第7話 神召喚
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下記は、ネタバレを含む設定資料です。
いくつか項目があるので、ご注意を
http://ncode.syosetu.com/n0441dk/
2016/07/15 大幅修正
2016/08/21 前書き修正
翌日、エルナが退職の手続きの為、登城していった。これが済めば、いつでも旅立てるとの事。しかし、出来れば、旅の途中の食事を用意しておいてもらえないかと、お願いする。アイテムボックスの事を話し、1ヶ月半分くらい用意してもらいたいと。1日30食×45日分となると時間がかかるので、数日の間は、ルルルエサバドを中心に、冒険者のように活動をする事にした。仕方ないので、身分証をカリメイで作る。割と簡単に国籍については変えられるので、妥協する事にした。身分証については、エルナが、テオルグに相談すると話してくれた。しばらくは、身を潜めていた方がいいとの事。
ちなみに、この世界は、60秒で1分。60分で1時間。ここまでは地球と同じだが、1日は30時間で、1ヶ月は30日で一定。1年は20ヶ月600日となっている。
公転の計算式はT=2π×√(a×a×a/GM)だったはず
逆算面倒だな
また今度暇な時にでも考えるか
陽斗たちへの、この世界についての座学と、テオルグの研究室を使っての魔法の訓練に明け暮れた。座学については、女子3人組が真面目に受けているものの、気づくと陽斗が眠っている。仕方ないので、雷撃魔法と回復の拷問コンボで、軽くお仕置きをする。
ちなみに、雷撃魔法ではなく、氷結魔法でも獄炎魔法でも、回復魔法と組み合わせれば、拷問コンボは成立する。要は苦しくて死ぬと思った瞬間に回復し、再び、苦しくて死ぬという状態を数十回、数百回と繰り返すことで、大概の生物は従順になる。陽斗は、喉元過ぎれば、熱さ忘れるという、いい性格をしているので、定期的に必要だったが。
その頃、王城では、テオルグが未だ元執務室にいた。退去について、魔法省に相談したところ、受理するまでは、まだ、いてほしいと、懇願されたので、仕方なく、引き継ぎやら、日々の政務やらをこなしていた。そろそろ通勤務の者共が、出勤してくる時間帯である。メイド・執事たちを含め、半分くらいは通勤務メンバーである。
執務室の扉が叩かれる。
「エルナ入ります」
「うむ」
「報告したい事があります」
「ふむ」
「ジン様を当屋敷にて、匿ってございます」
「ホワッ?」
「また、退職後、すぐに、専属メイドとして、エウロパのスリギアにお供いたします」
「ホォワっ?!」
「驚き過ぎです。私どもは数日でルルルエサバドを発ちます。屋敷は売り払うので、資産解体はお早めに。その後、宿屋または、どうにか生活できる空間を手に入れてくださいませ」
「何がどうなったら、そんな展開に?」
「運命のなせるワザかと」
「よく分からんが、よくやった。おめでとう」
「ありがとうございます。報告と要望は以上になります。それでは、私は退職の手続きを行って、帰ります」
「分かった」
その日の夜、皆が寝静まった頃、仁の寝室がノックされる。
「入っていい?仁君」
消え入りそうな声で葵。了承の返事をすると、するすると音を立てないように、入室する4人。枕を大事そうに抱えている。
「どうした。何かあった?」
「「「「ちょっと」」」」
「何か不安が?」
「「「「仁(君、くん、さん)の足手まといじゃないかって」」」」
「なぁ。今日、この世界のこと少し教えたよな」
「「「「うん」」」」
仁は、幼馴染らのステータス板の、称号欄にある神の加護を指先だけに魔力を込めて、優しく左手の人差し指で左右になぞっている。
「不安なのってこの世界は、能力優先だってところか?」
「「「「うん」」」」
「大丈夫。俺がみんなを守るから。みんなには、この世界で生きる術をつかんでもらえればいいよ」
「でも、俺 (私)たちは、仁(仁君・仁くん・仁さん)と、今までみたいに、横に歩きたい。」
幼馴染4人のステータス板の神の加護の部分が仄かに、煌めき始めた。先ほどよりも強く魔力を込めた指先でコツンとその文字を弾く。すると、4人の背後に、生命神ら4柱が忽然と姿を現す。幼馴染4人は糸が切れたように気を失う。ステータスを見たが、能力が著しく落ちて、つまり、それぞれの職種Lv.1の能力が表示され、加護が消えた状態になっていた。
来たんじゃない?
