ヒロ、旅に出る
やっと、ヒロ君が旅に出ます。此処から、この物語が始まります。
「なぁ、アミちゃん、俺たちって付き合ってるって事でいいんだよねぇ?」
俺の声が部屋に反射する、するとアミちゃんが言う。
「はい、そう言う事でいいですよ、そういう約束なんだし」
「はぁ、じゃあ、なんかないの?付き合ってんだろ?俺ら?」
そうなんだ、俺とアミちゃんは付き合ってんのに、アミちゃん、何にもしてくれないんだよね。付き合うってもよくわかんないけど、なんかあるんじゃないのかな?そんな期待をしてるんだけど、「そんな付き合ってる付き合ってない関係ないですよ、貴方交際経験ないでしょ?」
「う..」
図星だ。
「アミちゃんだってあんのかよ今までその、付き合った事?」
「いや、私もないですけど...」
というやり取りを俺達はアミちゃんの家でしていた。
ついさっき、目的が決まった俺たちだが、もう夜遅いという事で、チャラ爺のはからいで、家に一回泊まってから行く事にした。
俺は平気だと言ったんだけど、夜になると、町の門が閉められるんだと、夜は魔物が凶暴化するらしい、流石にそれはキツいので、出発を明日にする事にしたのだ。
「ねぇ、ヒロ、ヒロの世界について、教えてくれない?」
「え?」
突然の質問だったので、間抜けな声を出してしまった俺は、誤魔化すように
「俺の世界について?」
と尋ねた。
「はい、私達付き合ってるじゃないですか?だから、お互いの事くらい知ってる方がいいのかなって思いまして...駄目でしょうか?」
そう上目遣い言ってこられると、交際経験皆無の俺はなす術もない。俺は素直にアミちゃんの質問に答えた。
気が付いたら朝になっていた。
俺達はすごく長い間語り合った。
俺が何か言うと、アミちゃんはとても喰い付いて、興味を持ってくれた。
それで俺も調子に乗っちゃって、色々話してしまった。
アミちゃんについても色々聞いた、
アミちゃんの母は、探検家らしい、父は、アミちゃんが産まれた1年後に死んでしまい、父の事はよく覚えていないそうだ。アミちゃんの母は、いつも忙しく、全く会えないらしいが、誕生日には、絶対に戻ってくるそうだ。
自慢の母親です!
そうアミちゃんは言っていた。俺の母ちゃんとは全然違うけど、アミちゃんの話を聞くと、母ちゃんには、いつか恩返しがしたいなと考えさせられた。そんな事を頭に思い浮かべていると、下から声が聞こえた。
「おーいっ!勇者ヒロ君ーっ!アミィー!朝御飯を作ったから、一緒に食べようっ!」
チャラ爺だ。初めて会った時は、何コイツと思ったけれど、彼の声を聞くと不思議な安心感を感じる。
それは、アミちゃんも同じようで、
「もうちょっとだけ、寝かせて」
と寝惚けた声で言っている。なんで無防備な姿なんだよ!
襲いたい。
すると、
「ゲブッ!」
俺の顎に強烈な痛みが襲った。
アミちゃんの華麗なアッパーカットが俺に炸裂したのだ。
クラクラした頭を落ち着かせ、アミちゃんに対し、
「何すんだよ⁉︎」
と、抵抗する、すると、その寝惚けた姿からは、想像も出来ないような、威圧感で、俺を睨み、言った。
「私に対し、さっき、変な気を起こしましたよね?その制裁です。」
「うっ!」
図星だ。
この娘は、エスパーなのだろうか?
とどうでもいい事を考えていると、再び下から声が聞こえたので、俺は、アミちゃんと一緒に声の主がいる下の階に古びた木の階段を降り、向かった。
そこには、簡素な朝食があった。
とても、豪華とは言えないけれど、俺には、それが、凄いご馳走に見えた。因みに、他人の家でメシを食べるのは初めてだったりする。母ちゃん以外の料理とかは、レストランとかでしか食べた事がなかったので、とても新鮮な気分で、俺達は朝食を済ませた。
朝食から、数時間程経ち、俺達はチャラ爺に見送られて、町の南門を出た。世界を救う為、俺達の冒険が此処から始まった。
続
次話でやっと戦闘を入れるつもりです。やっとヒロ君を最強に出来ます!