第6話 リリシアの見た目
いつも、読んでいただきありがとうございます。
ブックマークも増えており、一定のPVもいただき、感謝の極みです。
本当に励みになります。
誤字や、助詞の間違い等ありましたら、ドシドシお待ち申し上げております。
修正する事で、文が良くなるのです。私にとっては、一字千金の価値があります。
よろしくお願いします。
下記は、ネタバレを含む設定資料です。
いくつか項目があるので、ご注意を
http://ncode.syosetu.com/n0441dk/
2016/07/15 大幅修正
2016/08/21 前書き修正
仁は苛立っていた。王子2人を誤って殺してしまったことにではない。タイカッツォとテルビンドがヘマをしていたことでもない。リリシアの今の姿を見て苛立っていた。
リリシアの今の姿は、狐族の中で、多尾狐と呼ばれる氏族の人型女性である。多尾狐は、尻尾の数が多いほど、才能豊かであり、能力が高いとされている。最上位は九尾であった。リリシアは、九尾なのである。そこまでは、別段問題にならない。
仁は、チュートリアル中に結婚をしたことが5度。親になったのは、6度ある。結婚三回のうち、1回は子どもができなかった。これは出生率の問題。龍族の出生率が極めて低いことに加えて、異種族間での番の場合は、さらに出生率が0.01倍となるためである。0ではない為、絶対にできないというわけではないらしいが、その時はできなかった。結婚せず、親になった機会というのは、大魔王だった頃の話。吸血鬼氏族の場合、真祖に子は成せない。その為、ホムンクルスを作成し、養子にした。もう一度の方は、義賊とは言え、大ぴらにできないという理由で、正式に結婚をしなかった。所謂、野合というやつだ。また、性奴隷にたくさん産ませた為、妻30人子ども88人という大所帯だった。決して、あとは継がせなかったが。
話がだいぶ、脇に逸れたが、この結婚した事とリリシアに苛立っていることが、大きく関係している。妻50人のうち誰を一番愛したか。というのは、実に難問である。それぞれに可愛いところがあり、それぞれに悦ぶポイントが違う為、一番愛したという点では選べない。ただし、一番思い入れがあるという観点から見れば、1チュートリアルの中で、生涯ひとりだけを愛したときがあり、その時の妻が、一番思い入れがある。
彼女との出会いは、ある旅の途中だった。ジンビールは一尾氏族、タマモは九尾だった。氏族の違いで、本来結婚は、ありえない関係なのだが、初めてお互いを見た瞬間に、まるで吸い寄せられるように、恋に落ち、氏族長の娘であったタマモと駆け落ちをした。出会った時は、ただのジンビールだった。苦しい時も悲しい時も楽しい時も、すべてをタマモと分かち合い、最終的に、世界が認める。大錬金術師となる。世に言う最凶(または、最狂)の錬金術師ジンビール・マグヌスである。タマモが世に出ることは無かったが、彼女も優秀な錬金術師であった。ただ、己は前に出ず、ひたすら、ジンビールを支え続けた、死が分かつ瞬間まで。一度は、世界が滅ぶほどの流行病があり、神薬を作って妻を助けた。それを聞いた王族が、その薬を買い取り世界中を流行病から救った為、陞爵され、マグヌス姓を賜った。しかし別件で、家を離れていたときに、タマモがこの世を去ってしまう。しばらくはトチ狂ったような魔法・アイテム・薬などを幾つか作った。隷属魔法陣や隷属の腕輪もその一つ。タマモの事を思い出し、大いに泣いた日から、数ヶ月をかけて、トチ狂った魔法13種は全て封印した。己を大きく成長させ、死した後、己を大きく狂わせた思い入れのある妻タマモとリリシアが瓜ふたつなのだ。
パラレル?地球での出来事について、小一時間説教した後、感情をぶつけるように、つい聞いてしまう。
「お前は、なんでその姿をしている?なんで、タマモの姿をしている?」
「そ、それは・・・」
「はっきり言え、なんでその姿をしている!」
「この姿は、昔々、主さまに拾われた時の姿で」
「お前がタマモだというのか!」
「タマモではありません。リリはリリシアという主さまにに頂いた名前があります」
「たまたま、似ているだけだと?」
「いえ、あの、その」
「なぜ、はっきり言えない?リリシア、お前は眷属だ。お前の進退は誰が決める?」
「この身は、主さまのもの。いかようにも」
「ふ〜ん。だが、聞きたい事も言えないって事はないよな?」
「聞きたい事?」
「その姿はお前そのものなんだよな」
「はい」
「タマモがその姿だった事について、知っているな」
「そ、それは」
「いいから、答えろ。知っているな?」
「は、はい」
「なんでた?」
「禁則事…」
「言えないってか?主の質問でもか?」
「すいません」
「ふむ。という事は神々が、決めたる事か?」
リリシアの口がパクパク動いたが、声が聞こえない。
「・・・、すいません。言えないようです」
「すべての神々に止められているのか?俺の影響を無視して」
「いえ、主さまのお力であれば、そんなことが可能なのは、4柱だけです」
「やはりか。そんなに強いのか」
「強さではありません。理由は言えませんが、あの方々には主様の眷属であろうと干渉が可能です」
「理由は・・・、言えないんだったな。いずれ話せる日が来るか?もしくは、いつか俺が知ることができる日は来るか?」
「ルートを間違わなければ」
「分かった。聞きたいことはそれだ。やはり、ルートがあるのか。ルートを外れたくて色々してたが、うまくいかなくてな。許容の範囲内だったか。全く問題にもならなかったかは、分からないが、気に食わね〜〜」
「え?ですが、それでは」
「俺には俺の人生がある。あいつらが凄い存在だってのは分かってるが、あいつらの思い通りになるのは癪だ。もっとも、俺の思い通り進んだ結果が、あいつらの望む通りなら仕方がね〜がな」
「はい、主さまが思われる通りになさいませ。あの方々と敵対しようとも、私たちはあなたに従います」
「ナスターシャもってことでいいのか」
「あいあい〜〜。モッチのロンですよ〜〜」
昭和か!