ルート以外!!
《ユニークスキル【神召喚EX】を獲得しました》
いや、それは予想外
仁はルートについて考えていた。並列多思考スキルの関係上、同時進行で、幾つもの思考が出来る。なぜか、仁は最初から学術系スキル「並列思考」を持っていた。並列思考は、同時進行で2つのことを思考出来るというもの。その並列思考をLv.10にした時に覚えたのが、上位スキル「並列多思考」であった。今日一日、陽斗らに世界について教え、今後の予定を組み、新しい魔法を開発し、そして、ルートについて考えた。
きっかけは、昨日にあった。眷属の思考についてである。タイカッツォとテルビンドはちょろちょろと水が漏れてる?と感じるくらいに、たまに漏れてくる。感情が昂ぶり、爆発すると、大洪水になるのは、タイカッツォとテルビンドに王子ら攻撃に際して、命令した際に分かった。その反面、リリシアとナスターシャは全く分からない。つまり、意識して、制御しているのではないかと。リリシアとナスターシャは、経験値の差と言ってしまえば、身も蓋もないが、相手側で制御するのと同時に、こちらでも制御できるのではないかと。
そこからは、ルートへの思考を停止して、仁自身の深層域に思考を潜らせた。すると、こちらの思考の一つ、陽斗らへの教育のための思考が、相手に流れている事が分かった。それと同時に、目には見えないが、何か光の糸のようなものが、それぞれの眷属に伸びているのが分かった。この糸が魂の繋がりかと納得。それと同時に、天井手前で行き先が消えているものの、4本何処かに光の糸が伸びている。再度、仁自身の深層域に思考を潜らせると、眷属への流れる先には、眷属の姿になっている。眷属以外にも4つ入り口のような何か分からない影のようなものに向かって、思考が流れている。
思考の流し口は、蛇口に見えた。蛇口は、開く時は反時計回り、閉める時は時計回りに回すもの。試しに、リリシアに向かって流れている思考の蛇口を時計回りに回してみた。思考が流れなくなった。すると、廊下を凄い勢いで、走ってくる音が聞こえ、リリシアが、陽斗らに教えている部屋に転がり込んできた。「意識の垂れ流しを止めたこと」を伝え、残念がるリリシアに、他の眷属にも、きちんと方法を伝える事を命じた。同じ要領で、謎の4つを除く蛇口を閉めた。それが夕方までの出来事。
「「「「仁さん、何をしたんですか?」」」」
4柱は、慌てた感じで、問いかけてくる。思考の一つは4柱に集中して、他の思考は4柱それぞれ深層域に潜らせた。やはり、何処に繋がっているか分からなかった光る糸は4柱に繋がっていた。
「何って、神召喚をやってみた」
「「「「神召喚?!そんなスキルはお持ちではなかったはず」」」」
深層域に潜った思考で、ナスターシャ・リリシア・テルビンド・タイカッツォへの蛇口を反時計回りにまわす。そのままの思考で、生命神に集中している思考とは別の思考で、4眷属にこの場に現れるよう指示をする。
ナスターシャ・リリシア・テルビンド・タイカッツォが現れた。
《ユニークスキル【眷属召喚EX】を獲得しました》
うん、これも予想外
「葵らを頼む。状態に異常はないが、もし、何かあったら、ナスターシャなんとかしてくれ」
「御心のままに」×4
そう答えた後、4柱に気づいた4眷属は息を飲む。4柱を代表して、生命神は問いかける。
「仁さん、あなたは何がしたいのですか?加護が外れて、勇者の能力を失ってますよ」
「それはなんとか出来るから問題ない」
「確かにそれだけの力はありますよね」
「さて本題だ。こいつらには聞かせられない話もあるだろうから、特別な部屋へ行こうか」
「亜空間居室ですか?ナスターシャがいないといけないのでは?」
亜空間居室は、無限に広がる亜空間である。色々な研究や実験などを行う、幾つかの部屋が用意されている為、このような名称にしている。元々は、ナスターシャにお願いし、対価を払って、村人の最初の頃に、インベントリとして作った。今は、村人999でアイテムボックスが解放され、魔力が増えるにつれ、インベントリとして用いる必要性がなくなった。その際、亜空間居室の性質を変更している。物品のみの保存については、そのまま、時間停止であるが、中に仁がいる場合は、中での1年間は外での1秒間なのだ。精神となんとかの部屋の豪華版といったところか。これまでは生命神の認識通り、ナスターシャがいないと入れなかった。その為に魔法を開発していたのだ。
『開錠!亜空間』
亜空間居室への扉が開く。ナスターシャが、驚く。
「主さま、いつの間に?!」
「今日作った。1秒後までに戻らなかったら、ナスターシャは迎えに来い」
「ははっ」
生命神を連れて、亜空間居室に入る。と、同時に深層域の蛇口を全て閉じた。
『施錠!亜空間』
「さて、話をしようか」
「「「「フォッ?!思考が、仁さんの思考が?!」」」」
「あぁ、閉じたよ。」
4柱に近づく。魂が繋がっているなら、もしかしてできるのではないかと。やはり出来た。生命神の深層域に潜ることが。行き先は、俺に向けてが閉じている。反時計回りに流れてくる思考を調整しながら、回した。
《ユニークスキル【神の思考読破EX】を獲得しました》
《ユニークスキル【上位鑑定Ⅹ】を獲得しました》
《ユニークスキル【上位隠蔽偽装Ⅹ】を獲得しました》
《ユニークスキル【魔法無効】を獲得しました》
《ユニークスキル【魔法無効突破】を獲得しました》
《ユニークスキル【スキル無効】を獲得しました》
《ユニークスキル【スキル無効突破】を獲得しました》
《常時発動スキル【雷無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【雷耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【麻痺無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【麻痺耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【苦痛無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【苦痛耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【打撃無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【打撃耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