第21話 パーティ名「アラウンド・ザ・ワールド」
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下記は、ネタバレを含む設定資料です。
いくつか項目があるので、ご注意を
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2016/08/21 前書き修正
2016/10/13 サブタイトル変更
仁は、いつもの時間に目覚めた。昨夜は、陽斗たちが、不安そうにしていたので、睡眠導入魔法で眠らせた。「スリギアに来るまでのことを思い出して、あの時にやったことをすればいいから」と励ましながら。
いつものように、庭に出ると、陽斗らが思い思いの武器で、練習をしていた。
「お前ら、いつ起きた。ちゃんと寝たのか?」
「ちゃんと寝たよ〜」×4
仁は上位鑑定で、みんなの状態をチェック、やや興奮状態だが、問題なさそうだ。
「最終チェックだ」
そういうと、仁は一人一人模擬戦をしていく。自信を失わせないように、自分に制限をかけながら、4人は確かに、Sランクはまだきつい。だが、全員Lv.35を超えている。驚いたことに、召喚勇者は、各種ステータスが、Lv.1ごとに40ずつ上がるシステムのようだ。自分が村人だった時を考えると、また泣きたくなる。とっくに、村人Lv.999を超えていると。
「はあ、はあ、仁君ありがとう。いつも手加減してくれて」×4
「ごめんな。傷つけたが?」
「ん〜ん。それが仁君の優しさだから。全部受け止めるの」×4
「ありがとな」
「やった!感謝された」×4
なんだかんだで、仁から離れていかない4人が嬉しかった。規格外過ぎて、化物過ぎて、離れていくのかもなと、寂しく思った事もある。それも仕方ないとも。
「仁君。パーティ名決まった?」
「本当にいいのか?俺が決めて?」
「いいよ!でも仁君の名前が入ってるんじゃなきゃダメだよ。だから、最悪、『ジンズパーティ』でもいいの。ここが仁君の居場所だよって感じでさ」
本当に涙が出そうだよ
「分かった。じゃー、決めているのがある。これには、きちんと俺の名前が入ってる。分かりにくいけどな」
「何なに?」×4
「パーティ名は、『アラウンド・ザ・ワールド』だ」
「うーん?どこに仁君の名前が入ってるの?」×4
「俺たちの故郷である地球には、Ginっていう酒があったんだ。Ginをベースにした酒の中に、『アラウンド・ザ・ワールド』って名前のカクテルがある。パーティって仲間だからさ。カクテルを作る時みたいにシェイクしなきゃダメだろ?一人欠けてもダメ。だから、俺たちは、カクテルみたいに、混ざり合わさらなきゃな」
「仁君おっとな〜〜w」
「たから、今日の試験は、全員で合格する。大丈夫だよ。召喚勇者の力は、並のLv.35の50倍は強い。Sランクは厳しくても、Aランクまでなら、楽勝だから」
「うん!分かった。仁君を信じるよ」×4
エルナたちが用意した朝食を食べ、冒険者ギルドに向かう。朝のギルドもすごかった。リッサと目が合うと、受付が一組終わった段階で、別の男性ギルド職員が、仁らに寄ってくる。
まずは、Cランクの試験を全員で受ける。その後、合格した者だけBランク試験を受ける。さらにその後、Bランクを合格した者だけ、Aランク一次試験を受ける。Aランク一次試験を合格した者だけ、Aランク模擬試験を受けるという流れらしい。
また、Cランク試験官はBランク冒険者が、Bランク試験官はAランク冒険者が、Aランク試験官はSランク冒険者が行うという。
毎日試験自体は行われているようで、今日の試験官役の冒険者は、もうすぐギルドに来るという。男性ギルド職員は、仁らを冒険者ギルドの裏手にある小道から王城西側6番区にある闘技場に移動した。6番区には、ローマの史跡コロッセオを連想させる闘技場があった。そこに通された。かなりの人数の冒険者がいる。
