第19話 アウルヴァングルを弟子にしよう
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下記は、ネタバレを含む設定資料です。
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http://ncode.syosetu.com/n0441dk/
2016/08/21 前書き修正
2016/10/13 サブタイトル変更
仁は現在、屋敷で宴会を楽しんでいた。エルナたちに腕によりをかけた料理を作ってもらっている。今も、次から次へと、料理が運ばれ、次から次へと空になった料理が載っていた大皿が調理室へ運ばれている。
もっとメイドを雇った方がいいかな?
料理スキルか調理スキルを持ったメイド
まー、そこは、奴隷でもいいかな?
雑用係のアナスタシアとヤロスラーヴァまで、空皿運びに駆り出されている。知り合いが増えれば、宴会の機会も増えるし、アイテム作りの従業員員も必要だろう。
「あ、あん、あの、主様?これはいつまで続くのでしょう?」
「俺が満足するまで、嫌か」
「嫌ではないのですが、その、獣人族の方も来客として来られてますし、その、この行為の意味もご存知かと、はぁん」
別にエッチな事をしているわけではない。獣人族限定で、エッチな意味を持つが。ただ単に、リリシアの尻尾をモフッているだけだ。そして時折、酔ってるのか恥ずかしいのか、してほしいのか分からないが顔を真っ赤にしながら、チラチラと仁とモフられているリリシアを見ているサクヤフフーリエ・マグヌス、サッリ、テルヒッキと何度も視線を合わせている。
お前らもモフらせろ!
そもそものリリシアがモフられる事の発端は、サクヤフフーリエ・マグヌス24歳と冒険者ギルドに行く前に、会って話したことが原因なのだ。狐人族としては美形だろう。毛並みも美しい。顔は似ていないが、声がタマモ激似の彼女。声フェチの仁にはたまらない。
さて、冗談はさておき、現在冒険者ギルドは大変な事になっている。先ほど流れた洞窟型ダンジョン「スプリング・オペラ」のせいで。それで、なぜギルド職員が、2人も宴会に来ているかというと、定時で上がりたがっていた2人を「ギルマスの酒の趣味が分からないから、教えてくれ」という適当な理由で連れ出したに過ぎない。サッリは気絶したままだったが。
なぜ、冒険者ギルドが、大変なことになっているかというと、一応のダンジョン管理は王国になっており、それが移管されているのが、冒険者ギルドだからだ。なぜ、「一応のダンジョン管理は」と、つくのかというと、過去の踏破者はすでに故人である為、ダンジョン核が、本来起動しない。誰かが、踏破するか王国側で何かしたと考えるのが、常識的なのだ。まさか、ダンジョン核の起動キーが、ダンジョンマスターの魂で、ダンジョン踏破者全員が同じ魂の持ち主で、さらにその持ち主が、たまたまスリギアに滞在しているなんて、誰も思わないわけだ。
ん?
サッリとテルヒッキが不安そうだ
ここは俺が優しくモフる場面だろうか?
それにしても気持ちいいな
リリシアの尻尾
「あの、ジンさん?私たちここにいていいんでしょうかにゃ?」
「あの、ジンさん?私たちここにいていいんでしょうかプゥ?」
「いいんじゃないの?」
「ジンさんは、どうして私たちを連れてきたのかにゃ?」
「ジンさんは、どうして私たちを連れてきたのかプゥ?」
はむ。
リリシアの尻尾は、
甘噛みすると顔がくすぐったい
さて、
ユニークスキル「親愛度・忠誠度上昇極大」
の影響で、
サッリもテルヒッキも親愛度MAX
もう大丈夫かな?
