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ある日超能力が突然使えました  作者: グリム
第一章 変化する日常
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第7話「持久走」

昼休み。


俺達はいつもの屋上で昼飯を食べていた。


だがいつもの昼に比べ、みんな静かだ。

 昨日の事が気がかりなんだろう。


空気が悪いのを察したのか相楽が俺に質問を聞いてきた。


「先輩たち何かあったみたいですけど…何かありました?」


そうだな…相楽にも昨日の事は言った方がいいかもしれない。


「実はな―――」


俺は昨日洞窟に行ったら猫地蔵がなくなっていた事。そして謎の少年が俺に襲いかかってきた事を説明した。


「物騒ですね…」


物騒…か。確かにそうかもしれないな。


「よし、なるべくこの5人で行動することを心がけよう。いつまた昨日みたいな事が起こるかわからないしな。」


4人は納得した顔で頷いた。これで飯が食べやすくなると思った矢先、楓が「あ!」と口に手を当てた。


「それよりみんな、次の授業体育だから早く食べないと遅れちゃうよ?」


まじかよ!せっかくゆっくり食べれると思ったのに…。

 俺と竜輝と光は急いで飯を腹に詰めて校庭に行った。楓と相楽は体育館だ。



「今日は持久走を行うぞ!まずはいつものように準備体操から!はいすぐ!」


相変わらずタッキーは元気だな…。


体育の授業の先生は滝本雫たきもとしずく

 雫なんて可愛い名前に対して熱血だ。


…親に今の状態のタッキーを見せてやりたい。


「こらそこ!真面目にやれ!」


どうやら俺のやる気のなさが態度に表れてしまったらしい。気を引き締めるか。

 持久走はどちらかというと得意な方だ。


だけどどうしても竜輝にだけ勝てない…。

 だが今日こそは勝ってみせる!輝け!俺のソウル!!


そんな事を考えている間にタッキーが「よーい」まで言っていた。


慌てて俺がスタートの体制を取るとそれと同時に「ドン!」という声が聞こえてみんな一斉にスタート。

 一瞬遅れたが目立つほどの遅れじゃない。


序盤俺は先頭で走る。その後ろに竜輝がぴったりと張り付いている。光は体力が元からあまりないので後ろの方だ。


いつも竜輝が後ろにくっ付いて最後に抜かされるんだよな…。俺を風よけにしてるのかこいつ。

 だが最近の俺は一味違うぜ。


いつもなら200mほどで終わるダッシュが、なぜか400m付近を通過した今でも継続している。

 体力作りは特にやってないが最近はなぜかパワーが溢れている。


500m付近をダッシュのまま通過した。

 さすがにこれだけ離せば竜輝もくっ付いてこれないだろ。


そう思い後ろを向いた俺は竜輝を甘く見ていた事を実感する。


後ろには竜輝がぴったりくっ付いていたのだ。


俺は走りながら竜輝に話しかける。


「今日はいつもより調子がいいんだな。」


走りながら話しているからか息が荒い。


「そんな事ないよ。筋トレの成果さ。」


竜輝は息一つ乱していない。

 くそっ!こいつスネークかよ!


俺はさらにスピードを上げた。


1500mになり、そろそろ俺のダッシュも限界に近づいてきた。

 さすがにこの速度じゃくっ付いてこれないだろ。と思い嫌な予感がしつつ後ろを向いた。



…嘘だろ。ピッタリくっ付いてきてやがる…。


いくら俺が風よけになっているからといって、この速度で付いてこれるのはおかしい。オリンピック出れるんじゃないかと思うぐらいの速度なのに。

竜輝の後ろには誰もいなかった。おそらく俺達がずば抜けて速いなんだろう。

 俺が息絶えながら走っているのに対し、竜輝は息が乱れてない。こいつほんとにスネークかよ!!


2000m付近でさすがの俺もスピードが落ちてきた。

 それに対して竜輝は息が乱れていない。リアルスネークめ。


竜輝がスピードが落ちたのを感じて抜かしに来る。

 このままだと抜かされる―――そう感じた俺は卑怯だが秘伝の技を使うことにした。

これは竜輝にはできないが俺にはできる―――そう!秘儀タックル!

 正義感の強い竜輝にはできまい。…たぶん今の俺は悪い顔してる。


俺を抜かそうと竜輝が横にくる。


今だ!

俺は渾身の力を込めて竜輝に向かってタックルをかました!



その瞬間―――竜輝がウ〇インボルト顔負けの超高速ダッシュをした。


………嘘だろ…。

 俺のタックルは竜輝に当たらず虚しく空を切った…。


唖然としてる間に竜輝はどんどん差を広げていった。

 負けじと俺もダッシュするが足が限界で思うように動かない。

結局、今日も竜輝に勝てなかった。



ゴールするとタッキーと竜輝が話していた。


「すごいじゃないか氷室!このタイムならオリンピックで金メダル取れるんじゃないか?」


タッキーが興奮気味で竜輝に話している。


「自分なんてまだまだですよ。努力が足りてないです。」


「いやー先生は嬉しいなー。自分の生徒が金メダリストなんてな!!」


タッキーは竜輝を陸上選手にさせる気満々だが…当の本人はそうでもないみたいだ。


「先生…俺のタイムは?」


俺はややイラついた声でタイムを聞いていた。


「おっ波多野も帰ってくるのが早いな。え~とタイムは…7分31秒…ってお前も十分オリンピック出れるじゃないか!!」


タッキーが嬉しそうに話す。

 にしてもめちゃくちゃ速くなってるな俺…まさか陸上選手の素質があるとは。


「いや~自分が持っている生徒にオリンピック選手が2人もいるなんて先生も鼻が高いな!がははは!」


「先生、一応乙女なんですからその笑い方どうにかしてください。」


竜輝がツッコミを入れる。

 そんなこんなで3人で雑談していたら光が息絶え絶えで走り終えた。

いつも光は最後の方だったのに…珍しいな。


「せ、先生…ぼ、僕のタイムは…」


相当疲れているのか大の字になって地面に倒れている。


「前島は…すごいじゃないか!前回より5分近く速いぞ!」


タッキーが嬉しそうに言う。


「あ、ありがとうございます…」


光は目を閉じながらよほど疲れているのだろう、はぁはぁいいながら「水飲みに行きます」と言って給水しにいった。


体育の授業は男女別々なので、今頃相楽と楓はバレーボールをしているはずだ。

 相楽は運動神経いいけど、楓は微妙だ。


しばらく待つと全員が走り終えて持久走は終了した。


放課後にいつものショッピングモールに行き超能力の特訓をして家に帰った。


「ただいまー。」


靴を脱いでいると台所の方から母さんの声が聞こえてきた。


「あら、今日は早かったのね。」


「今日は早めに切り上げてきたんだ。」


母さんには放課後学校で勉強してから帰るから遅くなる。と伝えてある。


「ご飯もうちょっとで出来るから、先に部屋で着替えてきなさい。」


料理してる最中なのだろう。台所からは炒めている音が聞こえる。


「わかった。じゃ着替えてくる。」


制服をハンガーにかけ、部屋着に着替えた。

 さて、晩飯までどうするか…そういや宿題出てたな。晩飯前に済ませとくか。


そう思った俺はバッグからノートとシャーペンを取り出し、さてやるかと思い机の方を見た瞬間。

そこには数週間前、俺達を超能力者イディオムにしたやつがいた。


「やぁ。お久しぶりだね。」


二度と会えないかと思った俺はその光景に絶句した。

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