また、ルボルのようなアホがいないとも限らなないので、やや警戒気味だった。案の定と言うか、ルボルのようなアホはいた。
「ようよう、ガキが見学か?場所が違うぜ?」
おそらくDDランクのアホに違いない。ギルド登録初日にいた、氷箱事件を知ってる冒険者もちらほら見え、「アホだ、アホだ」と話している。
仁は、中級以上のランカーたちには、割と有名だった。Sランカーのルヴィータが、認めた新人。ギルマスをして勝てないと言わしめた新人。などと噂があるらしい。
「なんだっ?俺はこれからランクアップしてお前らと肩を並べるんだよ。舐めんじゃねーぞ」
「仕方ないな」
「お?ガキが、やる気か?」
中級、上級ランカーたちが蜘蛛の子を散らすように、さーっと引いていく。一種異様な雰囲気だ。
「葵。鏃を外して、手加減を使って、あいつの右肩を射ぬけ」
「え?いいの?」
「大丈夫」
「はっ、ガキは怖くて女のケツを追いかけるのかよ」
「えい」
ヒュンと音がして、アホの右肩に、鏃の無い矢がヒットした。するとアホは、建設現場の建物破壊用の玉が、当たったかのように、コロッセオの端まで吹っ飛ばされ、壁に激突した。様子を見ていた中級、上級ランカーたちもポカーンとしている。
うん、びっくりした
激突で、あちこち骨が折れたみたいだが
命に別状はないな
ルヴィータが大笑いしながら入ってくる。
「はっはっはっ、ジンさんの仲間も強ぇーな。なんだ?女の子でその強さはねーだろ〜」
「ルヴィータさん。今日は試験官なんですか?」
「やめてくれよ。ジンさん。俺のことは、ルヴィータと呼び捨ててくんな。そうさ、俺は、Aランク試験官だよ。ジンさんには、別の人が対応するがな」
「そうさ!ジン君の相手は僕さ!」
来たよ
厨二ギルマス
「ほぉ、本気を出してもいいようだな」
仁は、ギルマスにピンポイトで、威圧をかます。龍王の威圧Lv.10を。
蜥蜴人族だし、
伝承じゃ、龍王の子孫だし
ガセだけど
「ごめんなさい、ごめんなさい。ガクガクブルブル」
「ほぉ、さすがだわ」
「ジンさん、ギルマスになんかしたのかい?」
「あぁ、龍族でも気絶するくらいの威圧。俺の威圧の中で、上から2番目に強い威圧だね」
「威圧?俺ら何にも感じなかったぜ?」
「そらぁ、素人じゃねーんだから、ピンポイトで狙うことくらいできるよ」
「ピンポイト?!そんなことができるんか?うわ、やべーわ、マジで弟子入りして〜」
「ルヴィータをランクで俺が超えたら、考えるよ」
「マ、マヂで?!Sランクまでどれくらいで行けそう?明日か?」
「馬鹿言え。ポイントが700ポイント足りねーよ」
「すぐじゃねーか。ってことは、登録2日目で、ジンさんのパーティ全員が、4500貯めたんか?スゲ〜よ。俺は12で冒険者になって、8年かかって今ここだぜ?しかもSランクに上がったのは去年だ。それでも最年少記録だっだんだぜ?すーぐ抜かれちまう」
「あ、すまんな」
「はっはっはっ、ジンさんいい奴だな。それが実力だって。ところでよ、ジンさんに弟子入りしたらもっと強くなれっかな」
最年少記録ホルダーなのに、この性格なのか
いい奴すぎるだろ。
やべえ、陽斗とは別の意味で気に入っちまった
こいつが強くなりてぇんなら
なんとかするのが俺だよな
「なれるよ。ギルマスにも話してない。この世界の能力の法則を。誰も気づいてないスキルの上達方法を教えてやるよ。ほら、さっき、あのアホを射抜いた子。アオイってんだが、同郷でな。俺が弓を教えたんだよ。どうだった?」
バッと音がするんじゃないかという勢いで、ルヴィータは葵を見る。
「アオイさんか。あんたもスゲ〜よ。俺は弓を使わねーから、あんたの試験官はやれねーが、あんたとも闘いてぇ」