「「「ひゃん!」」」
モフモフモフ
はむはむはむ
なんだか、尻尾を掴まれたラ○ィッツとか
子供の頃のカカ○ットみたいな状態だ
話がだいぶ、変な方向に進んでしまった。話を戻そう。冒険者ギルドの受付2人については、別に何も考えず連れてきただけだ。先ほどの適当な理由も、ギルマスらが屋敷に来れるとは思っていない。結局、ルヴィータたちも宴会に来られなかった。「あのアナウンスを聞いて、洞窟に潜らなきゃ、冒険者とは言えね」と言って、パーティメンバーを連れて、ダンジョンに向かっていった。
つまり、仁はドタキャンされたのだ。仁自身の責任もあるので、そこは不問にした。しかし、宴会の準備は整っているはずだ。一応、冒険者ギルドでも、ギルマスとダーヴィットを誘い、気絶中のサッリを背負い、「私帰りたいプゥ」と忙しくなりつつあるギルド内で、泣きそうなテルヒッキを先ほどの適当な理由で連れ出した。冒険者ギルドを出た後、労働者ギルドと商人ギルドによって、宴会の件を話したところ、3名とも来ることになった。
3名ともすぐ行く!みたいな反応だったので、先ほどのアナウンスの有用性、つまり、商機である事を伝える。Cランカー以上の冒険者たちが、ダンジョンには入れる。アナウンスは世界中のダンジョンでも流れているはずだから、スリギアに人が集まる。すると、ライムントはすぐに、商人ギルド内で通達や指示を飛ばした。ギムレット商会にも同様の指示を出したようだ。
アウルヴァングル・オルムールとサクヤフフーリエ・マグヌスはキョトンとしている。ライムントは商人なので、人が集まると伝えただけで、気づいたようだが、2人にはまだ見えていないようだ。己の仕事欲というか研究欲を擽るような事には、あんなに反応がいいのに、面白い。人が増えるということは、需要が増えるという事。需要が増えるという事は、今の素材量や生産量では追いつかなくなる可能性がある事を説明すると、ハッとしたように頷き、労働者ギルド内に戻っていった。
商人ギルドも労働者ギルドも忙しくなったようなので、宴会の開始は、22時と伝えて、テルヒッキらを連れて、酒屋などに顔を出して、屋敷に帰った。
テルヒッキは、屋敷の大きさに驚いていた。今朝まで、ミニチュア王城があった位置である。そのミニチュア王城がなくなり、そこに、築30年以上経つようなシックな屋敷があった。また、仁の従者に驚いた。シトドラヴでも、三大引きこもり種族と言われる種族のうち、エルフ族と龍人族の2種族がいる。
エルフは、まぁ、まだ見かける事がある、主に奴隷としてだが。4人のエルフは奴隷でもなんでもないという。しかも、1人は純血のエンシェントエルフ、3人はハーフであるがエンシェントエルフの血を持つと言う。エンシェントエルフは、その名の通り原始のエルフ。人種で言うところの王族だ。エンシェントハーフは、人種で言うところの貴族のようなものである。4人もの王侯貴族的なエルフを従え、人種最強で知られる龍人族を2人も従えるジンという人物が、不思議に思えた。
さて、シトドラヴの時間の流れは、ずいぶん前に説明した通り、1日30時間。宴会開始の22時というのは、優良な企業であれば、定時勤務の終業時間から、1時間経ったくらい。地球時間の18時頃に当たる。もちろん、だいたいの職場が21時に終業時間を迎えるが、そうでない企業も、ままある。それでもだいたい22時に終業する。眠らない企業、冒険者ギルドのように年中無休30時間営業という企業もある。
ライムントは商人ギルド所属の商人やギムレット商会の各店舗店長などを連れて、アウルヴァングル・オルムールは、鍛冶師仲間と思われるドワーフらを連れて、サクヤフフーリエ・マグヌスは錬金術師風の仲間を連れて現れた。反応はテルヒッキと同じ。まず、屋敷に驚き、従者に驚く。そして、アウルヴァングル・オルムールは鍛冶工房に、サクヤフフーリエ・マグヌスはアイテム工房と薬師工房に興味深々だった。
まず、ライムントが話しかけてくる。スリギアの豪商たちを紹介してくれた。商品について、少し触れていたらしく、皆好感触だった。バイキング形式の食事のため、皆は三々五々に散っていく。次に話しかけてきたのは、アウルヴァングルであった。
「ジン殿、ジン殿、この鍛冶工房は凄いな。見た事がない機材がある。これは何だろうか。この工房で、必要ないものがあるとは思えないんじゃが、わからんのじゃ。ワシはこの歳まで、一流のつもりじゃったが、知らぬものがあって恥ずかしい。まだまだではないかと思われてきた。ジン殿も鍛冶をされるなら、無理かもしれんが、教えてくれんか?」
アウルヴァングルが持っていたのは、鞴だった。魔法に頼った鍛冶師の温度調節技術は低い。鞴を知らなくて当然か。
「アウルヴァングルさんは、創世鍛冶師ジンヴィトニル・オルムールの末裔という事で、間違いないのでしょうか?」
「そうじゃな。末裔という事もない13代前の鍛冶師だ。偉大なるご先祖様だ。それと関係があるものなのか?この機材が」
「そうですね。これはご存知ですか?」
