を乗せて、魔力を流すイメージをする。すると、ルヴィータの両腕が動き出す。
「うぉい?身体が勝手に?」
「うん、魔力を込めて、動かしてる。魔力は感知できるか?」
「いや、分かんねな?」
「分かるようになれたら、属性拳に一歩近づくかもな。それはそうとして、続けるぞ?」
「気持ち悪いってこういう事か。確かに自分の身体なのに、自分じゃねーみてぇで気持ち悪いな」
「やめるか?」
「よせやい。最後までやり切るぜ」
「なら、続けるが、集中するから答えがないこともあるからな」
「おう」
仁は再度集中して、魔力を流す。ルヴィータの両手が、ボールをつかむような形になる。その状態で、指から指に静電気が走るような状態に、持っていった。
「うあ!ピリッとする!おお!かーちゃんだ!雷属性(上級)を取得しました?!まじか!!」
「ふぅ。一つ目成功だな。もう一つも続けていくか?」
「あ、あ、ああ、お願いする」
仁は再度集中して、魔力を流す。ルヴィータの両手が、前に突き出される。そよ風が吹いている様な感じで、庭の草が揺れる。
「うあ!スーッとする!おお!かーちゃんだ!風属性(上級)を取得しました?!ひょええー」
仁は、少し座り込んだ。結構な量の魔力を消費した感じだ。たぶん魔法以外で使うときは、MP消費があるのだろうな。
「ジンさんスゲ〜よ。ありがとな?大丈夫か?」
「すまんな。言わなかったが、実は俺にも結構負担があるんだ。だから、秘法なんだけどな」
「おいおい!言ってくれよ。1日1つとかだったのか?」
「そうだな」
「なら、明日でも別の日でも良かったぜ?ジンさんに負担がかかるなんて、意味がねーよ」
「すぐにでも強くなりたい感じだったから、張り切っちまった」
「すまね〜。でも、ありがてぇ。まずは、スキルを覚えよう。それとレベルを上げてっと。どれくらいが目安かね〜?」
「Lv.8からが達人クラスかな?」
「なら、格闘と打撃、強打、怪力とかを上げるか」
「Lv.1つだけ上げて、違いを確認しないと、感覚狂うから、後で良くないか?馬車の中とかでも良いだろう?」
「あ、そうだな。そうしよう、今日からジンさんの弟子だな」
「いや、だから、弟子にはまだ」
「俺より、スゲ〜知識あるしよ。今まで、知らなかった事教えてくれたしよ。俺より絶対ぇ強ぇだろ?なら、仁さんが師匠で良いじゃねーか。多分すぐ、ランクも抜かれる。そこは、間違いねぇから、いいだろ?な?」
気に入った弱みか
出来れば、女の子に使いたい言葉だが
悪く無いもんだな
「仕方ねーな。でも、正式には俺が、ルヴィータを抜いてからな」
「分かった。今はまだ、心の中だけで「お師匠様』って呼ぶぜ。はっはっはっ!お?かーちゃんだぁぁぁあ?『拳聖の弟子』って称号を得たけど?」
俺の関係者はすぐスキルとか
称号を得やすいんだった!
忘れてた!!
これだけでかよ!
orz
「って、何?何でそんなに落ち込んでんだ?」
「き、気にするな」
「ならいいけどよ?で、ジンさん拳聖だったの?」
「どうだったかな?そんな称号を持ってたきがするな?でも、称号多くて覚えてねーな」
「凄すぎないか?」
「俺の同郷の奴らは、みんな諦めてこう言うぜ。『仁は何でもあり』ってな」
「なるほど、次から、俺もそう言うわ」
ルヴィータと談笑後、みんなの準備が整ったので、出発した。