【斬撃無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【斬撃耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【突撃無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【突撃耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【恐怖無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【恐怖耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【毒無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【毒耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【石化無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【石化耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【腐敗無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【腐敗耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【酒精無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【酒精耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【重力無効突破】を獲得しました》
《常時発動スキル【空間無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【空間耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【破壊無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【破壊耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【爆裂無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【爆裂耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【即死無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【即死耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【悪臭無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【悪臭耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【奪命無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【奪命耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【呪詛無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【呪詛耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【混沌無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【混沌耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【隷属無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【隷属耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【威圧無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【威圧耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【誘惑無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【誘惑耐性突破】も自動獲得となります》
《常時発動スキル【魅了無効突破】を獲得しました。これにより、下位スキル【魅了耐性突破】も自動獲得となります》
別に奪ったわけじゃないんだけど?
生命神が発動したのかね?
「仁さん、近いです」
「あ、すまん」
子神3柱が泣きそうな顔になっている。生命神も青ざめている。
たかが人間になんでそんなに過剰なんだ?
思考が読めないくらいでメンタルが弱いよ
人間は、お前らみたいに思考が読めねーから
表情で読むしかないんだよ
その術を失ったくらいで
「仁さんはな、何がしたいのですか?」
「さぁ、なんだろうな。特に何がしたいとか決めてなかったな。強いて言えば、昨日リリシアたちに話した通りだ。俺には俺の人生がある。ルートだなんだって、決まったルールに従わね〜って、宣言だな」
「敵対すると?」
生命神の言葉に反応して、子神3柱が、ブワッと泣き出した。生命神は、体を張って、仁に3柱が向かわないようにした。
「ちげーよ。俺は俺の思い通りにするだけだ。その結果、お前らの望むとおりになるかもしれないし、ならないかもしれないってだけで、敵対の意思は今はね〜。まぁ、何か気に食わなかったら、そうなるかもしれね〜がな」
武神は涙を拭って言う。
「分かった」
智神は、涙我慢しようとして、出来ないながらも言う。
「分かりました」
運命神は、仁に抱きつき、泣きながら言う。
「絶対、味方でいてね。嫌だよ、違ったら、嫌だよ〜〜」
生命神は、運命神を引き剥がしながら言う。
「それでいいと思います。それがあなたの人生ですから」
仁は笑って言う。
「ありがとな。じゃ戻ろうか」
「「「「はい」」」」