「え?え?え?この中じゃ一番弱いですよ?私」
「マヂか?!あんたもスゲ〜が、ジンさんは、もっとスゲ〜な」
「はい、でも、足を引っ張ってるんじゃないかと思って」×4
「バカ言いなさんな。仲間、パーティなんだろ?そんなん考える人かい?ジンさんは」
「ん〜ん。仁君は、みんなで一つだって」
「だろ?そんなん気にすんなって」
「ありがとう」×4
「いや〜照れるな。はっはっはっ」
「んでよ、ルヴィータ」
「なんだい、ジンさん」
「ギルマスこんなんじゃ、試験にならないだろう?誰か代役とかいねーの?そこで覗いてるダーヴィットとか」
最初からコロッセオにいて、アホが吹っ飛ばされる一部始終を見ていながら、ニヤニヤ笑っているだけの、40代のオッサンを指差した。ダーヴィットは、首が吹っ飛ぶんじゃないかってほど、首を左右にふっている。
「ぼぼぼぼぼ、僕が、ガクガクブルブルガクガクブルブル、相手をぉ、するのさ」
「ほぉ、本気でいいんだな」
仁は、ギルマスにピンポイトで、威圧をかます。神々の威圧Lv.10を。
「キュウ」
さすがに、人種如きで耐えられねーか
気絶しやがった
「気絶するな。気絶解除魔法」
「ふぁ!異世界で死んだはずのおばあちゃんが、手を振ってたよ」
どこまで日本マニアだ
欧米に、お花畑思想的なものは
表現が違うだろ!
「で、どうなんの?俺の試験」
「うーん、合格で」
「うぉい!」
「ダメ?なら何かそれに変わる、凄いことを見せてよ。あ、妖精は見たから、もういいよ?」
「俺の眷属を貶すか?締めるぞ」
「ひゃー、他に眷属がいれば、それを呼んでみては?」
「あー、後悔すんなよ?」
「後悔しそうだな〜。でもいいや」
「分かったよ。ルヴィータ」
「なんだ?」
「みんなを観客席に移動させて」
「おう?」
「ダーヴィット!」
「嫌だ」
「わけ分からん。お前と対戦とかしねーから」
「嫌な予感しかしねー。てか怒ってるよな?」
「眷属を貶しめられたら怒るわ。主人として当たり前だろ。ダーヴィット、可能なら、『第6番区闘技場に、神獣3頭と神龍1匹が現れるが、心配ない』ってアナウンスを」
「やめろー」
「分かった」
「ほぉう」
「アナウンスはこっちでする」
「いやー、やめてー」
オッサンの阿鼻叫喚とか聞きたくね〜
あー、生活属性魔法の「拡声」を
広域魔法拡大と組み合わせると
大陸全土に行っちゃう
洞窟型ダンジョンの機能だけ使うか
ダーヴィットはギョッとした。昨日対話室Sで見かけたダンジョン核の操作盤で、何かを始めた仁に。昨日は、こちらに分かるように操作していたが、今度は、ささっと何かを操作して、終わったようだ。
ちなみに、仁はタッチパネル操作中に、眷属のタイカッツォ、テルビンド、ベルデ、ラシシーフローラに念話。全員原型で召喚すると伝える。ただし、ベルデは大きすぎるので、10分の1になる事を伝える。また、テルビンドとラシシーフローラには、上空を舞うように飛ぶ事を指示し、住民に危害を加えない事・無駄な威圧はしない事を入念に伝える。
スリギア内にのみ、昨日のダンジョンのアナウンスと同じ声で、つまり月光神セレネの声で、アナウンスが流れる。
『スリギアの街の皆様にお知らせです。これから、第一街区王城西側の第6番区闘技場に、神獣3頭と神龍1匹が現れます。これは、冒険者ギルドのギルマスが、パーティ名「アラウンド・ザ・ワールド」のリーダー・ジンに無茶ぶりをして、実現するものです。神龍テュポーンと神鳥フェニックスは闘技場上空に現れますので、闘技場の外からもご覧になれます。神狼フェンリルと神龜ゲンブは、闘技場内でのみ、ご覧になれます。これから10分後に召喚されますので、ご覧になりたい方は、闘技場へ。召喚者ジンの命令で、住民への危害は加えませんが、手を出した場合、お越しになる際の怪我等には、一切責任はとれませんので、ご注意を』
