第2話 通路?
2016/06/30 加筆・修正
2016/09/16 文章構成の変更
2017/09/07 加筆・修正
ミニチュア凱旋門をくぐったら、新しい場所かと思いきや、割と長い通路であった。まだ先は見えない。すると突然、魂の宝玉が話しかけてくる。
「主さま!主さま!」
「ん?魂の宝玉か?」
「あう。ん、もう!願いの玉って呼んでくださいませ!」
なんだろう?
幼稚園児と話してるみたいな
相槌を打つな〜〜
「あぁ、そうだった。どうした願いの玉よ」
「あい。門ではなく、通路なので、驚いてらっしゃるようでしたので、説明をと思いまして」
「なんかあんの?」
魂の宝玉もとい、願いの玉曰く、ヘルプ機能で出てきた内容の補足として、より具体的な使い方の説明をしてくれるらしい。
「あい。先ほどの方々に口止めされて言えないこともあるのですけれど、ある程度は捕捉できますし、裏ワザとかも教えちゃいます」
「裏ワザ?!」
「あい。まぁ、主さまとの馴れ初めとかは、言えないんですけどね〜」
さっき受け取っただけなのに、馴れ初めもあるか、とは思ったものの、口止めされて言えないという内容だった場合、自分の中に何かあるのかもしれないと考えた。
例えば、前世とかな
たくさんの本を読み漁った結果であるのだが、古典文学に分類される世界観の宿世という考え方を割と仁は好んでいる。
前世の影響で、今世があり
今世叶わないことを、来世に願う・・・か
「あう。主さま、深く考えなくていいですよ」
心を読まれた?!
「あい。魂が繋がっているのです、分かります。それでは、捕捉と裏ワザを」
えらい裏ワザをおしてくるな〜〜
「質問はありか?」
「あい。アリですよ」
願いの玉曰く、実体化は可能だが、現在は魂だけの世界と為、チュートリアルが開始してからのお楽しみとの事。ちなみに、仁にしか見えないので、会話とかをすると変な人であると言う。チュートリアル中は今のように念話形式で会話してほしいと頼まれた。
また、願いに限界や制限は、ないと言う。裏ワザに関わるが、不老不死も可能とも言っていた。ただし、生物には肉体寿命があるので、不老不死を望む場合は、亜神にクラスチェンジしてから、肉体年齢の固定化を済まさないとダメらしい。
「神になれんの?」
「あい。普通なら、色々と条件がありますが、主さまなら、魂の残量を無限にするだけでいいですよ〜」
「それは無理と言わない?」
「あい。何もしなければ無理ですね〜」
「ほう、方法があるのか」
「あい。それが、裏ワザなんですけどね〜」
「教えてくれるの?見返りは?」
「あい。主さまとの永遠なる契約ですかね〜」
魂の残量を無限にしたら
永遠なる契約は簡単じゃん?
「なんか、さっきの4柱もそうだけど、願いの玉、うーん、呼び辛い、タマちゃんでいいか?」
「あい!タマちゃんで結構ですよ」
自分で呼び方を指定したのに
割とあっさり変えるのね
「なんか、さっきの4柱もそうだけど、タマちゃんも、俺に甘くない?」
「あい。あはは〜〜、そうですね〜。でもきっと、次に会う方も、甘いですよ」
「なんで?」
「あい。それは、口止めされてますから、言えません」
「ふ〜ん、まぁ、いっか」
「あい。あ、ちなみに、ヘルプ声の担当は、次に会う方もですよ〜」
ほう、女神らしい。
それは楽しみだ。
ほんわかする声で、割と好みだからなぁ〜。
仁は声フェチである。声優さんも大好きだ。
「あい。主さま!私の声は好きですか?」
「いい声してるぞ!ってか、心を読むな〜〜」
「あう。聞こえるんですから、仕方がないです」
「むむ、仕方ないのか」
「あい。他に質問がなければ、裏ワザに行きたいのですが」
確か「魂の宝玉」の性能は・・・
魂の宝玉
魂の寿命1000年分と引き換えに望みが叶う。ただし、願いによっては、業を負うこともある。業を回避することは可能。チュートリアルの場合、業は引き継がないが、魂の寿命はチュートリアル終了時のまま。転生の場合は、魂に業が刻まれる為、引き継がれる。神でもない限り、魂の寿命は5億年。
業を負う願いとは何かについて聞いてみたところ、他者の死を願うことらしい。善人や悪事に関わってない者の死を願い、達成されると、業を負うと言う。
「うーむ、そんな事願うことがあるのか?」
「あればってことですけど、殺したいほど、怨みを持っても会うことが叶わない立場の人とかいないとも限りませんからね〜」
「じゃー、ある事を前提に質問を続けよう。悪人は業が貯まらないと考えて良い?」
「あい。大丈夫です」
業には、+状態と−状態とがあって、+状態は悪事を働くと貯まりやすく、−状態は善行を積むと起こる現象だと、説明される。所謂、聖人が−状態を極めたタイプ。
無差別連続殺人犯とか強姦魔とかが
+状態を極めたタイプかな?
「あい。ほぼ正解です」
ちなみに、業がヤバい状態になると、寿命が縮んだり、来世に影響すると言う。また、神になる場合は、高確率で邪神になるとの事だった。
「邪神になると問題が?」
「あい。私は気にしませんが、神々から討伐対象になる為、気にする神もいるんじゃないですかね〜」
「ふーん。回避する方法は?」
「あい。誰かに付与すればいいんです。例えば、死を願う人の魂に、付与するように願えば、達成後、その者の魂に業が刻まれます」
「裏ワザって言ってたけど、魂の残量を増やす方法は?」
「あい」
タマちゃんは、他者の魂の残量を奪う方法を教えてくれた。肉体寿命分が残っていても、魂の残量が0になれば、生物は死ぬ。少しでも残すと、相手は死なない。例えば、先ほどの回避方法と被るが、達成時に魂残量を1年にすれば、魂の残量を奪った上で、業も負わせられるというのだ。
「えげつない」
「あい。ふふふ。私は本来そのような存在でしたから」
「どんな存在?」
「あう。口止めされてますから、言えないです」
「え?さっきの4柱もお前も神じゃないの?」
「あい。先ほどの方々は神ですよ〜」
「お前は違うんだ」
「あはは〜、どうでしょう?」
はぐらかされた
言えない内容なのか?
「主さま!出口です。さぁ、出ましょう」
それ以降、魂の宝玉は口を閉ざした。