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ある日超能力が突然使えました  作者: グリム
第一章 変化する日常
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第6話「嵐」

昨日はあれからすぐ寝てしまったが、あのドラえもん似の猫は一体なんだったのだろう。


「れーい」


ヴァ―リとか言ってたか。今度あったら逃がさないように首掴んでやる。


「零ってばー」


もしかしたらヴァ―リが元の人間に戻る方法を知ってるとか?ありえるな。ヴァ―リが言うには俺達がヴァ―リを触ったことで超能力が使えるようになったらしい。

という事は、もう一回あいつを触れば元の人間に戻るかもしれない。

 だがこれは可能性が低そうだなぁ。


「ちょっと零!聞いてるの!!」


「あぁ悪い楓。ちょっと考えごとしてた。」


昼休み。

俺達は屋上で飯を食べるのが日課になってきた。誰もいないのでちょうどいいが、冬になったら屋上で食べるのは難しくなるだろう。


また人の少ない場所を探さないといけない。


「さっきから聞いてるんだけど、今日は何するの?」


しまった。考えてなかった。

昨日はヴァ―リの事を考えたら寝ていた。


「そうだな…またあの洞窟行くか。」


「洞窟ってあの猫地蔵がいた洞窟?」


「もちろん。」


昨日ヴァ―リが言うには、あの猫地蔵はヴァ―リらしい。

 ならば洞窟に猫地蔵があったら、あの猫が言ってた事は嘘っぱちになるわけだ。


「今日は洞窟に行ってそのまま帰ろうと思うけど、いいか?」


「零…今日何やるか考えてなかったね…。」


「ははは、ばれたか。」


さすが幼馴染。わかってるぅ!てへぺろ☆


「せんぱーい。今日は私友達と美味しいシュークリーム屋さんに食べに行くので今日は遠慮しときますー。」


「そうか。よし、行っていいぞ。」


友達付き合いも大切だからな。ほんとは5人で行きたかったが、仕方がない。


俺達4人は洞窟の前に来ていた。


洞窟の中に入り、前に猫地蔵があったところまできた。

 俺は猫地蔵を探したが、やはり猫地蔵の姿は見当たらなかった。


「あれ、前にあった猫地蔵がないね…。」


光が猫地蔵の事に気付いた。


「その事については俺が説明するよ」


俺は昨日その猫地蔵が家に現れたこと。なぜ俺たちが超能力を使えるようになったのか。そしてその猫の名前はヴァ―リという事も話した。


「なるほど…そのヴァ―リって猫怪しいね」


「竜輝の言うとおりヴァ―リの猫が超能力の鍵を握っているかもしれない。」


何しろあいつに触ったら超能力が使えるなんてあいつが一番怪しい。

 あとこれもみんなに言わないとな。


「俺達みたいな超能力者の事をイディオムと言うらしい。なんでそう言うのかは知らないが。」


俺が次に言おうとしていた言葉は、先に光が言った。


「あの猫に触れば…僕たち以外の人も超能力が使えるって事?」


「正解だ。おそらくあの猫に触った奴がいたら超能力が使える。」


「それっていい事なんじゃないの?超能力者どうしで分かり合える事もあるかもしれないし。」


楓がきょとんとした顔で言ってくる。


「世の中そんなやつばかりじゃない。もし超能力を悪用していたら、同じ超能力が使える俺達は邪魔者だ。」


考えすぎかもしれない。だがこれくらい警戒しておいた方がいいだろう。

 俺は猫地蔵が消えていたのを確認したので、みんなに洞窟を出ようと言おうと思ったまさにその時だった。


「零ッ!危ない!!」


突然俺の方を見て竜輝が大声をあげた。

 何事かと思い俺は後ろ見たら、なんとサバイバルナイフが一曲線でこっちに向かってきている。


俺は避けようとするが、ダメだ!今からじゃ間に合わない!!


死を覚悟したその時―――――――


キンッという金属音がなった後サバイバルナイフは地面に刺さっていた。


竜輝が超能力でサバイバルナイフの向きを変えたのだ。


俺は竜輝に礼を言おうと思ったが―――――やめた。

 誰かいる。


竜輝も感じたのか、戦闘態勢に入っていた。


「光、楓。後ろに下がってろ」


光と楓もさすがに危険を感じて竜輝と零の後ろに下がった。


「誰かいるんだろ!出てきてくれないか!」


しばらく静寂が続いたが、やがて声が聞こえた。


「…ちぇ、ばれちゃったか。」


そんなのんきな口調で出てきたのは―――中学生くらいの男の子だった。

 俺は一瞬驚いてたじろいでしまったが竜輝は戦闘態勢を解かない。


「そこのお兄さんやるね。尊敬しちゃうよ。」


男の子はサバイバルナイフを手にそんな事を言ってくる。


「君も…超能力者イディオムなのかい…。」


竜輝は真剣な表情で男の子に問う。


「そうだよ。君たちと同じさ。」


ッ――――こいつもイディオムだって言うのか!!

 一番考えたくなかったことが現実になっていた。


「なんで君はいきなり僕たちに攻撃してくるのかな?」


竜輝は変わらず真剣な顔で質問をする。


「さぁね?気まぐれだよ気まぐれ。」


瞬間―――竜輝の顔が怒りに変わった。


「君は…気まぐれで人を殺そうとする人なのか…!」


やばいな…そろそろ俺が出る番か。


俺は竜輝を右手で抑えつつ男の子に質問をした。


「俺を殺す気だったのはもういい。君は俺達よりこの力の事を知ってるのか?」


なるべく丁寧な口調で質問したが無駄だった。


「さぁね。僕がこの力の事を知っていても、君たちに話す義務もないし、話す気もない。」


知ってそうな口ぶりだな。正直力づくで聞き出したいんだが、相手は俺と同じイディオムだ。

 しかも俺達よりこの力をおそらく使いこなしている。


「…まぁ今回はちょっとした挨拶をしに来ただけだしね。これで失礼するよ。」


男の子はクルッと後ろを向いて帰ろうとする。


「待てよ―――――このまま帰れると思ってるのか?」


俺はこいつに聞きたいことが山ほどある、まだ帰すわけにはいかない。


「ふむ…ならちょっとだけ遊んであげ――――――」


少年が喋り終わる前に竜輝が全力で少年殴りかかろうとしていた。


もらった―――そう思った瞬間。


「なッ…!」


竜輝は目を大きく開き驚いていた。


当たり前だ。なにしろ目の前にいた相手が急に竜輝の後ろに移動したのだから。


「まったく、気が短いね君は。」


男の子はやれやれ、という感じで竜輝を見ている。


超能力で空間移動なんて事もできるのかよ!なんでもありだな。


「じゃ、僕はこれで失礼するよ。アディオス。」



霧のようにフワッと消えた男の子を俺達はただ呆然と眺める事しかできなかった…。

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