「よし、準備完了」
「ジンさん。マジか?」
「マジ」
「分かった。おい、みんな、今のアナウンス聞こえたろ?見てぇ奴は、観客席に。怖ぇ奴は、帰って寝な!」
誰1人帰ることなく、観客席へ。吹っ飛ばされたアホも、ギルド職員が医務室へ放り込んでた。十万人収容可能な観客席へ次々に、近くの住民だろう者たちが入っていく。陽斗らは、それぞれ十人前後と談笑し、仁を何度か指差した。ギルマスは、ニタニタしている。ダーヴィットは、青い顔で、頭を抱えている。
開始3分前くらいに、闘技場入口あたりが騒がしくなった。そして、VIPルームに煌びやかな格好のオッサンが入った。一緒にナディヤさんがいる。あのオッサンは王だろう。ナディヤさんは、こちらに手を振ってくれたので、手を振り返すと、VIPルームがナディヤさんを中心に蜂の巣を突いたような状態になった。
予告した10分になる。娯楽が少ないのだろう。観客席がだいぶ埋まっている。仁は生活属性魔法「拡声」を広域魔法拡大なしで、行使する。
「皆様、急な呼びかけに対し、お集まりいただき感謝しております。私は、冒険者パーティ『アラウンド・ザ・ワールド』のリーダー、ジンと申します。今回、冒険者ギルドのギルマスにAランク試験に際し、面白いことを見せて欲しいと要請があり、ここにおります我が眷属の妖精とは別の何かを召喚を希望されましたので、このような仕儀とあいなりました。まずは、我が眷属、精霊王ナスターシャからご挨拶させます」
仁は、生活魔法「姿見」と広域魔法拡大Ⅰを組み合わせたオリジナル魔法「投影」を使い、闘技場内にナスターシャの姿を大きくさせる。ナスターシャはノリノリで、大人型で精霊王を名乗ったり、妖精型になったり楽しんでいる。
「私は精霊王ナスターシャ。前精霊王ハミンギア・フュルギヤの娘。今は仁様の眷属。普段は仁様のポケットの中に妖精の姿でいるわ」
観客席から、溜息が漏れる。大人型のナスターシャは、美人で林檎くらいのお胸が、ちょうどいい感じに、美しさを引き立てている。
「さて、皆様、先ほどのアナウンスはについて、驚かれたと思われます。たまたま、ダンジョンのアナウンスと同じで私も驚いているのですが、この世界シトドラヴの神、月光神セレネにお願いして、アナウンスをして頂きました。皆様を驚かせてしまったことをお詫び申し上げます」
この発言に、闘技場内が騒然とする。神にお願いをするとは、どういう事なのかと。仁は無視して、次に進める。
「それでは、お待ちかねの、眷属召喚に参ります」
必要のない行為だが、パフォーマンスとして仁が行動する。バッと両手を天に掲げ、唱える。
「眷属召喚!タイカッツォ」
神狼フェンリルが顕現れた。
「眷属召喚!テルビンド」
神鳥フェニックスが顕現れた。
「眷属召喚!ベルデ」
神龜ゲンブが顕現れた。
「眷属召喚!ラシシーフローラ」
神龍テュポーンが顕現れた。
眷属たちは、厳かな雰囲気を醸し出し、スリギアの街の中や闘技場内を睥睨する。
ま、睥睨くらいはいいだろ
魔王の威圧とか龍王の威圧とかじゃないだけ
住民や冒険者、王らはただただ息を飲んだ。そして、悟る。パーティ「アラウンド・ザ・ワールド」に手出しはならぬと。それは死に直結するのだと。
「それでは皆様、最後に、この眷属らを人型になるように、命じます」
皆はギョッとする。神狼・神鳥・神龜・神龍が人型になるなど聞いた事がないのだ。しかし、皆は見てしまう。その人型の状態を。それぞれがかっこいいまたは美しい、可愛らしいなどの感想をもって。
いつものネーミングセンスですね〜
すいません。
まー、このパーティ名にする為の主人公命名でしたしw
王が出てきたので、次に閑話を入れます
第3王女を助ける為の閑話ですかね〜
王女との出会いはあるかないかまだ決めてませんが