「分かった。今回はそれでいい」
その後、眷属と葵たちは、自己紹介して、交友を深めた。日が傾きかけている。さりとて、街から30分の距離、少し進めても、1時間いけないだろう。街に戻った方が、マシである。
「さて、夜になっちまうな。街から30分の距離で、野営ってのもおかしいだろ。不本意だが、ルルルエサバドに戻るか」
「「「「そうだね」」」」
「タイカッツォとテルビンド、人型は可能か?」
「はっ!可能ですが、服が・・・」
「タイカッツォは人狼族か、狼人族のどちらかか?」
「狼人族になります」
「なら、これ着な」
「テルビンドは、鳥人族か?」
「はいっ!」
「ん?お前、女か?」
「はいっ」
「タイカッツォとあんまり絡むな。今後は鳥人族として行動してもらうことも多くなる。ガサツってのも悪くはねーが、好みじゃね〜」
タイカッツォ orz
「で、でも、女らしさとか、そんなの経験がなくて、その・・・」
「前は・・・、すまん。気づいてやれなかったが、もしかして女だったのか?」
「はいっ!」
「あぁ〜〜、やっちまったなぁ。マジすまん。リリを見習え。ほれ、鳥人族女性の民族衣装だ」
タイカッツォたちに民族衣装を着せた。リリシアは、女教師コスプレではなく、民族衣装を元々着ていた。門守らは災厄級の魔物の件で大慌てしており、とても心配された。フェニックスやフェンリルは見えたが、仁らには気づかなかったようで、「運が良かったなぁ」と言われた。また、王子らの兵が出て行ったっきり斥候らしき近衛予備兵以外戻ってきてないことも心配で、夜勤になりそうだとボヤいていた。
今から宿を取るのは難しい。困ったなと思っていたら、王城のメイドさんを見かける。嫌なところであったなと思いつつ、仕方なく声をかける事にした。
「あのー、すいません」
「はい?あれ?黒髪黒目ですかね。ちょっと、暗いので、自信ないですが」
「え?あ、はい」
「もしかして、ジン様のお仲間さんですか?」
「俺がジンですが」
ヤバい!
王子らを殲滅したことで、
メイドたちは敵にまわったか?
鑑定して、敵対度でも見るか
敵対度って言っても、
親愛度0とか忠誠度0とかだから、
無関心と区別がつかないんだよな〜〜
親愛度79ですとぉ?
「あぁ!お会いできて嬉しいです。
私、テオルグの孫で、エルナと申します。
でも、もう街を出られたのだと思ってました」
「あ、いや、出るには出たんですが、色々ありまして、街から30分の距離で、野営ってのもおかしいだろと思ったので、街に戻ったんです。今から宿を取ろうかと」
「あぁ!失礼致しました。こんなところでは、話しづらいでしょう。我が家にお泊りください」
「いや、でも、眷属を含め、9人ですし」
「主さまっ!私は場所をとりませんよ〜〜」
胸ポケットから、ナスターシャが顔を出す。
「妖精?!!さすがです!」
親愛度が82に上がったよ?
「大丈夫です。テオルグの屋敷ですから、部屋はたくさんあります。ささ、こちらへ」
しばらく歩き、テオルグの御屋敷に入った。エルナが、夕食を作ってくれて、それをいただいた。
さすがメイド!
いいなぁ
メイド雇いたいな〜
そう言えば、彼女は王城勤務のメイドだな。あの王子らの件で、大問題が起きていないだろうかと、気になった。
「テオルグやエルナさんには迷惑をかけたんじゃないですか?」
「エルナとお呼びください!」
「あぁ、いや、年上の女性を呼び捨てには〜」
親愛度が87になったよ?