仁は偽装用の魔法道具袋に、手を入れ、そこでアイテムボックスを開く。そこから、ジンヴィトニル・オルムールが、練習用で作った、無銘の日本刀を取り出す。レアリティは、王宮級。手渡して、仁の鑑定能力で、一部ステータス表を表示させて、見せる。
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【銘】 (なし)
【等級】王宮級
【属性】なし
【耐久値】8204/8204
【性能】自動修復
【製作者】ジンヴィトニル・オルムール
【特性】折れず、曲がらず、よく切れる
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「ブフォッ!こ、これは、作成者がご先祖様になっとる。こんな貴重な物をどこで?」
「王宮級ですよ?歴史的価値はあるでしょうが、創世級を数多く打ったジンヴィトニルの作品からすれば、そこそこの、練習用くらいの価値でしょう」
「う、うむ。言われてみれば、そうかの。しかし、この文様、この鋭さ、この硬さ凄いな。さすがご先祖様というところか。もしかして、これを作るのに、この機材を使うのか?」
「そうですね。ジンヴィトニルが転生者だったことは、有名ですよね」
「そうじゃな。じゃから、ワシらでも、ご先祖様の作ったものを再現できなんだ」
「私も召喚者であることは、今日、商品を見せる際に説明しました。ジンヴィトニルと私は同じ世界から来ております」
「な、何?!という事は、再現出来るのか?ご先祖様の武器を防具を!」
「可能です」
「なんと!!」
「それで、この機材についてですが、皆様は鍛冶をする際の温度調節はどうされてます?」
「魔法を使っての火魔法は高温すぎるし、薪だけでは低温すぎる。火魔法で作った火に薪入れて、温度調節するくらいかの」
「温度を下げるには薪を、低くなりすぎたら、火魔法を重ねるということですよね」
「そうじゃ。原理的には、風魔法が加えられれば、さらに加熱出来るとご先祖様の伝承にあるがの。ワシらドワーフの中でも、ご先祖様は、精霊に愛されたお方じゃった。だから、ワシらにも出来ん、風魔法が巧みじゃったと聞く」
仁は鞴の掴み部分を握り、動かす。バフウと、風が吹く。アウルヴァングルは、目を剥く。
「はい。お分かりですね。これがあれば、どうですか?」
「凄いな。これがあれば、ご先祖様の武器を防具を再現出来そうじゃ。はっ!使い方が、使うタイミングとかもあるのじゃろうか?」
「ありますね。間違うと等級が変わるほどに」
「匠の技ということか」
「今度、お見せしましょうか?」
「誠か?!良いのか?!わしらは、ライムント殿のように、頭は回らんし、サクヤフフーリエ女史のように、魔道具も作れん、武器・武具を作れるだけじゃよ?」
「一つ条件があります。宜しいですか?」
「できることであれば、構わんよ。なんじゃろうか」
「お弟子さんや鍛冶師仲間さんには、他の種族は見られないようですから、すぐにとは言いませんが、いずれは、他の種族も鍛冶師にしてくれませんか?」
「それは、長老らとも話さんと無理かもしれんのぉ」
「なら、鍛冶師になりたい者は、一旦、付与師としてレベルを上げ、その後、鍛冶師に転職させて下さい。そうすれば、属性武器を簡単に作れる鍛冶師が誕生しますよ」
「なんと!!!まさか、いや、本当に?!」
「そう、そうすれば、私の愛刀「岩通」ほどの刀ができるでしょう。研鑽は必要でしょうが」
仁は、鞘に収まっていた偃月刀を抜く。日本刀の製法で作った関刀。カリメイに召喚された後、亜空間居室にて作った、仁専用武器。武蔵坊弁慶の愛用の槍刀と同じ銘をつけた。岩をも通す刀。ステータス表とともに、アウルヴァングルに見せる。
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【銘】イワトオシ
【等級】創世級
【属性】地属性(S)、水属性(S)、火属性(S)、風属性(S)、氷属性(S)、雷属性(S)、光属性(S)、闇属性(A)、聖属性(S)、木属性(A)、金属性(A)、毒属性(A)、無属性(S)、聖神属性(S)
【耐久値】8204615739/8204615739
【性能】自動修復・HP5%回復・MP5%回復・入手経験値5倍・入手SP4倍・斬撃耐性突破・斬撃無効突破
【製作者】ジン・ミツルギ
【特性】刀に帯びる属性は、全部を選ぶことも可能であるし、相手によって、属性を選択も可能。
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「な?!こんな化け物のような武器が?!それをジン殿が?!」
「はい」
「これは、ご先祖様を超えておる。ワシを弟子にしてくれんか?無理かのう?」
「地位のある方を弟子などとんでもない。作っているところをお見せしますので、盗んでください、技を」
「いや、何が何でも弟子にしてもらいたい!地位などいらんよ。なぁそうだろ?」
一緒についてきたドワーフ共々、片膝をついた。ライムントやサクヤフフーリエらが何事かと近づいてくる。仁は、偃月刀とステータス表を見せ、事情を説明。皆は納得していた。