「ふふふ、お優しいのですね。私は、王城を退職しました。そして、あなたにメイドとして雇って貰おうと思ってます」
「え?退職?やっぱり、あの件でご迷惑を・・・」
「いいえ、あれは、殿下らの自業自得です。ジン様は、ご存じなかったのでは?あの軍に殿下らがいる事を」
「そうですね。まさか、派兵ではなく、ついてきているとは。先頭にもいませんでしたから、殲滅して、ナスターシャに、ああ、この妖精がナスターシャなのですが、ナスターシャに確認させるまで、気がつきもしませんでした」
「お優しいし、配慮のある方だと、キミコ様、ミナコ様、スミレ様、アン様が仰っていました。その通りの方なのですね」
親愛度が93になったよ?
「みんなと話したのですか?」
「敬語はおやめください。タメ口というのでしょう?それでお願いします。宰相モーノ様と両殿下の訃報などをお爺様が伝える際に、同席させていただきました。とてもいい方なのですね。でも、私、少し後悔しております」
「何を?」
「実は前まで、第二王子殿下の外面に騙されておりまして、ジン様のお仲間も悪い人たちなのだと思ってしまっていたんです。お爺様に、色々教えてもらわなければ、ジン様や勇者様たちを誤解したままだったと思うのです。以前の浅慮な私が嫌で嫌で」
「それは仕方ないんじゃないかな?だって、エルナは、王城勤務で、第二王子は雇い主家族だよ?雇い主が一番なのは、メイドとして当然でしょう。それ以外はどこの馬の骨ともしれないんだから。まぁ、表には出せないけどね」
「まぁ、嬉しいです。お爺様が仰った通りの方なんですのね。ジン様、敬愛しております」
親愛度99になったよ?
「あ、いや、そんな・・・(//∇//) テレテレ」
「ふふふ」
親愛度100になったよ?
「ところで、メイドとして雇って欲しいとの事ですが、テオルグはどうするんです。この屋敷は?」
「お爺様に聞きましたが、勇者様たちが、この国を出た暁には、お爺様も従者として迎えると聞いております。そのため、お爺様は、大臣位である筆頭宮廷魔導師の辞任を願い出ました。ま、その後に王子殿下らの訃報があった為、即日受理とはいきませんでしたが、数日後には受理される見込みです。私はお爺様専属メイドでしたので、この機会に、王城を退職することにしたのです。いづれは、この屋敷も売りはらう予定でした。それが早まるだけです。お爺様には悪いですが、宿屋暮らしとかでもいいのではないでしょうか?」
「なるほどな。だが、いいのかい?メイドとして雇うにしても、俺たちは、エウロパのスリギアに向かう。最初の半月以上は、旅の空だぜ。」
「スリギア!運命を感じます。私、スリギアに実家があるのです。宜しければ、私が馭者を担いましょう」
「いやいや、女の子に馭者をさせるくらいなら、俺がするよ」
「そんな!ジン様にはさせられません。私にお任せ下さい」
「仲間にも操馬術を学ばせなきゃならない。だから、俺が教えようかと思っててな」
「はっ、そうとは気づかず、出過ぎた真似を。ですが、それ以外の時は、私が」
「いや、それ以外の時は、俺に侍ってくれねーか?専属メイドとして。馭者は眷属にでもさせるから」
「侍る・:*:・(*/////∇/////*)・:*:・」
「あ、いや、そんな深い意味は・・・」
仁はあたふたしながら、誤解を解いた。それから、契約について詰めていく。
「それじゃ、エルナ。契約金について話し合おうか」
「お金なんてそんな!こちらには貯えもありますし、大丈夫です」
「まぁ、なんだ。俺たちの食事も、作ってもらわなきゃならないし、俺の初めての部下でもある。専属秘書的なメイドでもあるから、きちんと払いたい。1日食事代込みで、15000R、一月で大銀貨4枚と小銀貨5枚でどうだ?」
「高すぎます!!王城勤務とほぼ同じなんて!!」
「ほぼ同じ?安すぎね〜か?」
「名誉職みたいなものですし、礼儀作法や裁縫、芸術系スキルも身につけられる場なので、そんなものです。それに、ジン様の負担になるようでは嫌です」
「仕方ねーな。俺の財産をほんの一部見せてやるよ」
仁はアイテムボックスの「人族神金貨No.3」から40枚程度の神金貨をジャラジャラと出した。
「こっ、こっ、これはぁ・・・」
「どうだ?これは一部だ。2000枚以上もってるが?一月大銀貨4枚と小銀貨5枚で俺に負担がかかると思うか?」
「思いません。要らぬ、差出口申し訳ありませんでした」
葵がとことこ、歩いてくる。
「うわぁー、綺麗な硬貨。なにこれ?」
「これは、神金貨って言ってな、この世界で一番高価な金貨だ」
「ホォワ!!ち、ちなみに価値は?」
「1000000000R。1枚で、日本円にして100億円の価値がある」
「ひょえええええ!」
葵がムンクの叫びのムンク状態で固まった。
あれ?陽斗はどうした?
王子らを殲滅した辺りから、
見かけない気がするだが?
やっべ!!巻き込んで、殲滅したか?
あ、陽斗と目があったw
いつかエルフ登場させます。